★ベルの徒然なるままに★

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映画『夜は短し歩けよ乙女』

2017年04月11日 | 映画鑑賞記
今日は、先週末に見に行きました、映画『夜は短し歩けよ乙女』の感想をば♪

アニメにもなりました『四畳半神話大系』や『有頂天家族』の原作者、森見登美彦さんの同名小説のアニメ映画化。
『四畳半神話大系』のスタッフが手掛け、また、作品世界もリンクしていることから、『四畳半神話大系』、『夜は短し歩けよ乙女』、両作品ともに原作大好きな私としては、もう、とーっても楽しみで、楽しみで。

めっちゃワクワクドキドキしながら、土曜日の朝一番、9時からの上映で鑑賞しました。

■映画『夜は短し歩けよ乙女』予告編



物語は、京都が舞台。
まずは木屋町で物語の幕は上がります。
京都の某国立大学の学生サークルが、夜の木屋町で、OBの結婚を祝う会を開いていました。

そこに参加しているのが、この物語のヒロイン。「黒髪の乙女」です。彼女はお酒が大好きで、大人のお酒の世界に憧れてもいるのですが、周りの目を気にして、ソフトドリンクを飲んでいました。
そんな彼女を同じ会場から見つめているのが、この物語の男性主人公「先輩」です。
同じサークルの1年後輩の「黒髪の乙女」に恋心を抱いた「先輩」は、この1年間、彼なりの方法で、彼女にアプローチし続けてきました。
それは、「ナカメ作戦」。
「なるべく」
「彼女の」
「目に留まる作戦」
の頭文字を取った、その名の通り、偶然を装って、何度も何度も彼女の前に現れ、そして、それは、偶然というにはあまりにも不自然な回数に達し、最早、必然・・・運命とすら呼べるのだ、と、自分では思い込んでいる不毛な努力でもあります。

二次会では、乙女の隣の席をGetすべく意気込む先輩でしたが。

二次会会場への移動の際、乙女の姿は見えなくなっていました。

大人のお酒の世界に憧れる乙女は、サークルの飲み会の二次会へは参加せず、一人で気ままに好きなようにお酒が飲める場所を求めて、一人、夜の木屋町を歩き始めたのでした。
そして、先斗町へと歩みを進め、夜の飲み屋街で出逢う、個性豊かで不思議な人達とのご縁に導かれた、乙女の大冒険が始まります。

春の先斗町での不思議な三階建て電車、幻のお酒・偽電氣ブランの飲み比べ。
夏の下鴨神社納涼古本市での古本の神様との出逢い。
秋の学園祭のゲリラ演劇。バンツ総番長の恋の行方。
冬の大流感の京都の街。

好奇心が旺盛な乙女は、一晩で、春夏秋冬、京都の不思議な夜を過ごし、いろいろな体験や冒険、出逢いをしていく・・・というお話なのです。


もう、本当ーーーーっに面白くって。
最初から最後まで、どっぷりと物語の世界観に浸ることが出来ました。

90分チョイという、そんなに長い映画では無かったのですが、あまりに濃密で充実した内容だったので、あっと言う間・・・どころか、逆に、長くて楽しい時間に感じられました~。

本当に面白かったです。

まず、何と言っても、原作の独特の世界観を見事に映像化していたところが素晴らしかったです。

それは『四畳半神話大系』のアニメもそうだったのですが、一般的には「そんなバカな!」と思われがちな衝撃の阿呆さも、京都の学生では「あるある」だったりするリアル感がハンパないのですよね。
私自身、京都で大学生活を送っていたので、なんとも言えない既視感が満載で。
そこが凄く好きでした。

映画は、原作小説とは少し違ったエピソードが盛り込まれていたりして、映画オリジナルな展開もありましたが、それも、違和感なくすんなりと物語に入り込んでて。
映画ならではの面白さもあり良かったです~。


