ハナミズキの赤い実と葉が晴天の秋空に映えてきれいです。朝晩
はめっきり寒くなってきました。「めっきり」って目に見えてはっきり
という意味ですが、「めっきり暖かく」とか「めっきり暑く」とかは言い
ませんね。寒いとか、衰えるとか、否定的な時に使うようです。おも
しろい言葉ですね。
妻と罰 (文春文庫) | |
土屋賢二 | |
文藝春秋 |
灯火親しむには良い季節ですが、あんまり大した本は読んでいません。
相変わらず肩の凝らない(本当はめちゃくちゃ凝っていて、スポーツ
の秋にするべきなのですが、なにせインドア派で‥‥と言い訳しつつ)
コージーミステリーがほとんどですが、”哲学者”土屋賢二先生のエッ
セイも読み漁っています。「読み漁る」とは「ゴミ箱を漁る」など連想
される、読んでいる本に対して失礼な言葉ですが、「買った上で、読
まないでもらいたい」とおっしゃる土屋先生の本を、面白くて手放せず
むさぼり読んでいる訳で、お許し願えるでしょう。もっとも、図書館で
借りて読んでいるので、買ってはいないのですが。
ワラをつかむ男 | |
土屋賢二 | |
文藝春秋 |
土屋先生は東京大学卒業、御茶の水女子大元教授という大哲学者なの
で、元来は高邁な哲学の探求者でいらっしゃるのでしょうが、エッセイは
抱腹絶倒、詭弁、屁理屈、曲論正論、なんでもありで、楽しく読めます。
どのエッセイ集にも土屋先生の奥様が再三再四登場しますが、この
方がご傲慢不遜、残虐非道、理屈が通じず、夫を虐げる。ソクラテスの
妻や、夫の作曲した楽譜を髪の毛のカーラー代わりにしたハイドンの妻
の上を行く悪恐妻として登場するのです。
ツチヤの口車 (文春文庫) | |
土屋 賢二 | |
文藝春秋 |
本当にこんな奥様でしょうか?もし私が奥様で、本当にこんな性格の
女性なら、自分がそんな女であるはずでないと考えるでしょうから、世
間に対して自分の悪口を言いふらす夫を殺して、自分も自殺するかも
しれません。実際、解説を読むと、書かれているのとは正反対のすてき
な奥様のようです。それか、奥様は絶対に自分の本を読まないという自
信が土屋先生にあるか。
ツチヤの貧格 (文春文庫) | |
土屋賢二 | |
文藝春秋 |
思うに、土屋先生は、女性から理不尽な扱いを受けてきたと思い込ん
いらっしゃるような。それが女子大の教授になって助長された?それを
女性の代表としての奥様におっかぶせていらっしゃるのでは。まあ、私
も、夫に八つ当たりしている、理不尽に怒っている、分かっているけど
自分の非は認めないなんてことは多々ありますが。それはまあ、お互い
様ですしね。