※この記事は、豊洲新市場3街区の各建物群の現在の進捗状況だけを伝えるための「概要版」です。進捗状況のみを知りたい方向けに作った記事であり、豊洲六丁目地区の周辺風景などを含めての記事は、後日作成します。
豊洲新市場 6街区(水産仲卸売場棟):工事進捗率60% 2015年11月5日
世界最大級の生鮮市場である築地市場は、老朽化や施設が手狭であるなどの理由により、江東区の豊洲地区の東京ガス工場跡地に移転することになっています。しかし、建設予定地の土壌汚染が判明したため、計画は当初の予定よりも大幅に遅れていますが、2020年の東京オリンピック開催時には間に合います。現在、2016年11月の開業を目指して建設工事が進められており、完成すれば約40.7ヘクタールの敷地に水産卸売場、水産仲卸売場、仲卸売場の3つの市場棟のほか、市場ならではの「にぎわい」を創出する「千客万来施設」などが設置される予定です。
豊洲新市場は景観にも配慮していて、護岸沿いには遊歩道を整備し、水産仲卸市場棟の屋上は緑化広場となります。緑を創出することで、ヒートアイランド対策にもなります。そして最先端のエネルギー利用システムを推進することで、二酸化炭素の排出量を削減させることが出来ます。
新市場内には、既存の築地市場内での壮観なマグロのせり、新鮮な食材を味わえる飲食施設の伝統を引き継いだ「千客万来施設」が設けられることになります。2014年2月19日、豊洲新市場の本体施設に隣接する「千客万来施設事業」の事業予定者として、喜代村と大和ハウス工業を選定したとプレス発表がなされました。
※追記 2015年4月28日、運営予定だったすしチェーン「すしざんまい」を展開する喜代村(中央区)が撤退した都の報道発表が東京都からありました。グループを組んでいた大和ハウス工業(大阪市)も2月に辞退を表明しており、計画全体が白紙になった形です。
新しい「豊洲新市場」の概要
新しく建設されることになる豊洲新市場の特徴は以下の6点です。
1.他市場への転配送施設を設置するなど、首都圏のハブ機能を確立する。
2.搬入から搬出までの一貫した物流システムを確立するなど、取引・物流両面の効率化を図る。
3.高度な衛生管理、よりよい品質管理が可能となる施設整備や体制づくりを行うなど、安全・安心の市場づくりを行う。
4.買い回りの利便性の向上及び商品や取引情報の提供など、顧客サービスを充実する。
5.環境負荷の低減、省エネ・省資源を実現する。
6.賑わいゾーンの設置や魅力ある都市景観に配慮するなど、まちづくりに貢献する市場とする。
築地から豊洲へ移転する必要性
築地市場の問題点として
1.施設の老朽化:会場から70年以上が経過し、建物の一部が破損しているなど安全性に不安を抱えている。部分的には改修してきたが、その対応にも限界がある。
2.搬出・搬入スペースの不足:大型トラックでの搬出・搬入のためのスペースが不足しており、車両動線の確保が難しい状態が続いている。
3.施設の過密化:駐車したり、荷さばきする場所が足りなくなっており、市場内が常に混み合っている。作業効率が悪くなる上、車両などの接触事故が起こるリスクがある。
4.高度な品質・衛生管理が難しい:荷置き場が足りず、商品が路上に山積みになることが多い。また温度管理が不十分で、高温や風雨の影響を受けやすい。
豊洲市場に移転する必要としては
1.約40ヘクタールの用地:駐車場や荷さばきの場所を確保でき、搬出・搬入スペースも十分にあるので過密状態が解消される。
2.交通条件が良い:首都高速道路の出入り口(豊洲IC)や主要幹線道路にアクセスしやすく、また羽田空港や東京港からの輸送利便性も高い。
3.大消費地に近い:豊洲地区は都心から2~4キロと近く、飲食店が集中する銀座からも近い。また著しく発展する臨海地区とも隣接している。
4.築地市場に近い:築地市場からは2.3キロ、車で5分と近く、築地で培ってきた顧客との関係やブランドが豊洲新市場でも活かされる。
築地から豊洲への市場移転までの経緯
1935年(昭和10年) 築地市場開場
1988年(昭和63年) 築地市場再整備基本計画の策定
1991年(平成3年) 再整備工事に着手
1996年(平成8年) 再整備工事が難航・中断
