キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

かたばみ

2013-04-24 14:16:51 | 季節の花々
          

              かけてあがった
              お寺の石だん。

              おまいりすませて
              おりかけて、
              なぜだか、ふっと、
              おもいだす。

              石のすきまの
              かたばみの
              赤い小さい
              葉のことを
              --とおい昔に
                みたように。         金子みすゞ「かたばみ」

          私の村のお寺にも石だんがあります。その脇にかたばみが咲いていたような。

          

          あちこちに小さいかたばみの花が咲いています。こんなによく見かけるけれど

          こんなに気にかけられない花もあまりないでしょうね。あまりにもありふれて

          いて。園芸種はオキザリスと言う名で売られていて、道端の花より大きくて

          見栄えがしますが、同じ仲間なんですよね。漢字で書くと酢漿草なんていう

          難しい名前、葉や茎がすっぱいからだそうです。見るとほっとする野草です。

          

          かたばみの横にはすずらんの可愛い花も咲いています。谷間の百合

          Lily of the valleyという別名もあります。そういえばバルザックの小説に

          「谷間の百合」というのがありました。青年がうんと年上の夫人を恋焦

          がれる話でした。なかなかに美しい恋愛小説風ではありますが、そこは

          バルザック、読むうちに、一筋縄ではいかない人間の心の闇をえぐり出

          しているような怖さを感じたのを覚えています。この花、その可憐な姿

          とは裏腹に有毒な物質を含んでいるようです。でも、花言葉は「幸福」、

          「清らかな愛」。

          

            もう少し上に目をやると、つつじももう満開。

          

            美しいですね、どの色のつつじも。躑躅という字も難しい。

          

            躑躅という字も難しい。皐月は躑躅のうちの一種だそうです。

            洋名は「アザレア」ですね。同じ花なのに名前で印象が変わります。

            これからしばらく、目に青葉や色とりどりの花々の良い季節です。

            人災や天災がなければ。           

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