貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

温暖、温和、大好きな季節到来!

2021-08-21 14:00:51 | 日記

温暖、温和、大好きな季節到来!

令和3年8月21日(土)

 今日から芭蕉待望の春の句!

春もやゝ 

 けしきとゝのふ 

     月と梅

    朧月の下で、梅花が綻び、やっと春

らしい様子に整ってきたことだ、

の意。

    元禄六年(1693)の作。

「やゝ」・・・ようやく

 正月二十日は木因宛書簡集に

最近の句として掲載。

 許六による満月と梅花の画に、

この句を記したもののほか、

自画賛類が複数あり。

 画賛句として芭蕉の気に入りで

あったと知られる。

◎ 月が靄の中で潤んで見え、

梅のつぼみも綻んで来たので、

確かに春が来たように思える。

 寒さもどこかに隠れてしまった

ようだ。

 三寒四温で落ち着かなかった日々

も温暖、温和が続いて嬉しいものだ。

 確かに春が来て、その季節が定着

したのだ。

 平仮名書きの優しい表現は

すらすらと読めて気持ちがいい。


句作の歓び

2021-08-20 15:16:37 | 日記

句作の歓び

令和3年8月20日(金)

一露も 

  こぼさぬ菊の 

     氷かな

 一滴もこぼすまいと、寒菊はそこに

置く露を氷としていることだ、

の意。

 元禄六年(1693)年の作。

 前書き「苑蠡(えんれい) が

趙(ちよう)南(なん) のこゝろを

いへる『山家集』の題にならふ」

 菊がもつ隠逸のイメージと

黄金色に輝く姿とを、二つながら

示す。

◎ 菊という秋の花に露がかかって

いると思うと、露は氷っていた。

 外は寒い。

 しかし、氷った露の外光に輝く

ところは実に美しい。

 風が吹いても、びくともせぬ立派な

細工物である。

 このわび住まいの庵にも、様々な

自然の美が示されていて、実に楽しい。

 三句とも同じ甘酒造りの日の小景。

  寒菊をごく自然に詠み、菊の氷った

露の美しさを、自分は温かい庵の内

にいて見ているというだけなのだが、

すぐ近くの台所の下の花の様子に

秋の名残を見出し、やがて咲く梅を

望んでいる内心を書かずに

読者に想像させている。

 句作の手腕の軽やかで、

自然なところが素晴らしいし、

庵の狭い庭にも、普く目を巡らして、

句作に喜びを見出している芭蕉の

心が気持ちいい。


あまざけは、醴!

2021-08-19 11:49:53 | 日記

あまざけは、醴!

令和3年8月19日(木)

お日様が上って・・・、

ちょっと暖かな木曜日の朝!!

夏野菜畑の整備を、やっと少し

できた。

 朝もちょっとやれるかな?

 風通しもよくなった。

寒菊や 

  醴(あまざけ)造る 

    窓の前(さき) 

   台所で甘酒を造るその窓前の庭で、

寒菊の花がひっそり咲いている、

の意。

 元禄六年(1693)の作。

 醴=甘酒

◎ 台所で、米搗きをしている臼の

わきに、寒菊が咲いている。

 秋末から初冬に掛けて咲く黄と白の

小さな花が、この寒さに震えている姿

が可愛らしい。 

 素直な句で、芭蕉に言わせれば、

同人のは見せられぬ平凡な句だと

いうのだが、師匠には、臼のわきに

そっと咲き出ている寒菊に配る芭蕉

の優しい視線に心温まったようだ。

 次の菊の氷の句も、ふと見ると、

菊が露に濡れている。

 つづく。


葎の友

2021-08-18 14:22:26 | 日記

葎の友

令和3年8月18日(水)

 今朝は久しぶりにお日様に・・・!

 予報と違い、雨。西には黒雲。

雨雲がしっかり青梅の西の方を埋め

尽くしている。

 楽しみは明日へか?????

さてこもる 

 葎(むぐら)の友か 

    ふゆなうり

   冬籠もりの庵を訪う者はなく、

冬菜を売りに来る商人がいわば

この葎の宿の友ということか、

の意。

 元禄元年(1688)の作。

「さしこもる」・・・戸を閉じて籠居する。

「葎の友」・・・葎の宿を訪れる友。

「葎の宿」・・・雑草の生い茂る粗末な家で、

隠者的生活の象徴。

 草庵閑居の一齣を描き、弧を愛しつつ

友を求める機微を示す。

◎ 葎の宿に引きこもって冬籠もりを

していると、冬野菜売りが立ち寄って

くれるくらいが来客になっている。

 野菜売りではあるが、久しぶりに

人が訪ねてくれるのだから

友達のように懐かしい。

 世間話や誰彼の噂話に興じたりして、

つい奮発して沢山の野菜を買って

やることになる。 

 当時は酢売り、箸売り、漬物売り等

がいて、お得意先の家を順々に巡って

いた。

 葎は八重葎、金葎などが草むらに

生い茂っていて、貧乏な人や隠者の

好みになっていたらしい。

 葎という名称には親近感があるが、

実物の葎はどうも私の好みではないかな。


籠もりて句づくり?

2021-08-17 11:33:53 | 日記

籠もりて句づくり?

令和3年8月17日(火)

屏風には 

  山を絵書て 

     冬籠

屏風には 

  山を画て 

     冬籠

  こうなると、絵画の方がはっきり

してくる。

 山の形が問題になる風景画だと

はっきり分かる。

 松の方を詠んだ句が4作ある。

 山の景色を描くか、松そのものを

描くかで、画家の目は違ってくる

からだ。

  松は古びて大きい。

 金屏風のかなりの面積を松の絵が

しめているようだ。

金屏風の 

  松のふるびや 

      冬籠
金屏に 

  松のふるびや 

      冬籠り

金屏の 

  松もふるさよ 

      冬籠

金屏の 

  枩のふるびや 

      冬籠

 やれやれ俳句一句作るのに、

大変な感性と思考とを使わねば

ならない。

 一語一語に、接尾語、仮名遣い、

そして切字、少しずつ完成句に近づく。

 連句を巻くとなれば、議論もあれば、

賛成もある。

 やっとできあがった一句に、

芭蕉が「これだ」という訳を下すまで、

あゝでもない、こうでもないという

選択と議論と工夫の連続だ。

 これが面白いのだし、芭蕉の決定句

ができて、弟子たちを成る程と納得

させるだけの力を持っていたこと

が弟子たちに分かることが素晴らしい。

 元禄六年(1693)の作。

金屏風の 

  松の古さよ 

     冬籠