この作品の魅力は、個性豊か過ぎる登場人物達。

主人公の先輩も、一見、奥手で地味で凡庸に見えるかもしれませんが。
いやいや、いやいや、彼も個性強いです~。

好奇心が旺盛で、どんどん色んな所に突き進んで行っちゃう乙女も、また、とっても不思議な女の子ですし。

そして、女装で男子学生を惑わせていまうという罪なイケメン、学園祭実行委員長。

吉田神社に願を賭けて、願いが叶うまで、決してパンツを履き替えないと誓い、1年パンツを履き替えてないパンツ総番長。

そしてそして。
『四畳半神話大系』でもお馴染みの、正体不明な上回生(8回生かな?)樋口師匠と、そんな彼といつも一緒に居るお酒大好き羽貫さん。

彼らの突拍子もない言動が、でも、京都の学生とすると、凄くリアルに感じられるのですよね。

「こういう人、居た居た!!」
「居る、居る!!」

って、思ってしまう(笑)

彼らの、学生特有な、ワザと小難しい言葉や言い回しで会話するところも好き。
私も、ちょっと身に覚えがあるかも。学生の時は(^m^)笑

また、『四畳半神話大系』ファンなら、思わずニヤリとする世界観の繋がりを見せてくれるシーンも多々あって。

そこも、この作品世界の広がり感じられて、良かったのです。


春の木屋町や先斗町は、学生でいっぱい。そこから物語が始まり。
夏の下鴨神社。
そして、秋は学祭。

・・・と、登場人物たちの時間が、凄くキラキラと輝いていて。

なんだろうなぁ。

飲み会もそうだし、古本市での先輩の勝負もだし、はたまた、学祭のゲリラ演劇もそうなんだけど。

ある意味、無意義に見えるかもしれないことを謳歌する学生たちが凄く活き活きとしてて。
かつては、自分も、あんな感じだったのだろうなぁという懐かしさと羨ましさが混ざったような気持ちになって、ほんのり甘酸っぱい気持ちにもなりました。

映画で描かれている世界が、先輩や乙女やパンツ総番長達のいる世界が、凄く恋しかったです。

あんな風に、不毛な争いをしたり、無意義なことに全力を注いだりできるのは、学生の特権だろうなぁって。
良いなぁ。
私にも、あんな頃があったんだ・・・(^^;;

原作小説では、春夏秋冬、1年の物語なっていますが、映画では、一夜で京都の春夏秋冬の夜の世界を駆け巡る~という作りになっていて。
少し不思議な世界になっていましたが、そこが、また独特な雰囲気を醸し出していました。

もう、古都京都なら、こんな不思議な事がいろいろあっても、おかしくないじゃん?って思えちゃうような(笑)


色んな個性豊かな登場人物たちの思惑が、秋の学園祭で盛り上がって行き・・・そして、酷い風邪が猛威を振るう冬に、少しずつ、一つ一つ収束していくというのも良く出来ていたと思います。


そして。
ずーっと夜のシーンだったので、ラストのラスト。
朝を迎えた明るいシーンは、とても新鮮でした。

それと同時に、一抹の寂しさもあったのですよね。

祭りが終わってしまった・・・的な。
もう、お酒ではなくて、コーヒーの時間なんだなぁって。

とても不思議で長い長い冒険を終えて、乙女も先輩も、少し成長してしまったのかな?
そこが、ラストに感じる、ちょっとした寂しさではあるのですが。

でもでも。
彼らは、まだまだ学生。
きっと、これからも、無益で無意義なことに情熱を注ぐ機会はいっぱいあるのでは?と思えば、ニンマリしてしまいます。
まだまだ、学生生活を謳歌して欲しいなぁ。

京都が舞台ということで、自分の知ってる場所ばかりが登場するので、そういう点でも、わたし個人的には、めちゃめちゃ身近に感じられた作品でもありました。

格調高い語り口で描かれる、無益で無意義で不毛な学生生活の色々に共感できる人には、タマらない作品だと思います。

私にとっては、最高傑作でした\(^o^)/