☆・・・11/10(火曜)…小雨
・・・<霧迷宮>から抜けた私は、半ば脱力し、でも、気力を振り絞り、次のダムを目指した。
しかし・・・、「ダム・ファッカー」稼業、・・・辛いのである。
ダム巡りを始めて、私は、すぐに、この作業、「地獄だな」と思った。
一日に500㌔近くを車で移動し、何かにせき立てられる様に、強迫観念で幾つものダムを巡る。
楽しいのは、ダムを発見したときの一瞬だけだ。
その一瞬の「ときめき
」だけが、私を突き動かしている。
夕方にもなると疲労で睡魔が襲ってくる。
インターネットカフェ(マンガ喫茶)に到着すると、そのままズブズブと眠りにつくのだ。
私は、今回の旅行で、インターネットカフェに何泊もしたが、マンガなどは一冊も読む余裕がなかった。
いや、唯一読んだマンガがあった。
・・・『外道坊&マーダーライセンス牙』^^;
◇
私は、霧の中、主要道と思われる道を進んでいた。
何人ものおばちゃんに道を聞いたが、埒が明かなかった。
作業者風のつなぎを着た男がいた。
道を聞くと、「ここはただの農道だ」と言う。
その人は、口を開けると前歯が二本なかった。
ダムに行きやすい45号線はどこか、と聞くも、キョトンとしている。
日頃の生活で、道を地図上の番号で認識することがないのか。
私は、ならばと、<四和防災ダム>の位置を聞く。
「それはある」
と、つなぎ男は答える。
「どう行けばいいですかね?」
「この道を行けば分かる」
「有難う御座います^^」
私は、車を走らせた。
「頑張ってね」
と、つなぎ男は、前歯の位置の奥に空ろを垣間見せながら言った。
何で、つなぎ男は、私が「頑張って」いると知っているんだろう。
私にとっては、それもまた、<不気味リスト>に書き込むべき事象であった。
・・・しかし、<四和防災ダム>は見つからなかった。
てゆーか、精神的に疲れがマックスになって、もうどうでも良くなっていた。
とりあえず、食い物にありつきたかった。
周囲は山々で、店などはなく、舗装の良い道路を、トリニティ(三台一組)で行動するダンプが行き交うだけであった。
<四・和・防・災・ダ・ム> 訪・問・断・念・!
だが、無数のトリニティ・ダンプの湧いて出る場所「<指久保ダム>建設工事現場」出入り口は発見した。
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かくして、私は、<霧迷宮>を後にした・・・。
・・・と、<指久保ダム>についてネット検索すると、以下のブログを発見した。
指久保ダム<ダム番号215>(クリック!)
このブログによると、建設中の<指久保ダム>は見学可能のようだ。
しかも、私が、<霧迷宮>をさ迷っているときに渡った、田舎にそぐわない近代的なエクストラドーズド形式の指久保橋の上からでも、建設現場が見えるのだそうだ。
が、私は、霧で見ることが叶わなかった・・・。
◇
十和田市外に入る。
ここも、シャッター商店街だ。
寂しい思いを抱きつつ、北上する。
そろそろ、腹ごしらえをしなくてはならないところだ。
しかし、ここでも、私の食に対する優柔不断さが出て、なかなかいい場所が見つけられなかった。
マクドナルドもあるが、旅先でのマックは避けたかった。
私は、ローカルかつ庶民的な食事を所望なのだ!
進行方向と逆サイドにあるうまそうな定食屋や、駐車場の入り難い食堂を何度もやり過ごした。
「よし、次に発見した店には、必ず入るぞ!」
と、決心するのだが、それでもグダグダと二,三軒やり過ごした。
<ラーメンの里・るんるん>の駐車場に滑り込む。
メルヘンな名前とは違って、ドライバー御用達風の店だ。
ラーメンと餃子を頼んだら、マスターが「だったら、定食にしたほうが、ご飯がついててお得だよ」と言うので、そうした。
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これは安い! 850円!!
