ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

ファシリテーター初体験のレポートです!

2022-11-26 18:46:26 | 対話型鑑賞

今回はみるみる会員にとっても、AIによる作品を鑑賞するという、初体験の内容でした!

2022.10.20(木)20:00~ オンライン開催

作品:AIに作家の名前を3名入力し生成された画像データ

入力した作家:エルグレコ・ボッティチェリ・マティス

↑有名な作家20名を選出した名簿を作成,そこからランダムに3名が抽出されるようにし,そこで出された3名をAIに入力した。

○鑑賞の流れ 「文字起こし後,流れを要約」

 

  • 人物に関わる造形要素について

・女の人がいる

・無表情というか悲しい表情

・男性に見える→胸元が貧相,骨張っている

 なぜ化粧をしているかわからない

・若い男性,女性の手ではない

・口紅や細い眉は自然なままではない

 

  • 人物に関わる役職について

・歌舞伎役者とか役者さんとか女方

 意図的に女性のようなメイクをしている男性

・聖職者,宗教に関わる人

↑紫の服装から宗教への連想・背景からも教会のイメージ

 

  • 色調について

・黒が印象的

 目がすごく黒々としていて虹彩に光がない→不気味

 

  • 人物に関わる雰囲気について

・目のハイライトがない→視点が定まってないように見える。

 外に開かれた目ではなくうちに向かっている

・ミステリアス

 ↑人物の存在も・場所についても

 

  • 画面の手について

・真ん中の三本指は実際にやるとしんどい

・瞑想や祈りのポーズ

 ↑宗教や半眼に見える目から

・他人ではなく自分の手

□なぜ他人の手ではない?

・手が置かれる場所が他人であれば不自然

・宗教的な意味合い・ある特定の民族の中で信仰されている,あるいは伝承されたポーズ

・指が美しいから描いた

 

  • 人物について

・どっちつかず・読み取れないから問いが生まれる

・鏡に映っている・人物は絵でその絵に触れようとしている手なのでは

・男性か女性か話を聞くたびに見え方が揺らぐ

 

  • 再び人物に関わる役職について

・聖人であっても演じることはあるのでは

・3本の指は三位一体のことかも

・一般庶民には布教活動をしている伝道師も役を演じているように見える

・ショービジネスとか飲み屋街の人にも見える

↑シミが描かれている,くたびれた感じのする人間っぽさ

・生まれながらに聖人はいないから世俗的な容貌であってもおかしくない

 

鑑賞者からの講評

・質問の仕方が限定的,触れられてないのに次に進めるのは唐突

・もう少し全体から第一印象を拾ってからでもいいのでは

・どっちだと思う?という二極化すると,選択肢が縛られてしまう

・初めてやるファシリテーターでAIを選ばなくてもよかったのでは

・AIが生成するということはプログラミングする人の作意があるのではないか

・もっと基礎基本を抑えてもよかったのではないか,いっぺんにチャレンジしすぎた

・AIを最後まで開示しないのはフェアではない

 ↑AIの生成であるのを知っているのはファシリテーターだけで,鑑賞者は試されているように感じてしまう。

・途中でAIの生成であることを開示してもよかった

・AIであることの開示やまとめが肝になる鑑賞では

・フレーミング・パラフレーズはできていた,コネクト・リンキングができていない

・人は”作品”というものは、作者が意図をもって創作したものであってほしいと思いたがるということを再認識した

→だからこそAIが生成したものだと知ると、そこに”意図”が存在しないことを知って少しがっかりした感じがした

・初めてAIの生成した画像を鑑賞したので、興味深かった

・AIを取り入れるねらいやコンセプトをファシリがしっかり持って臨むと、AIであることを開示してからの鑑賞が深まることもできるのでは

自評

今回,初めてのファシリテーターを行った。鑑賞の場として鑑賞者はみるみるの会の方々なので,ファシリとして詰まってしまう部分では助けていただきながらの鑑賞になったのではないかと思う。今まで鑑賞者として行っていたものが,いざ自分がやってみるということになると改めて自分の経験が充分でないことを痛感し,「女の人がいます」という意見に対し,「どこからそう思いますか?」と聞かなければいけない場面でそれを聞きそびれてしまうなど,反省点も多いので今後回数を重ねる中で経験としてできるようになってくればスムーズに進めていくことができるのではないかと思う。また,スキルについて言えば,課題として鑑賞者からの講評にもあったように出てきた意見同士を繋げていくことに困難さがあるように思う。その時出た意見だけに注意がいくのではなく,今までに出た意見全体に目を向ける意識や,キーワードが何かを端的にするなど対応していかなければならないと感じた。今回のファシリテーターの経験では多くの課題を含むものになってしまったが,自分自身にとっての課題が明確化されたので,今後ここで出た課題の解決に向け経験を積んでいきたい。

 

 

 

 

 

 

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