1998年(平成10年) 移転の検討開始
2001年(平成13年) 豊洲への移転決定
2004年(平成16年) 「豊洲新市場基本計画」公表
2006年(平成18年) 豊洲新市場基本設計確定
2014年(平成26年) 2016年11月上旬の豊洲新市場の開場時期が正式決定
「豊洲新市場」の完成イメージパースです。南東側の上空から見下ろして撮影した形となっていて、豊洲新市場の敷地全体が3つの大きなブロックに分割されています。
豊洲新市場の配置図です。新しく建設された2本の道路を挟んで、3ブロックの区画に分けられていて「水産仲卸売場棟」「水産卸売場棟」「青果棟」となっています。千客万来施設棟部分は、水産仲卸売場棟に隣接して設けられることになります。
豊洲新市場内に併設される商業施設「千客万来施設事業」の完成予想図を、東京都中央卸売市場のホームページから拝借しました。東京の新しい新名所、観光名所になりそうですね。
約140店舗を擁する「"豊洲"場外市場」等が整備されることになります。
豊洲新市場の計画・施設概要
1.取扱量・物流量の想定
市場取扱量 水産物部 2300トン/日 青果部 1300トン/日
市場内物流量 水産物部 2900トン/日 青果部 1300トン/日
2.施設規模等
所在地 江東区豊洲六丁目
敷地面積 約40.7ha(護岸を含む面積約44ha)
延べ面積 約40.8万㎡
3.主要施設
5街区 青果棟(青果卸売場・青果仲卸売場・加工パッケージ施設など)
6街区 水産仲卸売場棟(水産仲卸売場・物販・飲食店舗など)
7街区 水産卸売場棟(水産卸売場・加工パッケージ施設・転配送センターなど) 管理施設棟(都・衛検事務所・各業者事務所・飲食店舗など)
4.階数
5街区 3階
6街区 5階
7街区 水産卸売場棟5階・管理施設棟6階
5.街区面積
5街区 約12.9ha
6街区 約14.3hag
7街区 約13.5ha
6.延べ面積
5街区 約9.3万㎡
6街区 約17.2万㎡
7街区 約14.3万㎡
7.施設の設計
水産仲卸売場棟・水産卸売場棟・青果棟:日建設計
8.施設の施工
水産仲卸売場棟:清水建設・大林組・戸田建設・鴻池組・東急建設・錢高組・東洋建設JV
水産卸売場棟:大成建設・竹中工務店・熊谷組・大日本土木・名工建設・株木建設・長田組土木JV
青果棟:鹿島建設・西松建設・東急建設・TSUCHIYA・岩田地崎建設・京急建設・新日本工業JV
プレスリリース:東京都中央卸売市場のホームページ
豊洲新市場建設について 新たな首都圏の基幹市場“豊洲新市場”
豊洲新市場建設工事施設計画の概要
ニュースリリース:産経ニュース 2015年4月28日
豊洲新市場の観光拠点、「すしざんまい」の喜代村も撤退で計画全体が白紙に
環状第2号線の「豊洲大橋南詰交差点」前から撮影した「6街区(水産仲卸売場棟)」の建物群の全景です。交差点側では「千客万来施設棟」の鉄骨工事が始まっていました。
交差点の北西側の一角で建設中の「千客万来施設棟」の全景です。豊洲新市場の他の街区や市場前駅舎とは、ペデストリアンデッキで結ばれることになります。
「水産仲卸売場棟」の建物群を南東側から撮影しました。青果棟や水産卸売場棟の建物群と比較すると、オーソドックスなデザインの建物ですね。
建物の壁面に取りついている、この工事用シートのフレームの形がユニークですね。
東雲運河に架橋されている「富士見橋」前から「水産仲卸売場棟」の建物群の全景を撮影しました。
こちらの建物群も、市場というよりは幕張メッセのような巨大展示場のようにしか見えないですね。
豊洲新市場の敷地がある豊洲六丁目地区の一般道路は早い時期から整備されていて、歩道の幅が20メートル近くも整備されているほど、立派な道路となっています。
水産仲卸売場棟の地上3階から地上へアクセスすることが出来るスロープ道路を撮影しました。
水産仲卸売場棟の建物群の、南側の壁面を撮影しました。
豊洲六丁目地区内を東西方向に横断している「補助315号線」の道路との連絡通路の工事も行われていました。
連絡通路の全景を撮影しました。
南西側から撮影した「千客万来施設棟」の鉄骨群です。
豊洲大橋南詰交差点の北西角前から撮影しました。
豊洲新市場の「6街区(水産仲卸売場棟)」の地図です。