バナナの世界史――歴史を変えた果物の数奇な運命 (ヒストリカル・スタディーズ) | |
黒川由美 | |
太田出版 |
あの庶民的なバナナがこんなに数奇な運命をたどっているなんて知らなかった!
この本には「世界の歴史を変えた果物」という副題がついていますが、大げさで
はありません。中南米の国々がバナナのために転覆させられ、指導者が抹殺さ
れたり、亡命させられたりしているのです。しかも、見た目とは裏腹に非常に脆弱
な果物で、最初にアメリカで流布した種類はパナマ病という細菌の病気で全滅し
苦心惨憺して次の食用種を作ったようですが、他にも様々な病気が発生しており
これもいつまで持つやらわからない状態のようです。あの安い庶民の見方のバナ
ナが!熱帯雨林を切り開き、ひとつのプランテーションが病気で全滅すると、ま
た違うプランテーションを切り開きということを、アメリカの大バナナ企業が続け
ているらしいです。アフリカなど、人々がバナナで食いつないでいる地域もあるよ
うで、バナナの存亡は人類の死活問題にもつながります。バナナの話を読んで、
こんなに暗澹たる気持ちになるとは思ってもいませんでした。
うちはあまり食べませんが、アスリートには欠かせない食物のようですね。
娘のお誕生日にスムージー作り器をもらって、バナナ・カフェ・スムージーを
作ってみました。さわやかでおいしかったです。
この本によれば、このすばらしい食べ物がなくなる時は、人類滅亡の時のよう
です。もしかしたら、そうかも?この本を読むとそんな気がしてきます。