アナログ盤では「ラスト・ライヴ」と銘打たれていたこの2枚組アルバムは、1977年5月の日比谷野外音楽堂と、同年10月の東京厚生年金会館におけるライヴの模様が収録されています。文字通り末期のカルメン・マキ&OZのラスト・パフォーマンスが聴かれます。
アルバムのリリースは1978年8月ですが、OZはその前年に解散しています。
カルメン・マキ&OZは、ジャニス・ジョプリンに触発されたマキ嬢が春日博文氏を誘って、1972年春に結成したバンドです。OZが結成された頃は、日本ロック界の黎明期でした。まだまだ未成熟な音しか出せない多くのバンドの中にあって、OZの出現は強烈な印象を残しました。マキ嬢のヴォーカルと春日氏のギターは、欧米のロックに慣れ親しんだファンの耳にも驚愕を持って迎えられました。
OZには聴くものに有無を言わせないパワーがあります。OZの作品は「日本のロック」という狭いカテゴリーを超えた、当時のロック・ミュージックというものに対する日本からの回答のひとつではなかったでしょうか。
この作品は、臨場感あふれる最高のライヴ・アルバムのひとつです。ライヴならではの緊張感と、ダイナミックな演奏が楽しめます。選曲も、ベスト・アルバム的で、OZの代表的なナンバーばかり。
激流のような勢いのある、迫力の満点の荒々しいサウンドは、まさしくハード・ロックそのものと言っていいでしょう。
冒頭は「君が代」から「午前1時のスケッチ」へ、そしてそのままベースのフリー・インプロヴィゼイションへと続きます。切れ目なく曲は「崩壊の前日」へなだれ込みます。このあたりの流れはとてもエキサイティング。
「君が代」は、ウッドストックでのジミ・ヘンドリックスのパフォーマンス、「アメリカ国歌」に触発されたものでしょうか。
ザ・フーのジョン・エントウィッスルを彷彿とさせる川上茂幸のベースはファズ(ブラスマスター?)がかかっていて、まさに唸りを上げるといった表現がぴったりです。
Disk2の、「閉ざされた町」~「26の時」~「空へ」~「私は風」という流れがまさに圧巻です。
OZならではのドラマティックな曲、叙情的な歌詞、マキ嬢の表情豊かな美声とシャウト、ヘヴィーな演奏、これらが一体となった音のかたまりが迫ってくるのです。
ハード・ロック・バンドとしてのサウンドもさることながら、奔流のような詩情があるからこそ、ぼくを含めて大勢の人の胸に響いたのではないでしょうか。
マキ嬢の歌声の生々しさは、聴いていてトリハダものです。
マキの半生を綴ったかのような「26の時」、ジャニス・ジョプリンへの敬慕を歌詞に託した「空へ」、哀しい女心を歌った「私は風」などで聴かれる歌唱力は群を抜いていると思います。
歌唱力ももちろんですが、スピリットにおいて、また存在感において、マキ嬢を上回る女性ロッカーは、これ以降まだ出現していないのではないでしょうか。
左上:春日博文(guitar) 右上:武田治(drums) 左下:川上茂幸(bass) 右下:川崎雅文(keyboards)
当時から自前の照明・音響チームを抱えていたOZは、現在のコンサート・ツアーという形の先鞭をつけたバンドでもあります。どんな所へも機材を全て持って行ったOZは、そのために経費がかさんでしまい、これがバンド解散の一因ともなった、と言われています。
カルメン・マキ&OZが、その後のSHOW-YAを始めとする女性ロッカーたちに与えた果てしない影響と強いインパクトは、残された数少ない音源から充分に伝わってきます。
マキ嬢は、現在「カルメン・マキ&サラマンドラ」を率いて活動しています。そのバンドはハード・ロックではないけれども、ジャズ寄りのソウルフルなサウンドで、積極的にライヴも行っているようです。
◆カルメン・マキ&OZ ライヴ (Live)
■リリース
1978年8月
■プロデュース
カルメン・マキ&OZ
■収録曲
[side-A]
① 君が代(インストゥルメンタル)
② 午前1時のスケッチ
③ シゲのソロ(インストゥルメンタル)
④ 崩壊の前日
⑤ 六月の詩
[side-B]
⑥ Image Song
⑦ とりあえず……(Rock'n Roll)
[side-C]
⑧ あどりぶ(インストゥルメンタル)
⑨ 閉ざされた町
⑩ 26の時
[side-D]
⑪ 空へ
⑫ 私は風
■録音メンバー
[カルメン・マキ&OZ]
カルメン・マキ(vocal)
春日博文(guitar)
川崎雅文(keyboards)
川上茂幸(bass)
武田 治(drums)
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ややドラムの音がOFFぎみなんですが、それを割り引いても良いライブ・アルバムだと思いますよ。
Nobさんが天井桟敷で役者!もちろん年季の入ったお嬢様役なんでしょうね・・・(汗)
このシングルのジャケット写真のマキさんはまるでお人形さんのようでした。美しかったです。。。
でもそのイメージでOZを聴くと、天と地がひっくり返りますよ。めっちゃカッコいいです。
もうOZ、大好きです(^^)。
>生き方そのものがロック
ですよね~。自分の道は自分で切り拓いて突き進んでゆく、これぞマキさんのロックな人生ですよね。
>まだ若いのに、物知りな私♪
;`;:゛;`(;゜;ж;゜; )ブッ 茶を吹いた
突っ込みどころなのに笑顔(^^)でうなずく心の広い私♪
でもこの記事を読むとその迫力あるステージが伝わってきますね。
ちなみに、ノブちんは「天井桟敷」で役者やってたってホント?(^^:)
彼女とリリィが僕には近いような感じにとれそうですね♪
スローなバラードっぽいです☆
もう、生き方そのものがロックって感じですよね。
でもって、「時には母のない子のように」も持ってたりします(笑)
さらに、その昔、寺山修司氏の劇団「天井桟敷」にいたのも知ってます。
まだ若いのに、物知りな私♪