かけてあがった
お寺の石だん。
おまいりすませて
おりかけて、
なぜだか、ふっと、
おもいだす。
石のすきまの
かたばみの
赤い小さい
葉のことを
--とおい昔に
みたように。 金子みすゞ「かたばみ」
私の村のお寺にも石だんがあります。その脇にかたばみが咲いていたような。
あちこちに小さいかたばみの花が咲いています。こんなによく見かけるけれど
こんなに気にかけられない花もあまりないでしょうね。あまりにもありふれて
いて。園芸種はオキザリスと言う名で売られていて、道端の花より大きくて
見栄えがしますが、同じ仲間なんですよね。漢字で書くと酢漿草なんていう
難しい名前、葉や茎がすっぱいからだそうです。見るとほっとする野草です。
かたばみの横にはすずらんの可愛い花も咲いています。谷間の百合
Lily of the valleyという別名もあります。そういえばバルザックの小説に
「谷間の百合」というのがありました。青年がうんと年上の夫人を恋焦
がれる話でした。なかなかに美しい恋愛小説風ではありますが、そこは
バルザック、読むうちに、一筋縄ではいかない人間の心の闇をえぐり出
しているような怖さを感じたのを覚えています。この花、その可憐な姿
とは裏腹に有毒な物質を含んでいるようです。でも、花言葉は「幸福」、
「清らかな愛」。
もう少し上に目をやると、つつじももう満開。
美しいですね、どの色のつつじも。躑躅という字も難しい。
躑躅という字も難しい。皐月は躑躅のうちの一種だそうです。
洋名は「アザレア」ですね。同じ花なのに名前で印象が変わります。
これからしばらく、目に青葉や色とりどりの花々の良い季節です。
人災や天災がなければ。
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