京都芸術大学 アート・コミュニケーション研究センター 研究員の伊達隆洋氏によるレクチャーとワークショップがあると聞いて、即、申し込みをしました。私が対話型鑑賞を学び始めて10年余・・・しかし、奥の深いこの手法をマスターできたとは到底言えず、体系的な学び直しが必要だと感じていたところでした。また、京都芸術大学の対話型鑑賞プログラム:ACOP(エイコップ(Art Communication Project) 美術史等の知識だけに偏らず、鑑賞者同士のコミュニケーションを通して、美術作品を読み解いていく鑑賞方法)の研究も日々進んでいると聞いていますし、この機会に対話型鑑賞のファシリテーション技術について、原点から学びなおそうと考えました。
「行ってよかった!」というのが率直な感想です。
コロナ禍にあって若干の後ろめたさを感じつつ県境を越えましたが、YCAMの徹底したコロナ対策のもと、本当に有意義な研修を受けることができました。2日間、みっちり濃密な内容でしたので、脳みそはかなり疲れましたが、お得感が満載でした!これまでも何度か伊達氏のレクチャーは受けてきましたが、そのたびに新しい刺激と学びが得られます。特に閉塞感漂う昨今、外出できなくても新たな学びは心を豊かにしてくれるなぁ~としみじみ。山積みの仕事に背を向けて行った甲斐がありました。
下記に心に染みた伊達氏語録を紹介します。
○「察しのいい<わからずや>になることがファシリテーターには大切。」
「相手にしっかり話してもらうため。 分かったつもりになると聞けなくなる。」
○「人の意見とその人自身を切り離すことは無理」「人は自分の経験でしか、ものを語れない」
○「私はそうは思わないけれど、あなたの解釈は(プロセスを考えると)納得できる。けれど、この事実を踏まえて私はこう考える。」
これらは対話型鑑賞に限らず、人がコミュニケーションする際に必要なポイントでもあります。このナビゲーターキャンプに教育関係以外に企業、医療、行政関係など多様な方が参加者されているのも頷けます。
私は日頃中学生や一般の方対象に対話型鑑賞のファシリテーターをしていますが、まず第一に自身が鑑賞者として成熟していくことが大切だということも肝に銘じたいことです。このキャンプのでは、「みる」「考える」「話す」「聴く」を意識的に行えるようなワークショップが組まれており、自分の得手不得手を再発見することができました。(私は「聴く」ことが苦手なんですよね…)
美術館での対話型鑑賞会再開はもう少し先になりそうですが、 中学校の美術の授業で、オンラインで、ここでの学びを実践につなげたいと思います。こうした機会を作ってくださったYCAMと京都芸術大学のスタッフの皆様、本当にありがとうございました。
YCAMのリンクはこちら→