数十年来の友人がなくなりました。心臓に難病を抱えながら
波乱万丈の人生を送った人でした。この赤い花、何故かその
友を思い出させます。辛い人生にもかかわらず、華やかな感
じの女性でした。
紫色の似合う人でもありました。ピアニストとして嘱望され
ていましたが、卒業演奏時に見初められ、結婚。夫のロシア
正教に改宗します。二人の娘をもうけたものの、現実に飽き
足らず、二児を置いて離婚。その後付き合った男性のDVから
逃れるため、八丈島へ。そこでの平穏な暮らしも長く続かず、
心臓に難病を発症し、本土へ。大手術の末一命をとりとめた
ものの、その後は入退院を繰り返し、ついには帰らぬ人とな
りました。
疎遠だった二人の娘さんと和解しているのが、せめてもの慰
めです。コロナウィルスで最後に会うことも叶いませんでし
たが、桜や花桃や野の花々を一緒に愛でた思い出が深く心に
残っています。