minga日記

minga、東京ミュージックシーンで活動する女サックス吹きの日記

マル・ウォルドロンとの思い出

2010年11月24日 | ライブとミュージシャンたち
心霊写真ではありません(苦笑)。その昔、新宿DUGで巨匠マル・ウォルドロンと競演させて頂いたときの写真。あの頃の珠也君は若かった。私もだけどw。お店(DUG)のオーナー兼写真家の中平さんが撮って下さった写真です。

まだ御元気だった頃のマル。日替わりで来日中のマルといろいろな日本人のミュージシャンたちが競演する企画だった。偵察を兼ねて前日Dugへご挨拶に。その日はサックスの梅津さんがゲストだったが、私の知らない曲ばかり。梅津さんもめずらしく譜面を見ながら演奏していらした。

「私は普段オリジナルを演奏していて、あまりスタンダードを知らないんですが・・・」びびっている私にマルは笑顔で答えた。
「大丈夫。あなたのやりたい曲を演奏しましょう。明日はあなたの好きな譜面を持って来て下さい。オリジナルでもいいですよ。」
なんて優しいお言葉・・・・。

そして翌日、自分のオリジナルはいきなり演奏するには難しすぎるので(10拍子とか36拍子とか)唯一(それでも結構大変なのだが)簡単にできそうなYellow Monkと、他はすぐにできそうなC.Hadenの曲やオーネット・コールマンの曲を持って行った。

譜面を渡すと「なんだ、みんなスタンダードばかりじゃないか。」とニコニコ。オーネットもチャーリーヘイデンも彼にすればスタンダードなのか!!?無事にリハーサルも終了。ベースの吉野さんが「さっちゃん、今日は僕が録音するからあとであげるね。」うわ~、嬉しい!!

当時、ベルギーに在住していたマルは
「今住んでいる家にはピアノはないんだ。練習しなくていいねw。」
「へ~?そうなんですか。私も練習嫌いなんですぅ・・・。」なんておバカな私は『同じですね~!』なんて喜んでいた・・・。

本番も順調に進み、最後の曲は私のYellow Monk。ラストのFast Swingのソロをみごとに演奏してくださったマル。
あまりに有名になりすぎて、来日の度に演奏させられ嫌気がさしていたのであろう。よほど気分がのらないと弾いてくれないというおハコの「Left Alone」。アンコールでこれをソロで弾きだした時には本当に感動ものだった。

演奏終了後もなごやかな会話がすすみ・・・
「そういえば、ドルフィーはどんな方だったんですか?」と尋ねた私に一言・・・

「ドルフィーは君と違って「練習好き」でね。暇さえあればずっとサックスを吹き続けていたよ。」ウインクしながら答えたお茶目なマル。

あちゃ~~~!!失礼しましたああああ(汗汗汗)。


そして演奏後に吉野さんに「今日の演奏の録音楽しみにしています!」

「あれ、おかしいなあ?録音できてなかった・・・(汗)。」


まあ、そんなもんですね。残念ですが仕方ありません。昔なので、今みたいに客席で簡単に録音できる状態ではなかったし・・・。

でもあの時のマル・ウォルドロンの暖かい人柄と素晴らしい演奏は私の胸の中にいつまでも残っています・・・一期一会。


そして明日はバレルハウスへお越し下さいませ。