【Live Information】
素敵な異性とのデートのあと、その姿が見えなくなると湧き上がってくる寂しさとか、つい5分前まで一緒にいたのにすでに感じている「会いたい」気持ち。
白熱した野球の試合が終わったあとの震える気持ち。
美味しい料理を味わったあとの後口。
素晴らしかった時間のあとに必ずやってくるのが、余韻です。
この夜のライブは「藤本一馬 & 福盛進也 デュオ」。
その余韻は、帰宅後もぼくをじんわり包むのです。
曲が終わるごとに夢から覚めたような気分になるとともに、その曲の余韻が霧のように自分の五感を覆う。
目覚めたような気分になったばかりなのに、次の曲が始まる数秒前から別世界の扉が開いたような錯覚に陥る。
自由な音楽ってなんだろう、自分の音ってなんだろう。
デュオの奏でる唯一無二の音に浸りながら、そんな問いが頭の片隅にひょいと顔を出したりする。
きっとそれは自身の生き方そのものに結びついているのだろう。
自由とか個性のなんたるかがわからないのではなくて、不自由だったり没個性であることが楽であり、そこから出たくないだけなのかもしれない。
藤本一馬(guitar)と福盛進也(drums)。
このふたりは、新大陸を目指して大海原を航海している船乗りのようなものなのかもしれない。
行く手に待っているであろう不安よりも、自由な、自分の音を出し続けることで見えてくるであろうまだ見ぬ世界への到達に希望を抱き、心豊かに生きているのだろう。
そんな気がしてならないのです。
素晴らしいライブは、余韻も素晴らしい。
2022年6月27日(月)
藤本一馬(guitar) & 福盛進也(drums)
城下公会堂
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