キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

思いやり

2011-06-03 10:55:31 | 
A Sick Day for Amos McGee
Erin Stead
Roaring Brook


      エイモスさんは動物園の飼育員。毎朝早くバスに乗って動物園へ出かけます。

      仕事は忙しいけれど、仲良しの動物たちと遊ぶことは忘れません。

      ゾウとはチェスをします。ゾウはじっくり考えて駒を動かすタイプです。

      カメとはかけっこをします。勝つのはいつもカメなんです!

      とても内気なペンギンとは、しばらく黙って並んで座っています。

      いつも鼻水を垂らしているサイには、ハンカチを貸してあげます。

      夕方になると、暗闇が怖いフクロウにお話を読んであげます。

      ところがある朝、エイモスさんが起きてみると、くしゃみは出る、鼻水は出

      る、節々が痛い。もう一度ベッドにもぐりこみました。「今日は仕事に行け

      そうにないな」

      その頃、動物園では動物たちがエイモスさんを待ちわびていたのですが、、、

      そしてその日の夕方、五匹はバスに乗って、、、

      「おや、お見舞いに来てくれたのかい!」

      エイモスさんはゾウとチェスをしました。じっくり考えたのはエイモスさん。

      カメとはかけっこじゃなく、かくれんぼをしました。カメは甲羅の中に、エ

      イモスさんは布団の中に隠れました。

      ペンギンは黙って、ベッドに座り、エイモスさんの足を温めました。

      「ハックショーン!」エイモスさんがくしゃみをすると、サイがハンカチを

      差し出しました。

      「だいぶ良くなったよ、ありがとう。一緒にお茶でも飲もうか」

      それからエイモスさんは目覚まし時計をセットして、「あすの朝、みんなで

      バスに乗って動物園に帰ろうね」

      寝る前にフクロウが、暗闇の怖いエイモスさんにお話を読んであげました。

      

      やさしい、やさしいお話です。エイモスさんも動物たちも相手のことが大好

      きで、心底思いやっています。派手な熱愛じゃありません。こんなに穏やか

      で満ち足りた日々が送れるといいなと思わせてくれる絵本です。木版と鉛筆

      で描かれた絵の落ち着いた色合いが、内容のやさしさを一層引き立てていま

      す。心がささくれだった時、和やかな気分にさせてくれる一冊です。


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