★ベルの徒然なるままに★

映画、ゲーム、アニメ、小説、漫画・・・管理人ベルの、大好きな物をいっぱい集めた徒然日記です。

『秋期限定栗きんとん事件』

2010年11月04日 | 小説・漫画・書籍
読み終わりました\(^0^)/
『秋期限定栗きんとん』事件 

今回は、少し長めのお話で、上巻と下巻に別れています。
っていうか、今、気が付いたけど。
この上下巻のカバーイラスト、繋がってる!!!

人より知恵が働き、頭がよいのを良いことに、色んな事を推理し、他人の秘密を暴くのが大好きだった、狐みたいな小鳩君。
自分に嫌な想いをさせた相手は、とことん追いつめて復讐するのが大好きだった、狼みたいな小佐内さん。

けれども、この嫌な性格の所為で、中学時代になにやらトラウマなことがあった2人は、高校生活からは、「普通の人」デビューを目指すわけですね。
目指せ、小市民。

他人のあれこれに首は突っ込まない。
何事にも無関心。
目立たず、普通でいること。
周りと、必要以上な関わり合いを持たない。

そんな2人の物語な訳ですが。


『春期限定いちごタルト事件』では、高校1年生の春の物語。
【10月21日『春期限定いちごタルト事件』】

『夏期限定トロピカルパフェ事件』では、高校2年生の夏野物語。
【10月27日『夏期限定トロピカルパフェ事件』】


そして、3巻の『秋期限定栗きんとん事件』では、高校2年の秋から高校3年秋までの物語。

おお!
時間がどんどん進んでる!!!

2人も成長してますね~。

そうそう。
このシリーズは、作者さんによると、小鳩君と小佐内さんが高校を卒業するまでのエピソードを春夏秋冬に分けて描くそうです。
つまり、まだ出ていませんが、次作の『冬期~~~』で、シリーズ完結という訳ですね。

このシリーズが大好きな私としては、次作で終わりなんて、すごく淋しいのですけど・・・・。


で。
前作『夏期限定~~~~』は、猛烈に切ない終わり方をしたのですよね。

そもそも、小鳩君と小佐内さんは、常に一緒にいるけど、それは恋愛関係ではなくて、互恵関係。
自分の嫌な性格を直すために、2人一緒にいて。
どちらかが、嫌な性根を出しそうになったら、もう片方が止めてあげる。
そして、端から見たら「付き合っているカップル」という風に見えることを隠れ蓑にし、周りから少し距離を置いて、目立たないようにしている。

そんな2人だったのですが。
『夏期~~』の事件で、互いの嫌な性格を直すのに、互いは必要ない。寧ろ、一緒にいることで、嫌な性格が助長される~~と結論づけた2人は、お別れします。

別に、恋人じゃなかった訳だから、「別れる」は変かもしれませんが、要は、コンビ解消ね!

とはいえ。
わたし的には。
この2人、自分では気が付いていないだけで、本当は、互いに好きである・・・つまり両想いなんじゃないかなぁと思えるわけですよ。
ただ、この2人は、自分の嫌な性格を直すのに必死で。
「一緒にいるのは、嫌な性格を直すための手段」という建前が邪魔をして、自分の本当の気持ちに気が付いていないだけじゃないかと。
そう思うのですよね~。

なので、『夏期~~~』の結末は、物凄く切なくて哀しかったです。

そんな切ない終わり方をした『夏期~~~』のすぐ直後から、『秋期~~~』の物語は幕を開けます。

学校では「付き合っている」ことになっていた2人なので、それは、やはり、端から見れば「別れた」ということになるわけですし。
『秋期~~~』では、2人とも、学校で顔を合わせても、挨拶すらしない。
互いに互いを無視して、学校生活を送ります。

せ、切なすぎる(TT)っ

そして、高2の二学期が始まるとすぐに、小鳩君には、中丸さんというカノジョが、小佐内さんには瓜野君という下級生のカレシが出来るのですよ~。

でも、2人とも、別に相手のことが好きで付き合っている訳では無さそう。

小鳩君は、中丸さんとのデート三昧なお付き合いを、それなりに楽しんではいるけれども。
別に、彼女のことが好きという訳ではなくて。
単に、恋愛を楽しむ普通の高校生男子・・・・・・というシチュエーションをそれなりに、楽しんでいる感じなのですよね。
単に、告白されて、可愛いし、断る理由もないし~みたいな感じで付き合いだしたというか。
デートを楽しみつつも、心の中では、別のことを考えてて、どこか冷めてる。

で。
一方の小佐内さんも。

瓜野君という、1学年下の新聞部員に告白され、なんか、その場でOKって感じでした。
そして、小佐内さんもまた、瓜野君と付き合っては居ても、あまり楽しそうじゃないというか。
一緒にいても、心は別の所にあるというか。
瓜野君にとってみれば、小佐内さんは、果てしなくつかみ所のない女の子だったことでしょう。

そんなすれ違いな小鳩君と小佐内さん。
2人の接点は、一切、無くなってしまいました。

それが、もう、イライラするというか、焦らされるというか、ヤキモキするというか・・・。

つ~か、別に、コンビ解消したからって、学校で無視しなくてもいいじゃん!
挨拶とか会話とか、しろよっっっっ!!!!!!
みたいな?(笑)

