懐かしい昭和の情景を追って

過去に撮影したネガをフィルムスキャナーで電子化しています。蒸気機関車、古い町並み、茅葺民家を投稿します。

懐かしい物  大根島の廃船

2013年04月02日 | 懐かしい物
撮影場所 島根県八束町 1996.5.4撮影
島根半島に茅葺民家を撮影に行き大根島にボタンを買いに行った。大根島のボタンは日本で一番栽培されているであろう。
大根島でボタンを買う時はメイン会場周辺は割高で人々が余り集まっていない外れのボタン園で買った方が安い。

そのついでに島を一周した。周囲12km 標高45メートルの平らな島である。
火山でできた島である。石を見れば玄武岩の柱状節理が各所でみられ火山でできたのがうかがえる。島根半島自体が火山による溶岩の隆起でできているように思う。
島の周囲を走っていたら廃船があった。モノクロとカラーのカメラを持っていたがモノクロで三枚だけ撮影した。なんで廃船がここにあるのかと疑問に思ったが深く考えず片手間で撮影した。

2011年4月27日にNHKテレビで大根島の廃船の放送があった。松江放送局製作で中国地方のみの放送だった。私は番組表を見て以前撮影した廃船だろうと録画予約をした。この廃船が道路拡張で邪魔になるので撤去したいが持ち主に了解を取るにも何の目的で誰が設置したのかも分からない。
船体番号から船の経歴や持ち主を探しあててここに置かれた理由が判明した。
この場所は島の西側にあり小さな港がある。冬は北の季節風が強く波が高くなるので風除けのため木造廃船を並べたそうだ。
戦後間もなくして製造された木造船でカニかご漁に使われていた。昭和40年代になると木造船は鋼鉄船に替わり人手に渡りついに廃船となり大根島に捨てられた。
この中の木造船の中には領海侵犯でソ連に拿捕され何カ月も船とともに抑留された漁師もいた。拿捕された漁師も現存していて抑留の様子を語っている。
廃船の陰にもドラマがあった。いいドキュメンタリー番組だった。

放送ではこの廃船を全国各地から撮影にくる若者も紹介していた。廃墟ブームでこんな滅び行くものに共感を持つ人々も紹介していた。