☆(注)以下の文中に挿入されているイラストは、私が1992年に描いたものである。
紙が変色しているのは、後ろにセロテープを貼って、ノートに貼っていたからです。
見にくいかもしれませんが、我慢してください。
エリオット君は、前回(クリック!)の写真を見ても分かるように、トム・クルーズみたいに整った顔立ちでした。
◇ ◇ ◇
『エリオット君のお話(2)百ヶ日戦争勃発!』(1992年)
僕がテレビを寝そべって見ていたときのことだ。
後方からエリオットが走ってくる気配があった。
しかし、僕は、さして気に留めもしなかった。
……腹に衝撃が走った。
衝撃は、僕の内臓を一瞬にして、ひき肉にした!
『ウギャッ!』
僕は叫んだ。
口からは、先ほど食べたものが戻り、お尻からは実が出てしまいそうなインパクトであった。
エリオットは、僕の背にまたがり、ニコニコしている。
僕の痛みはなどは分かっていないらしい。
そして、僕に向って叫んだ。
『Get Up! (起きろ!)』
更に言う。
『Be Horse! (馬になれ!)』
・・・いよいよ、百ヶ日戦争のはじまりだった・・・。
(2009/05/27)
☆深く重いが、いい作品だった。
私は、ミステリには非常に詳しかったのだが、原作の伊坂幸太郎がデビューした頃から、なかなか読書の時間が取れなくなり、伊坂作品には詳しくない。
でも、先日観た伊坂原作の『フィッシュストーリー』には非常に感心した口だ。
今回の作品の舞台は仙台市内で、確か、『フィッシュ…』も仙台が舞台となっていたような気がする。
作者は仙台出身者なのかな?
私は、昨年、仙台に行ったので、今回の主人公の兄弟が放火犯を追い、仙台市内を巡るのだが、通ったような気がする場所も出てきて興味深かった。
◇
一つの家族を襲った「暴力」・・・、そこからの崩壊の危機を堂々と遠ざけてきた家族の物語である。
その「暴力」とは、「レイプ」である。
私は、かように構築された物語の中での性暴力には大きなストレスを感じさせられるほうで、見ていて、非常に嫌だった。
長男を前にして襲われる母親の図は、
何とも、山口県光市の母子殺害事件の現場を見せられているような気がしたからだ。
・・・そのレイプによって、鈴木京香が演じる母親は妊娠してしまう。
だが、今回はあたり役であろう小日向文世が演じる聡明な父親は、そのレイプ犯によって身ごもさせられた子を産む決断をし、自分の子(主人公の弟)として育てる。
その後、母親は事故で亡くなる。
母親亡き後の主人公家族は、20年近い時を経て、現在に至り、連続放火犯の秘密に気づく。
そして、レイプ犯だった男は、服役を終え、レイプ犯だった頃と全く変わらないメンタリティで仙台市内に舞い戻っていた。
◇
現在と過去が行き交い、その区切りに明確さはない。
しかし、構成が見事なせいか、物語はすんなり見ているこちらの頭に入ってくる。
そして、その時間の行き交いが、家族を包んでいた秘密を明らかにしていく。
世の中には、多くの切なさがある。
可愛い顔をしているが、やや奇矯な言動の弟(岡田将生)は、自分の過去の清算のために、ずーっと悩んでいたことが分かる。
そして、そんな弟の気持ちを逸らすことしかできない兄(加瀬亮)の立ち位置も切ない。
幼い弟に「レイプって何?」と聞かれ、「レイプ、グレイプ、ファンタグレープ!」とギャグにすることしか出来ない幼かった兄が健気で悲しい。
被害者であるが、自分が元凶だと分かりきっている母親も切ない。
苦悩する家族に、真実を告げ、見守ることしか出来ない父親も切ない。
対して、レイプ犯のメンタリティは現代的犯罪者である。
私は、3年ほど前に、「現在の犯罪者は、被害者の不幸を咀嚼し楽しむ段階」になってしまっているから、始末が悪いと長文を書いたが(その内再掲します)、その具現化のようなキャラクターであった。
渡部篤郎は良心の欠片もない男を見事に演じていた。
そんなレイプ犯を葬った兄弟。
リアリティある物語だが、兄弟は法に問われることはない。
ストレスたっぷりの物語の中で、この結末は、うん、素晴らしかった。
私は、この世に、のほほんと暮らしつつも、死ぬべき人間なんて多数いると思う。
そんな悪に制裁を下すことをいちいち裁かれていたら、キリがないぜ(暴言^^;)。
◇
また、この物語には、吉高由里子が一風変わった役で出ていた。
私は、昨朝、エントリーで吉高由里子の魅力について書いていたので、全く予期せぬ登場に快哉を叫んだ。
昨夜は、大橋のぞみ主演・吉高由里子出演のドラマを犠牲にしてまで、この『重力ピエロ』のレイトショーに来ていたから、嬉しかった^^
(2009/05/27)
私は、ミステリには非常に詳しかったのだが、原作の伊坂幸太郎がデビューした頃から、なかなか読書の時間が取れなくなり、伊坂作品には詳しくない。
でも、先日観た伊坂原作の『フィッシュストーリー』には非常に感心した口だ。
今回の作品の舞台は仙台市内で、確か、『フィッシュ…』も仙台が舞台となっていたような気がする。
作者は仙台出身者なのかな?
