キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

土屋先生の奥様

2015-10-15 14:46:37 | 
            

            ハナミズキの赤い実と葉が晴天の秋空に映えてきれいです。朝晩

            はめっきり寒くなってきました。「めっきり」って目に見えてはっきり

            という意味ですが、「めっきり暖かく」とか「めっきり暑く」とかは言い

            ませんね。寒いとか、衰えるとか、否定的な時に使うようです。おも

            しろい言葉ですね。             

妻と罰 (文春文庫)
土屋賢二
文藝春秋

            灯火親しむには良い季節ですが、あんまり大した本は読んでいません。

            相変わらず肩の凝らない(本当はめちゃくちゃ凝っていて、スポーツ

            の秋にするべきなのですが、なにせインドア派で‥‥と言い訳しつつ)

            コージーミステリーがほとんどですが、”哲学者”土屋賢二先生のエッ

            セイも読み漁っています。「読み漁る」とは「ゴミ箱を漁る」など連想

            される、読んでいる本に対して失礼な言葉ですが、「買った上で、読

            まないでもらいたい」とおっしゃる土屋先生の本を、面白くて手放せず

            むさぼり読んでいる訳で、お許し願えるでしょう。もっとも、図書館で

            借りて読んでいるので、買ってはいないのですが。

ワラをつかむ男
土屋賢二
文藝春秋

            土屋先生は東京大学卒業、御茶の水女子大元教授という大哲学者なの

            で、元来は高邁な哲学の探求者でいらっしゃるのでしょうが、エッセイは

            抱腹絶倒、詭弁、屁理屈、曲論正論、なんでもありで、楽しく読めます。

            どのエッセイ集にも土屋先生の奥様が再三再四登場しますが、この

            方がご傲慢不遜、残虐非道、理屈が通じず、夫を虐げる。ソクラテスの

            妻や、夫の作曲した楽譜を髪の毛のカーラー代わりにしたハイドンの妻

            の上を行く悪恐妻として登場するのです。

ツチヤの口車 (文春文庫)
土屋 賢二
文藝春秋

            本当にこんな奥様でしょうか?もし私が奥様で、本当にこんな性格の

            女性なら、自分がそんな女であるはずでないと考えるでしょうから、世

            間に対して自分の悪口を言いふらす夫を殺して、自分も自殺するかも

            しれません。実際、解説を読むと、書かれているのとは正反対のすてき

            な奥様のようです。それか、奥様は絶対に自分の本を読まないという自

            信が土屋先生にあるか。

ツチヤの貧格 (文春文庫)
土屋賢二
文藝春秋

            思うに、土屋先生は、女性から理不尽な扱いを受けてきたと思い込ん

            いらっしゃるような。それが女子大の教授になって助長された?それを

            女性の代表としての奥様におっかぶせていらっしゃるのでは。まあ、私

            も、夫に八つ当たりしている、理不尽に怒っている、分かっているけど

            自分の非は認めないなんてことは多々ありますが。それはまあ、お互い

            様ですしね。          
コメント
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