木蓮が咲き始めました。本格的に春が来たと思わせてくれる花です。
大ぶりの花が青空に映えて見事です。白木蓮も紫木蓮もきれいです。
冬の間放ったらかしで荒涼としていた玄関先に春の花を植えました。
それだけで、気分が明るくなります。花の力は偉大。
浅田次郎の「ま、いっか。」というエッセイを読みました。彼は若いころ、
貧乏で、食べるに事欠くようなときでも、いつも何かしら部屋に花を飾っ
ていたというエピソードがありました。そのために、ガールフレンドを部
屋に連れてくると、他に花を飾るような女がいるんじゃないかと疑われ、
別れたことが何度かあったと。若い頃から美に対する感性の鋭い人だっ
たのですね、彼の小説の深みの原点が感じられるエピソードです。百な
んとかいう人とは大違い。
同じエッセイの中に、日本語の縦書きと横書きについての下りがあり
ました。今の時代、パソコンで横書きという作家もいるでしょうが、彼
は原稿用紙に縦書きという伝統的なスタイルだそうで、ある時、アメ
リカのとあるホテルのロビーで、原稿を書いていると、人だかりがで
きたそうです。字を縦書きで、しかも右から左に書くなんて、ストリート・
パフォーマンスだと思われたのです。同じ経験が私もあります。昔、ス
イスのレストランで、日本への絵葉書を書いていたら、人が寄ってきま
した。今や中国語もほとんど横書きだそうで。日本はその点偉い!も
ちろん、パソコンやスマホを使うことが多くなり、横書きが圧倒的になっ
てきたものの、新聞や本や、その他まだまだ縦書も頑張っています。
読み聞かせに行っている小学校の一年生が、一年間本を読んでくれ
てありがとうと、感謝状をくれました。一年前はひらがなを読むのもお
ぼつかなかったのに、立派な縦書の感謝状です。他の科目はともかく、
国語は、縦書の教科書を読み、縦書のノートを使うのですね。どちら
もできると言うのは、ある意味発想が豊かになっていいかもしれませ
ん。縦横無尽!