みるみるの金谷です。5月21日に益田市のグラントワにある石見美術館にて、平成28年度第1回目の鑑賞会をしました。展示室Aコレクション展「花とともに」の作品を、廣田さんと上坂さんがナビゲートしました。
廣田さんは、松本楓湖の「和装西洋婦人像」と森村泰昌の「ビビアン・リーとしての私」の2作品で対話をしました。廣田さんによる、鑑賞者の意見の伝え返しも絶妙で、2つの作品の共通点や相違点から日本文化の在り方にまで話がすすみ、かなりリッチな時間となりました。特にこのナビが秀逸だったのは、松本氏の作品を鑑賞後、森村氏の作品を鑑賞して終わるのが通常なのですが、もう一度松本氏の作品に戻って作品鑑賞を行ったことです。松本氏の作品を最初鑑賞したときにモヤモヤした感じがあったのですが、森村氏の作品を鑑賞後、再度鑑賞することでそのモヤモヤ感がすっきりした感じとなって鑑賞を終えることができたように感じました。これは、森村作品鑑賞後もう一度松本氏の作品を鑑賞するからこそ得られたものなので、型にこだわらず、鑑賞者の様子からもう一度最初の作品を鑑賞するという柔軟なナビの対応があったからこそで、そのことが2作品とも深まりのある鑑賞になり、鑑賞者も豊かな会話を愉しむことができたのではないかと思います。この、ナビのあり方については、廣田さんからのレポートを待ちたいと思います。
さて、2人目のナビは上坂さんでした。
上坂さんは、今尾景年の「花鳥図屏風」と竹内栖鳳の「藤花蕣花群犬図屏風」のダブル屏風絵でのナビに挑戦!2作品目の竹内栖鳳が描く「藤花蕣花群犬図屏風」は愛くるしい子犬の表情やしぐさに目が釘付けになってしまうのですが、実は屏風の両端に描かれた「花」があってこその作品だということに、今回の対話を通して気づくことができました。この作品をみる時には、ぜひ「藤花蕣花」にも注目してくださいね。
複数の作品をみることの面白さや奥深さに改めて気づくとともに、作品の選び方やナビのスタンスについても再考することができた、濃い鑑賞会でした。
今回のナビをした二人から届くレポートを、どうぞお楽しみに!
今回の鑑賞会の会場である石見美術館では、企画展「マリメッコ展-デザイン、ファブリック、ライフスタイル」(~7月11日)が大盛況となっています。石見美術館に来館された際には、ぜひ展示室Aにも、足を運んでくださいね(コレクション展「花とともに」は6月13日まで)。
みるみるの会の6月の鑑賞会は、6月18日(土)15:30~浜田市世界こども美術館で予定しています。同日14:00~は、特別展「佐々木新平とその仲間たち」展の講演もあります。6月18日は、浜田市世界こども美術館へGO!お待ちしておりますよ。
金谷レポートに春日が一部加筆修正しました。