私は、昨年、仙台に行ったので、今回の主人公の兄弟が放火犯を追い、仙台市内を巡るのだが、通ったような気がする場所も出てきて興味深かった。
◇
一つの家族を襲った「暴力」・・・、そこからの崩壊の危機を堂々と遠ざけてきた家族の物語である。
その「暴力」とは、「レイプ」である。
私は、かように構築された物語の中での性暴力には大きなストレスを感じさせられるほうで、見ていて、非常に嫌だった。
長男を前にして襲われる母親の図は、
何とも、山口県光市の母子殺害事件の現場を見せられているような気がしたからだ。
・・・そのレイプによって、鈴木京香が演じる母親は妊娠してしまう。
だが、今回はあたり役であろう小日向文世が演じる聡明な父親は、そのレイプ犯によって身ごもさせられた子を産む決断をし、自分の子(主人公の弟)として育てる。
その後、母親は事故で亡くなる。
母親亡き後の主人公家族は、20年近い時を経て、現在に至り、連続放火犯の秘密に気づく。
そして、レイプ犯だった男は、服役を終え、レイプ犯だった頃と全く変わらないメンタリティで仙台市内に舞い戻っていた。
◇
現在と過去が行き交い、その区切りに明確さはない。
しかし、構成が見事なせいか、物語はすんなり見ているこちらの頭に入ってくる。
そして、その時間の行き交いが、家族を包んでいた秘密を明らかにしていく。
世の中には、多くの切なさがある。
可愛い顔をしているが、やや奇矯な言動の弟(岡田将生)は、自分の過去の清算のために、ずーっと悩んでいたことが分かる。
そして、そんな弟の気持ちを逸らすことしかできない兄(加瀬亮)の立ち位置も切ない。
幼い弟に「レイプって何?」と聞かれ、「レイプ、グレイプ、ファンタグレープ!」とギャグにすることしか出来ない幼かった兄が健気で悲しい。
被害者であるが、自分が元凶だと分かりきっている母親も切ない。
苦悩する家族に、真実を告げ、見守ることしか出来ない父親も切ない。
対して、レイプ犯のメンタリティは現代的犯罪者である。
私は、3年ほど前に、「現在の犯罪者は、被害者の不幸を咀嚼し楽しむ段階」になってしまっているから、始末が悪いと長文を書いたが(その内再掲します)、その具現化のようなキャラクターであった。
渡部篤郎は良心の欠片もない男を見事に演じていた。
そんなレイプ犯を葬った兄弟。
リアリティある物語だが、兄弟は法に問われることはない。
ストレスたっぷりの物語の中で、この結末は、うん、素晴らしかった。
私は、この世に、のほほんと暮らしつつも、死ぬべき人間なんて多数いると思う。
そんな悪に制裁を下すことをいちいち裁かれていたら、キリがないぜ(暴言^^;)。
◇
また、この物語には、吉高由里子が一風変わった役で出ていた。
私は、昨朝、エントリーで吉高由里子の魅力について書いていたので、全く予期せぬ登場に快哉を叫んだ。
昨夜は、大橋のぞみ主演・吉高由里子出演のドラマを犠牲にしてまで、この『重力ピエロ』のレイトショーに来ていたから、嬉しかった^^
(2009/05/27)