シカゴ。結成からすでに40年がたとうとしている、アメリカン・ロックを代表するバンドのひとつです。
ぼくがシカゴの音楽に出会ったのは高校の時です。シカゴはその時すでにロック界の大物バンドのひとつに数えられていました。
今はAOR路線、いわばオトナのシティ・ポップ・ロック・バンドとして活躍していますが、ぼくは、真のシカゴの姿はデビューした1969年からの数年間だと強く思っています。
そのデビュー・アルバムが「シカゴ・トランシット・オーソリティー」です。これは当時のバンド名でもあったのですが、シカゴ交通局からクレームがついたために、すぐバンド名を「シカゴ」に改めました。
デビュー・アルバムにして2枚組の大作で、そのことからもバンドの自信が伺えます。ただ、まだ学生だったぼくに2枚組レコードのための出費はかなり大きかったので、代わりにサード・アルバムまでの主な曲をピック・アップした日本編集のベスト・アルバム「栄光のシカゴ」を手に入れてよく聴いていました。
『シカゴの軌跡』 (Chicago Transit Authority)
大胆にホーン・セクションを導入したシカゴのサウンドはブラス・ロックと呼ばれ、ブラッド・スウェット&ティアーズやバッキンガムス、チェイスらとともに一世を風靡しましたね。
シカゴのホーン・セクションは決して効果音的なバッキングではなく、ロックとしか言いようのない歯切れの良いソリッドなサウンドで、ぼくの大好きなものです。
1曲目の「イントロダクション」にシカゴのサウンドが集約されていると言ってよいかもしれません。ぶ厚いホーン・セクションが大々的にフューチャーされていて、場面展開が劇的な豪快な曲です。
テリー・キャスの弾くブルージーかつジャジーなギターも大好きです。「イントロダクション」や「アイム・ア・マン」などの切れ味鋭いギターを聴くと、荒々しさと分かり易さが同居しているのが聴こえるような気がします。「フリー・フォーム・ギター」ではタイトル通り、フリー・フォームでジミ・ヘンドリックスばりのインプロヴィゼーションを展開しています。
リード・ヴォーカリストが3人いることもシカゴの大きな特徴でしょう。どちらかといえばバラード、ポップス向けのピート・セテラ、ソウルフルなロバート・ラム、そしてブルージーなテリー・キャス。
「クエスチョンズ67&68」や「ビギニングス」などのヒット曲以外に、政治的なメッセージや、バンドの主張を曲に込めていることでも有名ですね。「一体現実を把握している者はいるだろうか」や「アイム・ア・マン」では当時の社会に対する疑問を投げかけていますし、「1968年8月29日シカゴ、民主党大会」では、民主党大会におけるデモ隊と警官が衝突した際に、群集からおこったシュプレヒ・コールを録音、編集しています。これに続く「流血の日」はそれをテーマにしたパワフルでメッセージ色の濃い曲です。
ラブ・ソングからメッセージ・ソング、ジャジーな曲からハード・ロックまで、実に幅広い音楽がこのアルバムには詰め込まれています。
今聴いても斬新なシカゴの世界が広がっていると言えるでしょう。
◆シカゴの軌跡/Chicago Transit Authority
■歌・演奏
シカゴ・トランジット・オーソリティ/Chicago Transit Authority
■リリース
1969年4月28日
■録音
1969年1月27~30日
■プロデューサー
ジェイムス・ウィリアム・ガルシオ/James William Guercio
■収録曲
[disc-1]
A 1 イントロダクション/Introduction (Kath)
2 いったい現実を把握している者はいるだろうか?/Does Anybody Really Know What Time It Is? (Lamm) ☆全米7位 (1970)
3 ビギニングス/Beginnings (Lamm) ☆全米7位 (1970)
B 4 クエスチョンズ67/68/Questions 67 and 68 (Lamm) ☆全米71位 (1969)、全米24位 (1971)
5 リッスン/Listen (Lamm)
6 ポエム58/Poem 58 (Lamm)
[disc-2]
C 7 フリー・フォーム・ギター/Free Form Guitar (Kath)
8 サウス・カリフォルニア・パープルズ/South California Purples (Lamm)
9 アイム・ア・マン/I'm A Man (Jimmy Miller, Steve Winwood) ☆全米49位 (1971)、全英8位 (1971)
D10 1968年8月29日シカゴ、民主党大会/Prologue, August 29, 1968 (James William Guercio)
11 流血の日(1968年8月29日)/Someday (August 29, 1968) (Lamm, Pankow)
12 解放/Liberation (Pankow)
☆=シングル・カット
■録音メンバー
【Chicago Transit Authority】
テリー・キャス/Terry Kath (guitars, lead-vocals, backing-vocals)
ロバート・ラム/Robert Lamm (Keyboards, lead-vocals, backing-vocals)
ピート・セテラ/Peter Cetera (bass, lead-vocals, backing-vocals)
ウォルター・パラザイダー/Walter Parazaider (saxophone, tambourine)
リー・ログネイン/Lee Loughnnane (trumpet, claves)
ジェイムス・パンコウ/James Pankow (trombone, cowbell)
ダニエル・セラフィン/Daniel Sersphine (drums, percussion)
■チャート最高位
1969年週間チャート アメリカ(ビルボード)17位、イギリス9位
1969年年間チャート アメリカ(ビルボード)29位
1970年年間チャート アメリカ(ビルボード)23位
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映画「かぐや姫」の頃だったでしょうか.大好きでよく聴いていました.
シカゴって,かなり昔から活躍していたのですね!ちょっと嬉しくなりました
シカゴに在籍していた頃からバラードを歌うのを十八番にしていましたよね。また、そういう曲を作るのもうまかった人でした。
ソロになってからもポップなバラードをいくつかヒットさせていましたが、ぼくとしてはシカゴを脱退して欲しくなかったんですよねぇ(^^)。
シカゴももう40年選手。ベテラン中のベテランです。アメリカを代表するグループのひとつですね。