「自転車積んで行って、お見舞いに行くまでどこかで写真撮ってきたらええやん、調べてみ」
夫が樟葉でゴルフなのでそう言った。 春と同じでお見舞いに乗せて行ってもらって、時間が早いので自転車でどこかへ・・前は姪っ子の家に行き
お昼まで話し込んだのだ。 今日は旦那さんとお墓参りに行くそうで、8時くらいは家にいるからと言うので行く事に。
美味しかったと前に言ってもらったので、義兄や姉の分4人分のバラ寿司を夜中に作った。 1時間半しか寝ていない。
6時半家を出た。 行き過ぎて宇治西まで行ったがむしろそこでちょうど良かった。 姪っ子の家の近くで地図もあったが、楽勝で行けた。
姪っ子に電話をした。 「どこ?」 「家の前」 迷っていないか心配していた所だと言う2人が、笑いながら迎えてくれた。
旦那さんとは「初めまして・・」だったが、大阪のおばちゃん、そんなこと感じない位、それに彼も気さくに話してくれ楽しいティータイムになった。
30分くらいお邪魔して、 大きな道路まで姪っ子が送ってくれた。 「大丈夫、おばちゃん」 そりゃぁそうだこんな所、自転車でなんて。
宇治市植物園公園を目指す。
初めての道はそばのまだ朝露を含んだ野草さえ新鮮だった。
なだらかではあるが坂道、これは膝をやられるぞと途中押して歩く。
お寺の掲示板に ”一回や二回の失敗は 人生の糧だ” と書いたのが額に入れてあった。
立派なお寺にはそぐわないお粗末な文字で、説得力に欠ける気がした。 (これはちょっとまずいやろ) いや、心がこもっていればいいんじゃない。
スポーツ施設が色々あり、いい所だ。 京都サンガのサッカー練習場や、新興住宅街や立派な立命館中学もあった。
坂はふうふう言いながら登ったが、きれいで楽しみながら自転車を走らせる事が出来た。
(はぁ~・・着いた~) 着いたよと姪っ子に電話をしたのは、50分ほど経ってからだった。 宇治市植物公園
ハロウィン風タペストリーみたいなのは、花鉢が並べられ作ってある。
早速目に入ったのは、私の好きそうなガーデンだった。 涼しければこのベンチでおにぎりなど食べたら美味しいだろうなぁ。
温室は水をまいているところだった。
(虫よけスプレーしてくるの忘れた!) 後悔・・
色づいた葉を見ると、間もなくこの暑さから開放される秋がやってくるのだ・・そんな気がして嬉しくなる。
あちこち歩き回るが暑い。 帽子かぶっていても暑い。 萩には早い、コスモスも。 まだ朝顔がいっぱい咲いているんだもの。
室内の休憩室で、缶コーヒーを一気に飲んだ。 ほてった身体にすうっとその冷たさが通り、何とも言えない。
途中のコンビニで買ったおにぎりをほおばる。 1人で食べることなんてまぁないので、苦手なんだけど、なんて美味しい。
以前は好きな照り焼きやエビマヨを買っていたが、今はやむなく一番低カロリーな昆布のおにぎり。
帰ろうと思ったら、夫から半分回ったところで食事していると電話が入る。 「来て良かったわ、ありがとう」
姉からは「食事した? 病院の食堂閉まってるわ。 気をつけて来てね、待ってる」とメールが入った。
こんなとき、人の声を聞いたり、文字を読むと元気をもらえるから有難い。
もと来た道、帰りは下り坂、風をきり気持ちがいい。 汗が乾いてくるのが分かる。 帽子なしなのでがんがんの太陽はきついが。
(あ~また焼けるなぁ、しみだらけになるんだろうなぁ) 老眼鏡かけなきゃ見えない・・っと。
来た道・・なのではあるが、途中右折したところをるんるん坂道で、すっかり忘れ見逃したようだ。 (どうやら道間違えたぞ)
「なになに病院はどっちの方角になりますか?」 歩道橋を自転車であがって来たおじさんに尋ねた。
「え~、かなりあっちやで、ほれ向こうの学校、遠くに日の丸見えてるやろ・・遠いで・・自転車でも」 笑いながらも、親切に教えてくれた。
えっさかえっさか、とにかく着かないといけない。 地図も見ながら・・行ったり引き返したり・・
住宅街に来た時、あるお宅の玄関のプランターで初めて彼岸花を見た。 自転車を止めて撮りかけたら、水色Tシャツのおじさんが自転車で来た
なおで、撮るのをやめた。 ぐるぐる回っていたらさっきの水色Tシャツのおじさんが知人らしい人と話していたので道を尋ねた。
「おお、あっちや、あんた行ったげえや」 「おお、近くまで行ったげるわ」 「わ~嬉しい、ありがとうございます」
やさしそうなおじさんは、住宅街から田んぼの中の道路を先導してくれた。
「24号線ずっとずっとずっと行き」 深々と頭を下げた。 (あの病院の方か・・) 途中で左へ曲がって走っていたら左手に水色おじさんがやってくるわ!
「えらい、似た人おるなぁ思うたらあんあtか、もっともっとまっすぐに行くんやで」 「そうでしたか、はるやまありましたね確か」
黄金色に実った田んぼの横、国道沿いのあまり良くない道を自転車でとばす。 自転車は得意、高校の時は島を半周をして通っていたんだもの。
春の入院の時、姪っ子と自転車で走った道である。 (姪っ子はこの道いつも往来しているんや。 暑い夏大変やろうなぁ。。)
(黄金色の田園風景、一枚も撮って無い!!) 行く前は、それだけでもいいのよ、黄金色の田園風景が撮れたら、なんて言っていたのに。
部屋へ着いたら姪っ子が来ていて、ちょうど迷ってないかと心配していた所だった。
「しかいsおばちゃんようやるわ」 姉も「城陽で自転車でって・・」笑う。 お見舞いよりも私が自転車で植物園へ行った話しになる。
目の前で器械を使った足曲げ運動を左右30分づつやった。
それより何より、後姉がベッドのそばに杖も持たず、立って見せた。 「ほら!」 「え~!立てるの? すごい!」
父親のところへ行くので、姪っ子が帰って行った。 名産のいちじくを持たせてくれた。 入れ替わりに夫から着いたと電話が入る。
おトイレに行くついでに、部屋の前で夫を待つと姉が言う。 びっくりさせてあげようと言うこんたん。
夫が驚いていた。 やけに笑顔だ。 スコアが良かったのか。 夫も来るなり、2本飲み物を口にした。
すごい努力しているようだ。 先月末の姉妹揃ってのお見舞いが、ちょっと落ち込んでいた姉の清涼剤、精力剤になったようだ。
見送ってくれる姉、すごいO脚になっていたのに、まっすぐになった足。 医学の進歩に加え、姉の頑張りに感激。
夜道を夫に植物園の話をしながら、快く帰る。 「けんちゃんのお陰で、あんたには何度も来てもらえる、有難い」
本当は後、明日が最終の宇治川の鵜飼を見て帰ろうと言っていたのに、時間が少し早く探し切れなくて、やむなく諦めたのが残念だった。
それにしても自転車で城陽から、宇治からと自転車でなんてね。 本当にそうして、私の時間の処し方まで気遣ってくれる夫に、感謝!