涼しい書院に座っていると、外界の炎暑をすっかり忘れます。緑のお庭
の向こうの借景の奈良盆地を眺めていると、心が晴れ晴れします。
奈良大和郡山市の高台にある茅葺屋根の慈光院は石州流茶道の祖、片桐
石州が建立したこじんまりした臨済宗のお寺です。
石州はこの地小泉藩の御殿様で、戦国時代の有名な武将片桐且元
の甥であり、茶人であるとともに石高は少ないものの、れっきと
した大名でした。このお寺は石州の父の菩提寺として、江戸時代
初めに建てられたものだそうです。
茶人のお寺らしく、書院でお庭を眺めながら、お茶をいただけます。
お茶請けは、片桐家の家紋「片桐違い矢」をかたどった落雁です。
お昼時だったので、名物の「石州めん」をいただきました。石州が
客人をもてなすため自ら作ったそうめんだそうで、おいしい!添え
られていた茄子の田楽や珍しいハスイモのお浸しなど、寺内で採れ
野菜のふんだんに使った、ある意味とてもぜいたくな昼食でした。