【Live Information】
譚歌DUO。
石井彰(piano)と金澤英明(bass)の両氏からなるデュオです。
その夜は満月から2日目。
帰りの車のフロントガラス越しに見える月は、少し赤っぽく、そして大きく見えました。
石井&金澤の両氏に、今をときめくドラマー石若駿を加えたトリオ「BOYS」のアルバム、『月夜の旅』のジャケットを思い出しました。
金澤英明・石井彰・石若駿 『月夜の旅』
とくにライブでジャズを聴く時、いったい何を感じて、どこを聴いているものなのでしょうか。
メロディ。
めくるめくテクニック。
メンバー同士の、音のやりとり。
音色。
好きな楽器。
もしかするとメンバーの誰かのバックボーンや生き様に共感していて、それを音に絡めて聴いていたり。
今夜、演奏中にふと思ったのは、「これは合奏なのか」ということ。
もちろん合奏です。ふたりで演奏しているのだから。
でも、複数の演奏者が演奏していても、音の溶け具合というのか、トータルな音の成り立ちはいろいろな場合があるような気がするんですね。
例えば、数種類の液体をよく混ぜた時のように境目のない場合もあろうし、一緒に音を出しているんだけれど各人がバラバラで全く連携してなかったり、全員が熱くはなっていても熱くなっているだけで勢いだけの雑なものだったり。
金澤さんはかつてぼくにこう語ってくれたことがありました。
「駿(石若駿)は全部わかってくれんだよ」
石井さんと金澤さんの間もそういう関係では?と改めて思っちゃったんです。
いや、「わかってくれる」というより、「(もちろんわかってくれるのが前提だろうけれど)何をやっても受け取ってくれる、仮に伝わらなくともキャッチして必ず反応してくれる」のが当たり前というか、安心感、信頼感、そして何かを起こしてくれるだろう、という期待感、そんな感じ。
それはもう「合奏」なんて言葉では表せないんじゃない?、と聴きながらひとり勝手にうなづいていたわけなんです。
あるポイントに向かって進みつつ、「そのポイントとなる音を活かすためにはこういう道を辿ろう」、あるいは「こういう経路を進むなら辿り着くところではこういう音を出そう」みたいなことを二人とも意識の底に置きながら演奏していたのではないんじゃないかな、と思えたんです。
実際のところは分かりませんが、ぼくはそういう風に勝手に感じて楽しんで聴いていました。
そういう意味では、このデュオには担当楽器の違いがあるだけで、あとは二人の境目なんてないのではなかろうか、としみじみ思ったわけなのです。
たしかに、この二人でしかこういう音を聴いたことはないよな~
これが本当の「自分の音」なんです、きっと。
今夜、世界じゅうでここにしかなかった、オリジナルな音。
また必ず体験しなくては。
うまく言葉にできなくてもどかしいばかりですが、二人が出す最初の一音ですぐに別の世界を味わえたんです。
いい夜でした。
譚歌DUO (石井彰piano、金澤英明bass)
Live at 倉敷アヴェニュウ
2021年1月31日(日)
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