写真中央の赤いのは、トラウトサーモンの刺身であり、これが定食の付け合せである。
嬉しい^^
ラーメンは、支那ソバ風の上品な味で、餃子は、肉がたっぷり! この肉厚さは、私に紅虎餃子房を思い出させた。
餃子の包み方も、その両サイドが独特で個性的、実がこぼれないように折り返しているんだな^^
貪り食う。
◇
この旅では、結局、十和田湖には行かなかったのだが、十和田の市内は抜けて、国道4号線から国道394号線を西に、第20のダムへ。
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<和田ダム>・・・ロックフィルダム
前の職場で、パートの奥さんで和田さんという濃い顔の方がいた。
私は、「次は和田ダムかぁ」と思いつつ向かっていたら、和田さんの顔ばかり思い出してしまった^^;
続いて、近くの<作田ダム>へ。
東八甲田家族旅行村と言う、冬に訪れると寂しいキャンプ場風や、牧場を突っ切りダムに向かうと、採石場があった。
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この看板には、一日2回の発破をかける時間が記されています。
でも、採掘場のほうは静かで、今日は誰もいないようだ。
更に進むが、誰もいない。
雨はシトシトと降っている。
静かで怖い。
・・・と、もっと怖いものがあった。
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作田隧道
この誰もいない空間での、暗いトンネルの怖いこと怖いこと^^;
もし、トンネル内の走行中に、四方八方から手がニュニュニュと出てきたら、どうすればいいのか?
いや、それでもいい。
車を猛スピードで飛ばして、やり過ごせばいいのだから・・・。
でも、行きにオバケに遭遇した場合、帰りにもう一度、このトンネルを通る勇気は私にゃ、ない。
でも、この道がダムを経由してどこかの他の道に通じているのならば、この「恐怖トンネル」も一度だけ通れば済むだろう。
・・・いや、しかし、この道がどこかに抜けられるとしたら、オバケも、一度きりのチャンスを逃さないであろう。
何にしても、この一回が、勝負どころだった。
などと考えつつ、
私は、ただひたすらに、出口の光だけを見て、車を飛ばした。
天井から水滴が落ちてきても気にしない。
内壁の染みも気にしない。
内部のコンクリの継ぎ目も気にしない。
気にしない、気にしない~^^;
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第21のダム<作田ダム>・・・ロックフィルダム
そして、ここは、西松建設施工のダムであった。
◇
西松建設会長室では、衛星映像会議が行われていた。
「ふはははははは^^ ミッドナイト・蘭は、我が社が建設した作田ダムのトンネルで恐怖を感じておるようだぞ」
「我々の、恐怖でミッドナイト・蘭の精神を徐々に削いでいく作戦は功を奏していると思われるな」
「確かに、宮城の後に、一気に青森に逃げられたのは、我々も驚いたが、下北半島辺りから、完全に、我々の監視に置かれている・・・^^;」
「私の硫黄ガス作戦で、ミド蘭の喉を焼いています^^」
「俺は、中国共産党から拝借した霧発生装置で、ミド蘭の視界を奪っています」
「僕は、雇ったおばさんたちに、ミド蘭に聞かれたら、間違った道順を教えるように仕込んでおきました^^」
「おう、みんな、よくやってくれているな!」とリーダー。
・・・と、そこまでみんなの話を黙って聞いていた西松建設社長が言った。
「お前ら、揃いも揃って、何で、そんな回りくどい作戦を行なっているのだ? さっさと殺っちまえよ! おい、お前、おばさんを雇ったって、何人雇ったんだ?」
「なにぶん、ミド蘭の細かい移動経路が分からないので、新郷村から十和田市にかけて、200人のおばさんを配置しました」
「・・・200人? おばさん一人に幾ら払っているんだ」
「それは任せてください^^ 青森県の最低賃金時給630円で雇っていますから^^」
「200人のおばさんを何時間づつ雇っているんだよ! 一時間づつだとしても、12万6千円の人件費がかかるぞ」
「そ、それは、大丈夫です^^; ちゃんと昼休憩の一時間は引いていますから^^;」
「だから、何時間雇ったんだって聞いているんだ!」
「・・・ブツブツ・・・、・・・時間です。ちゃんと定時で上がらせましたから」
「だから、何時間雇ったんだって聞いているんだ!」
