★ベルの徒然なるままに★

映画、ゲーム、アニメ、小説、漫画・・・管理人ベルの、大好きな物をいっぱい集めた徒然日記です。

映画『グランド・ブダペスト・ホテル』

2014年07月18日 | 映画鑑賞記
今日は、先日見た、映画の感想を。

この火曜日に見て来ました、映画『グランド・ブダペスト・ホテル』。
ウェス・アンダーソン監督作品。



予告編と、あと、凄い印象的な映画館のディスプレイ(ピンク色の箱のプレゼントが大量に積んである・・・というヤツ)が、かな~り気になって、楽しみにしていた作品です。

で。

私、この監督の作品といえば、『ダージリン急行』は、ちょっとイマヒトツだって。
『ムーンライズ・キングダム』は、まあまあ好きだったのですが。

今回の、この『グランド・ブダペスト・ホテル』は・・・・・・めっちゃツボっちゃいましたですよぉ(≧▽≦)!!

すっごく面白くて、気に入って。

パンフレットも買っちゃいました☆


■『グランド・ブダペスト・ホテル』予告編


1930年代の、架空の国、ズブロフカ共和国を舞台に、超高級ホテルの一流のコンシェルジュと、新人ベルボーイが織りなす交流と冒険とミステリー・・・とでも言いましょうか(^m^)


と言っても、映画の構成は、とても面白い作りになってます。
そして、冒険といっても、そんなに痛快なものではなくて、かなりシュール。

私は大好きでしたが、好き嫌いは別れる作品かもですね。



まず、冒頭は、現代。
旧ズブロフカ共和国。

場所は墓地。

その墓地の中に、ひときわ大きくて立派なお墓があるのですね。
お墓には、なにやら、そこに眠っている人物と思われる胸像まで乗っかってて。そして、墓石にぶら下げられた、大量の鍵。
墓碑を見ると「国の宝」と言われるくらい有名な作家さんだったよう。
そして、そのお墓を訪ねる女の子。
彼女もまた、作家の眠る墓石に、鍵をぶら下げます。
それから、お墓の前のベンチに座り、一冊の本を開くのでした。

この本のタイトルが『グランド・ブダペスト・ホテル』。

そう、この映画のタイトルですね。

つまり、これから描かれる映画は、このお墓に眠る作家さんが書いた作品なのです。


・・・と言っても、実は、そう簡単な構成では無くて、なかなかに凝ってます。

次に舞台となるのは1980年代。

まだ、この作家さんは存命中。

そして、『グランド・ブダペスト・ホテル』を書くこととなった、きっかけというか体験を語りはじめます。


で、舞台は、彼がまだ若かった1960年代へ。
当時、作家として、なかなか良い作品を生み出せないことに悩んでいた彼は、英気を養うため&休養のために、旧ズブロフカ共和国にある、グランド・ブダペスト・ホテルに滞在します。

そこは、かつて、贅沢の極みを凝らした超一流のホテルだったのですが、時代の流れと共に、廃れ。

今では、滞在客もごく僅か。

かつては豪華だったであろう装飾なども廃れていて、なんとも、退廃的な雰囲気のホテルです。

ある日、彼は、そのグランド・ブダペスト・ホテルのオーナーという男性と知り合い、ひょんなことから一緒にディナーをとることになります。

今となっては、かつての栄光が空しい、廃墟のようなこのホテルを買い取った、物好きなオーナー。

彼は、大金持ちであるにも関わらず、このホテルに滞在する時は、いつもバスルームもない使用人部屋だとか。


そんな謎のオーナーに興味を持った作家は、ディナーの時に、オーナーから、かつてグランド・ブダペスト・ホテル華やかなりし時代の頃の物語を聞かされることになります。



そして。
オーナーが語った物語とは。

時代は、1930年代。

グランド・ブダペスト・ホテルが、最高に輝いていた時代。

当時、まだ新米のベルボーイだったというオーナーと、「伝説のコンシェルジュ」と呼ばれた超一流のコンシェルジュの交流と冒険、そして絆の物語。。。。。


という展開なのですよ。

つまり、現代、1980年代、1960年代、1930年代という多重構成になった舞台。

面白いですよね~。


そしてそして、カメラアングルも凄く凝っています。っていうか、独特。

一見、お芝居の舞台っぽくもあるのですよね。
ホテルの外観にはミニチュアを使って撮影してて、それが、いかにもミニチュアって感じで分かるのですが、それが却って、舞台っぽい、良い雰囲気を出しています。

いやいや。

舞台のお芝居・・・というより、箱庭かなぁ。

『ムーンライズ・キングダム』でも感じたのですが、絵本の世界に入り込んだ感覚。

てか、映画自体が「動く絵本」。

とにかく、そういう独特な映像です。

そして、ホテルが可愛い!!