そして。
そんな中、月一ペースで起こる連続放火事件。

小佐内さんのカレシ、新聞部員の瓜野君は、連続放火事件についての記事を、学校新聞に載せるのです。
そして、彼は、一連の放火事件に、法則性を見いだすのですよね。
そうやって、その法則性から、次の放火現場を推理して、学校新聞に載せる。
すると、学校新聞の予想通り、次の火事が発生する・・・・・・・。

犯人がなかなか捕まらない中、放火犯の犯行の法則性、そして、現場に残す手掛かりに気付いている瓜野君は、記事を書くだけでは飽きたらず、ついには、
「放火犯を、新聞部の手で、いや、自分の手で捕まえる」
とまでの使命感に燃え始めます。
そして、部員共に、放火現場予想地を張り込んだりするわけですが。

・・・・・・なぜか、そこにちらつくのが、小佐内さんの影なのですよね・・・・・・。

一方、中丸さんとデート三昧の日々を過ごす小鳩君も。

市内で起こる連続放火事件の犯行現場に、小佐内さんと関連のあるものを見付けてしまいます。
そして、ちょっと調べ始めると。

事件を追う新聞部。
そして、新聞部の影に暗躍する小佐内さん・・・というか、彼女が放火犯を追うリーダー瓜野君の恋人であることを知り。

不思議な関連性を感じるのですよね。

まさかとは思うけど、放火魔は小佐内さん・・・・・・・・・・?????

という訳で、小鳩君も、こっそりと放火事件を追い始めるのでした。

・・・なんていうか。
今までだったら、こういう謎な事件、危険な事件が起こると、追跡するのは、小鳩&小佐内コンビだったのですよね。

でも、『秋期限定~~~』では、2人には、それぞれ別のパートナーが居て。
事件に関わっていくのも、別々。
別のパートナーとなのですよね。
それが、ホント、哀しいというか、なんというか。

そして、とにかく、放火現場にチラつく、小佐内さんの影(^^;

彼女は一体、何をしているのか?

物語前半から中盤までは、ホント、怪しい小佐内さん。
ミスリーディングだ・・・・・・とは分かっていましたが。
でも、心の中のどこかで、
「もしかして、小佐内さんは、小鳩君に戻ってきて欲しくて、事件を起こしてる・・・・・とか?」
と思っちゃうところもありました。

でもでも。
ここまで読んできた小佐内さんの性格からして、絶対にそんなことはしないだろうしなぁ~と思いますし。

ミステリアスで面白かったです。

そして、中盤を過ぎたことから、真犯人は推理できました。
ハイ、思った通りの人が犯人でした(^^)b

とはいえ、どんどん、小佐内さんが怪しい感じになってきて。
ついには、カレシである瓜野君からも、「犯人は小佐内だ」と告発されるシーンはドキドキしました。

で。
それぞれ、別々に事件を追っていた、小鳩君と小佐内さんは、無事、解決の現場で再会します。

これ、なんか運命めいてて、ドキドキ(///)
そして、やっと・・・やっとこさ、コンビ復活♪♪♪

う~。
前巻のラストから・・・長かった・・・・・。
凄くホッとしましたです。

本で読むと、高2の秋から高3の秋までって、短いですが。
でも、実際に高校生にとってみれば、高2の秋から高3の秋までの1年って、物凄く長くて、貴重な時間。
二度とは無い時間ですよね。

そんな貴重な時間を、2人、バラバラで過ごして。
どこかつまらない日常を送っていたなんて、勿体なさ過ぎる・・・(TT)

でも、離れていたからこそ分かった、大切なことというのもたくさんあった訳で。
そういう意味では、この2人の遠回りは無駄ではなかったわけでしょうが。

でもでも。
結局、何の罪もない、中丸さんや瓜野君は傷付いちゃった訳ですよね。
っていうか、小鳩君と小佐内さんが傷付けたわけで。

この2人は普通の高校生になろうと、小市民になろうと、努力するわけですが。
結局は、彼らは、小市民ではいられない。
そして場合によっては、人を傷付ける。

それは、なんだかなぁ(^^;という気もするのですが。

でも、強すぎる個性を押さえようとして、でも、押さえきれず。
事件に自ら飛び込むのか、事件が自分たちの所へ飛び込んでくるのか。
とにかく、「普通」で居られない、彼らの姿は可愛く思います。
ちょっと、いや、かなり、ヒネてるところも良い!!!!!

と言うわけで。
わたし的には、コンビ復活して、嬉しい結末でしたが。

でも、恋に破れ、プライドを無くし、傷付いた人も居るわけで。
そこは、スッキリしない終わり方なのかもしれないです。
読み終わった後は、なんとも複雑な気分になります。
こういう読後感は、この作者さんの作風だなぁ~と。

そんなこんなで、スイーツ事件簿、既刊は全部、読み切っちゃいました。

それにしても、思うのが。
私、このシリーズを出版オンタイムで読まなくて良かった~ということ。

だって、あんなに、切ない終わり方をした『夏期限定~~~』から、次巻を待つなんて、焦らされすぎる!
そして、更に切なさを増す『秋期限定~~~』の上巻を読んで、下巻を待つなんて・・・・!

その点、私は、このシリーズ、既刊一挙買いでしたから。
続きが気になっても、サクサク続きが読めました。

そして。
シリーズの最終章となる『冬期~~~~』も楽しみですね。

とはいえ、このシリーズは書き下ろしなので。いつ出版されるのかも分からないのですが。
楽しみに待ちたいと思います。

そして、待っている間に、このシリーズのコミカライズも読みたいです。

今、『春期限定~~』の上下巻と、『夏期限定~~』の上巻がコミックで出ています!