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初夏の上野散策:本郷キャンパスと東京大学医学部附属病院

2012年07月10日 19時28分18秒 | 台東・上野周辺


鬱蒼とした新緑の並木道をひたすら歩いて東大病院へ向かいます。「東京大学本郷キャンパス」は文京区本郷七丁目や弥生地区に広がる「東京大学」のキャンパスであり、東京大学の本部が敷地内に置かれています。附置研究所など附属研究施設も設置されており、ほとんどの学部後期課程をこのキャンパスで履修することになります。また後述する医学部付属病院が敷地内に併設されています。




江戸時代の本郷七丁目周辺は加賀藩前田家の藩邸が置かれた地でした。17世紀初頭に加賀藩の下屋敷が置かれ、天和3年(1683年)には上屋敷となり、江戸時代を通じて加賀藩の上屋敷が置かれ、江戸時代を代表する大大名の広壮な大名屋敷の空間がこの地に築かれた。明治維新後の明治9年(1876年)に藩屋敷の跡地に東京医学校(東大医学部の前身)が移転します。




翌年の明治10年(1877年)には、医学校と東京開成学校(神田錦町に所在)を統合して法理文医4学部からなる(旧)東京大学が発足しました。当時の東京府立医療学校や官立の研究機関など、国によって莫大な投資がなされたのです。その後順次、神田から法・文・理学部がここに移転(1884 - 85年)、ついで法学部との合併により司法省法学校が、工芸学部との合併により工部大学校が本郷に移転し、1888年には法医工文理5分科大学(学部)の校舎からなる東京帝国大学の校地として整備されました。




散策道の街路樹が切れて視界が開けるとようやく東大病院の敷地が見えてきました。このそばには路線バスの「東大病院停留所」があり、5分間隔でJR上野駅とJR御茶ノ水駅を結ぶ路線バスが発着しています。また自家用車やタクシーの往来も多く、「ゆったりとした雰囲気の大学キャンパス」というイメージとは程遠いです。




大正12年(1923年)、関東大震災による校舎・施設の壊滅で、いったんは代々木など他地区への校地移転が検討されたものの、結局東大はこの地区に存続することとなります。大正15年(1926年)には、前田家から屋敷や庭園を含む所有地(現在の懐徳館・同庭園・総合博物館・東洋文化研究所などの敷地)を譲り受け、代わりに前田家は当時駒場に所在していた農学部の農場の一部を譲渡され同地に邸宅を移転しました(現・駒場公園)。




現在の「本郷キャンパス」に所属している学部は法学部、医学部、工学部(一部は浅野キャンパス)、文学部、理学部(一部は浅野・駒場Iキャンパス)、経済学部、教育学部、薬学部です。研究所や附属病院などの付属施設が非常に多いので、東京大学の中では最大の規模を誇っています。




「東京大学医学部附属病院」の外来診療棟前に到着しました。建物脇にはロータリーが整備されており、自家用車でも正面玄関前に乗り付けるようになっています。また外来診療棟の脇にはタクシープールが設置されていて、やはり高齢の患者さんたちが多いためか、常にタクシー乗り場には列ができています。




手前は「外来診療棟」、その奥は「中央診療棟」、更に奥の高い建物は「入院棟」となっています。「東京大学医学部附属病院」の歴史は江戸時代まで遡ります。江戸時代に天然痘が流行した時期があり、その時に現在の千代田区岩本町の「お玉が池」のほとりに安政5年(1858)、伊藤玄朴や大槻俊斎ら江戸の蘭学者たち82名が資金を出し合って「種痘所」をつくりました。これが東大病院の原型です。




その後何度も名称を変えたり、とある官立の研究機関と合併したりしていましたが、「東京医学校」という名称に落ち着きます。明治9年(1876年)11月に東京開成学校と東京医学校を合併、東京大学となり、病院は東京大学医学部附属病院と改称しました。敷地内から東京スカイツリーが見えたのでズームで撮影してみました。




明治19年(1886年)に東京大学は帝国大学、医学部は医科大学となり、本郷にある第一医院及び神田に附属病院として設立された第二医院は、帝国大学医科大学附属第一医院及び第二医院と改称します。その後大正から昭和の戦争期にかけて何度も名称を変更しますが昭和24年(1949年)に「東京大学医学部附属病院」の名称に落ち着きます。





日本を代表する総合病院として走り続けてきた東大病院ですが、21世紀に入ってもその動きは止まることはありません。平成21年(2009年)には地域連携型高度医療人養成推進センターが設置、平成22年(2010年)には救命救急センターが設置、平成23年(2011年)には総合周産期母子医療センター、ゲノム医学センターが設置されました。




東京大学医学部附属病院は国の指定によって高度医療を提供する「特定機能病院」に指定されています。「特定機能病院」とは一般の病院などから紹介された高度先端医療行為を必要とする患者に対応する病院として厚生労働大臣の承認を受ける。一般の病院としての設備に加えて集中治療室、無菌病室、医薬品情報管理室を備え、病床数400以上、10以上の診療科、来院患者の紹介率が30%以上であることを条件としていています。





高度医療を優先するという大義名分があるので紹介状を持つ患者の方の診療が優先され、持たない患者には追加料金が請求される制度になっています。実際問題として紹介状を持たずに、予約もせずに診察を受けるとなるとどの課でも数時間以上、場合によっては半日くらい待たせられることもあるそうです。「本日の予約患者数は3,420人です。」との説明板が正面玄関にあります。




入院棟の建物の総合受付前にある「TULLY’S COFFEE 好仁会東大病院店」のお店で休憩することにします。少し店内の雰囲気が変わっていたので後で調べたところ、2011年の11月にリニューアル工事がなされたそうです。入院患者のご家族などの方などが利用されており、非常に落ち着いた雰囲気のお店でした。




タリーズコーヒーの店舗に隣接して中庭が整備されています。入院棟と中央診療棟の間にあるスペースで、周辺は人通りが多いですが、ベンチや樹木がきれいに並べられている中庭は非常に静かでした。




「東京大学医学部附属病院」の外来診療棟前が中心点です。次回は東京大学の「鉄門」から敷地外に出て岩崎邸前へ向かいます。

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