1960年代では、もう、廃れて色褪せたようなホテルですが、1930年代では、全体的にピンクが基調となった色彩で。

お伽噺のお城のように可愛くて、豪華。

でもでも、言ってみれば、たった30年で、あんなにキラキラしてて可愛かったホテルが、廃れちゃうっていうのも、切ないですよね。

色彩の違いとかで、くっきりと映像に違いを出してて、そのギャップがなんとも。

そして、その退廃の理由が、戦争などの歴史的な動きによるものであるのが余計に悲しい。


で。

そんな可愛らしくて豪華なホテルで働く、新米ベルボーイのゼロという青年。

当時、ホテルには、超一流のコンシェルジュと呼ばれるグスタフという人物がいて、彼がゼロの教育をすることになります。

そんなある日、ホテルの常連だった大富豪のマダムが突然死。

グスタフと親しい関係にあったマダムは、遺言でグスタフに、凄く高価な絵を遺産として譲ることにしていたのですね。
それは、もう計り知れないほどの価値のある芸術品です。

でも、それを快く思わないマダムの息子・ドミトリは、グスタフに、マダム殺しの罪を着せ、冤罪のままグスタフは刑務所へ。

でもでも、でもでも、彼の無実を知っているゼロは、恋人でパティシエールのアガサの協力を得て、グスタフ脱獄の手助けをします。

やっとのことで刑務所から逃げ出したグスタフですが、そこには、警察の追手と、ドミトリが雇った殺し屋がグスタフに迫るのでした。


・・・という感じで、映像自体は可愛らしくて、動く絵本のようでありながら、ストーリーはなかなかにブラックなお話なんです。

そして、要所要所で感じる、当時の時代的背景も、凄く暗い物で。。。陰鬱です。


そのギャップが、怖可愛いというか。シュールと言うか。

凄い独特な世界観を出していましたが、こういう雰囲気の作品、大好きです。



そうそう。

冒頭で、この『グランド・ブダペスト・ホテル』という作品を書いた作家さんのお墓にぶら下げられてた大量の鍵。

この鍵の謎も、映画を見ていたら分かります(^m^)

ブラックな話なんだけど、ニヤリと笑えるシーンも多くて。
この鍵に関するシーンもそう。

っていうか、ホテルのコンシェルジュさん達の秘密組織・・・・・。

なんだか、本当にありそう・・・っていうか、そういう秘密結社的なものって、大好きなので、ワクワクしちゃいましたですよ~。


で。

1930年代の彼らの冒険のお話。

これも、決してハッピーエンドという訳では無いのですよね。

結局は、暗い時代の流れに翻弄されて終わっていく・・・というか。

ホテル自体が辿る結末も、ね。


そういう色々があって、そして、1960年代の、色褪せたグランド・ブダペスト・ホテルがある訳なんだけど。
それが、切なかった。



とはいえ。

輝いていた頃のホテルと、そこに生きた人達の冒険譚があって、当時、それを経験した青年が年を取ってから若い作家に語り、それを作家が小説にし、そしてそして、作家の死後もその小説は読み継がれていく。。。


時代と共に廃れていったグランド・ブダペスト・ホテルですが、物語の中では、きっと、永遠に、あの輝いていたピンク色の1930年代のまま、皆の心の中にあるのかなぁとか思いましたです。

可愛くて、でも、ブラックで、鑑賞後はノスタルジックな気持ちになる、そんな作品だったと思います。


そうそう!!


この映画の主役。
1930年代の伝説のコンシェルジュを演じてる俳優さんって、『ハリー・ポッター』でヴォルデモートを演じていらっしゃる俳優さんだったのですね!!!


全然気が付かなかったです(>_<)

・・・まあ、ヴォルデモートなメイクだと、元のお顔、分かりませんものねA^^;;


そしてそして。

ベルボーイのゼロの恋人・アガサの女優さんって『つぐない』のブライオニーの女優さんでしね。





架空の国を舞台にしてはいますが、ホテルの名前からも想像がつくように、第二次大戦前の東ヨーロッパを思わせる歴史的背景が、そこには描かれていました。

迫り来るファシズムなどの時代背景の中、豪華ホテルの従業員の物語。

コメディでありつつ、シュールで、独特な世界観、豪華キャストに魅せられた作品でした☆