キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

藤原京

2017-03-08 16:40:05 | 旅行
               

                 春過ぎて夏来にけらし白妙の衣乾すてふ天の香久山   持統天皇

               ご存じ百人一首にある持統天皇の御歌です。「夏がやってきて、緑濃い

               山に真っ白な衣が乾されている」鮮烈でさわやかな印象の歌です。藤原

               京遺跡の横の案内所に、わが敬愛する万葉学者犬養孝先生の書かれた

               この歌の句碑がありました。

               

               それもそのはず、持統天皇の造営なさったいにしえの藤原京からは、こ

               の香久山をはじめ、畝傍山、耳成山の大和三山がくっきりと見渡せます。

               

                   畝傍山、

               

               耳成山。どの山も標高200メートルにも満たない小さな山ですが、そ

               の絶妙の配置のためか、昔から人々の想像力を掻き立てたようです。

                香久山は畝傍を愛しと耳成と 相争いき 神代より かくにある
          
                らし いにしへも しかにあれこそ うつせみも 妻を争ふらしき

               なんていう弟の天武天皇と額田王を取り合ったという天智天皇の歌が

               万葉集にあります。

               

               その天智天皇の皇后であった持統天皇が、夫の遺志を継いで造営した

               のがこの藤原京です。694年から平城京に遷都される710年まで持統、

               文武、元明3代の都でした。日本初の条坊制の本格的な都で、その規

               模は平城京や、平安京より大きかったとか。

               

               

               今は大極殿のあった辺りを示す朱塗りの柱が建てられているだけで

               すが、そこに立ち大和三山を見晴らしていると、遥かいにしえの隆

               盛を極めた都の様子がまざまざと蘇ってくるような気がします。

               

               この奈良の橿原、明日香の辺り、ちょっと歩けば遺跡や古い寺社に行

               き当たりますが、中でもこの壮大な遺跡との出会いは感動的でした。
コメント
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