「・・・、・・・一人づつ、8時から17時まで雇いました・・・、・・・」
「・・・12万6千円×8時間・・・、う、うわっ、100万8千円!!!」
「お前の下らない作戦で、経費が100万もかかってしまったのかあああぁ!!」
西松建設社長ウサチャンは卒倒した。
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(2009/11/29)
・・・<霧迷宮>から抜けた私は、半ば脱力し、でも、気力を振り絞り、次のダムを目指した。
しかし・・・、「ダム・ファッカー」稼業、・・・辛いのである。
ダム巡りを始めて、私は、すぐに、この作業、「地獄だな」と思った。
一日に500㌔近くを車で移動し、何かにせき立てられる様に、強迫観念で幾つものダムを巡る。
楽しいのは、ダムを発見したときの一瞬だけだ。
その一瞬の「ときめき
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夕方にもなると疲労で睡魔が襲ってくる。
インターネットカフェ(マンガ喫茶)に到着すると、そのままズブズブと眠りにつくのだ。
私は、今回の旅行で、インターネットカフェに何泊もしたが、マンガなどは一冊も読む余裕がなかった。
いや、唯一読んだマンガがあった。
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◇
私は、霧の中、主要道と思われる道を進んでいた。
何人ものおばちゃんに道を聞いたが、埒が明かなかった。
作業者風のつなぎを着た男がいた。
道を聞くと、「ここはただの農道だ」と言う。
その人は、口を開けると前歯が二本なかった。
ダムに行きやすい45号線はどこか、と聞くも、キョトンとしている。
日頃の生活で、道を地図上の番号で認識することがないのか。
私は、ならばと、<四和防災ダム>の位置を聞く。
「それはある」
と、つなぎ男は答える。
「どう行けばいいですかね?」
「この道を行けば分かる」
「有難う御座います^^」
私は、車を走らせた。
「頑張ってね」
と、つなぎ男は、前歯の位置の奥に空ろを垣間見せながら言った。
何で、つなぎ男は、私が「頑張って」いると知っているんだろう。
私にとっては、それもまた、<不気味リスト>に書き込むべき事象であった。
・・・しかし、<四和防災ダム>は見つからなかった。
てゆーか、精神的に疲れがマックスになって、もうどうでも良くなっていた。
とりあえず、食い物にありつきたかった。
周囲は山々で、店などはなく、舗装の良い道路を、トリニティ(三台一組)で行動するダンプが行き交うだけであった。
<四・和・防・災・ダ・ム> 訪・問・断・念・!
だが、無数のトリニティ・ダンプの湧いて出る場所「<指久保ダム>建設工事現場」出入り口は発見した。
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かくして、私は、<霧迷宮>を後にした・・・。
・・・と、<指久保ダム>についてネット検索すると、以下のブログを発見した。
指久保ダム<ダム番号215>(クリック!)
このブログによると、建設中の<指久保ダム>は見学可能のようだ。
しかも、私が、<霧迷宮>をさ迷っているときに渡った、田舎にそぐわない近代的なエクストラドーズド形式の指久保橋の上からでも、建設現場が見えるのだそうだ。
が、私は、霧で見ることが叶わなかった・・・。
◇
十和田市外に入る。
ここも、シャッター商店街だ。
寂しい思いを抱きつつ、北上する。
そろそろ、腹ごしらえをしなくてはならないところだ。
しかし、ここでも、私の食に対する優柔不断さが出て、なかなかいい場所が見つけられなかった。
マクドナルドもあるが、旅先でのマックは避けたかった。
私は、ローカルかつ庶民的な食事を所望なのだ!
進行方向と逆サイドにあるうまそうな定食屋や、駐車場の入り難い食堂を何度もやり過ごした。
「よし、次に発見した店には、必ず入るぞ!」
と、決心するのだが、それでもグダグダと二,三軒やり過ごした。
<ラーメンの里・るんるん>の駐車場に滑り込む。
メルヘンな名前とは違って、ドライバー御用達風の店だ。
ラーメンと餃子を頼んだら、マスターが「だったら、定食にしたほうが、ご飯がついててお得だよ」と言うので、そうした。
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これは安い! 850円!!
写真中央の赤いのは、トラウトサーモンの刺身であり、これが定食の付け合せである。
嬉しい^^
ラーメンは、支那ソバ風の上品な味で、餃子は、肉がたっぷり! この肉厚さは、私に紅虎餃子房を思い出させた。
餃子の包み方も、その両サイドが独特で個性的、実がこぼれないように折り返しているんだな^^
貪り食う。
◇
この旅では、結局、十和田湖には行かなかったのだが、十和田の市内は抜けて、国道4号線から国道394号線を西に、第20のダムへ。
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<和田ダム>・・・ロックフィルダム
前の職場で、パートの奥さんで和田さんという濃い顔の方がいた。
私は、「次は和田ダムかぁ」と思いつつ向かっていたら、和田さんの顔ばかり思い出してしまった^^;
続いて、近くの<作田ダム>へ。
東八甲田家族旅行村と言う、冬に訪れると寂しいキャンプ場風や、牧場を突っ切りダムに向かうと、採石場があった。
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この看板には、一日2回の発破をかける時間が記されています。
でも、採掘場のほうは静かで、今日は誰もいないようだ。
更に進むが、誰もいない。
雨はシトシトと降っている。
静かで怖い。
・・・と、もっと怖いものがあった。
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作田隧道
この誰もいない空間での、暗いトンネルの怖いこと怖いこと^^;
もし、トンネル内の走行中に、四方八方から手がニュニュニュと出てきたら、どうすればいいのか?
いや、それでもいい。
車を猛スピードで飛ばして、やり過ごせばいいのだから・・・。
でも、行きにオバケに遭遇した場合、帰りにもう一度、このトンネルを通る勇気は私にゃ、ない。
でも、この道がダムを経由してどこかの他の道に通じているのならば、この「恐怖トンネル」も一度だけ通れば済むだろう。
・・・いや、しかし、この道がどこかに抜けられるとしたら、オバケも、一度きりのチャンスを逃さないであろう。
何にしても、この一回が、勝負どころだった。
などと考えつつ、
私は、ただひたすらに、出口の光だけを見て、車を飛ばした。
天井から水滴が落ちてきても気にしない。
内壁の染みも気にしない。
内部のコンクリの継ぎ目も気にしない。
気にしない、気にしない~^^;
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第21のダム<作田ダム>・・・ロックフィルダム
そして、ここは、西松建設施工のダムであった。
◇
西松建設会長室では、衛星映像会議が行われていた。
「ふはははははは^^ ミッドナイト・蘭は、我が社が建設した作田ダムのトンネルで恐怖を感じておるようだぞ」
「我々の、恐怖でミッドナイト・蘭の精神を徐々に削いでいく作戦は功を奏していると思われるな」
「確かに、宮城の後に、一気に青森に逃げられたのは、我々も驚いたが、下北半島辺りから、完全に、我々の監視に置かれている・・・^^;」
「私の硫黄ガス作戦で、ミド蘭の喉を焼いています^^」
「俺は、中国共産党から拝借した霧発生装置で、ミド蘭の視界を奪っています」
「僕は、雇ったおばさんたちに、ミド蘭に聞かれたら、間違った道順を教えるように仕込んでおきました^^」
「おう、みんな、よくやってくれているな!」とリーダー。
・・・と、そこまでみんなの話を黙って聞いていた西松建設社長が言った。
「お前ら、揃いも揃って、何で、そんな回りくどい作戦を行なっているのだ? さっさと殺っちまえよ! おい、お前、おばさんを雇ったって、何人雇ったんだ?」
「なにぶん、ミド蘭の細かい移動経路が分からないので、新郷村から十和田市にかけて、200人のおばさんを配置しました」
「・・・200人? おばさん一人に幾ら払っているんだ」
「それは任せてください^^ 青森県の最低賃金時給630円で雇っていますから^^」
「200人のおばさんを何時間づつ雇っているんだよ! 一時間づつだとしても、12万6千円の人件費がかかるぞ」
「そ、それは、大丈夫です^^; ちゃんと昼休憩の一時間は引いていますから^^;」
「だから、何時間雇ったんだって聞いているんだ!」
「・・・ブツブツ・・・、・・・時間です。ちゃんと定時で上がらせましたから」
「だから、何時間雇ったんだって聞いているんだ!」
「・・・、・・・一人づつ、8時から17時まで雇いました・・・、・・・」
「・・・12万6千円×8時間・・・、う、うわっ、100万8千円!!!」
「お前の下らない作戦で、経費が100万もかかってしまったのかあああぁ!!」
西松建設社長ウサチャンは卒倒した。
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(2009/11/29)