ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

軒先に吊るされた土の鈴

2014-11-24 20:21:27 | 対話型鑑賞
軒先に吊るされた土の鈴


やおよろずアートプロジェクト「虹の音 土の鈴」の「土の鈴」です。
ひとつ前にUPしたブログに載せ忘れたので、追加でお届けします。

音はお届けできないので、みなさん、聴きに行ってください!!
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出雲やおよろずアートプロジェクト・ワークショップに参加しました!!

2014-11-24 20:02:47 | 対話型鑑賞
出雲やおよろずアートプロジェクト・ワークショップに参加しました!!


出雲やおよろずアートプロジェクトが展開中です。参加しているので、それをレポートしたいと思います。

出雲やおよろずアートプロジェクトは、大社町に現代作家(芸術家)さんを招いて、滞在してもらいながら、地域の方々と交流し、交流の中からアート作品が生まれるというプロジェクトです。
大社文化プレイスうらら館でボランティアスタッフ募集のチラシを目にし、そのチラシがなんともほのぼのほんわかしたものだったので、思わず手に取りました。
ボランティアスタッフも募集していたのですが、ワークショップも企画されていて、そのワークショップも面白そうだったので、さっそく掲載されていたFBをチェックし、連絡を取り、初回のワークショップに参加することにしました。
みるみる会員の金谷さんも誘っていたのだけど、台風が襲来しまして、金谷さんはやむなく断念・・・。わたくし一人で、大社コミュニティーセンターに出かけました。
大社コミュニティーセンターは旧大社中学校の校舎で、木造の懐かしさ満載の建物です。大社中学校に勤務することになった時にあいさつ回りで回って以来でしたが、足を踏み入れるのは初めてなので、ちょっとドキドキしました。校舎の様子は画像にもあるので、チェックしてください。

今回大社町にやってきた現代作家は志村信裕さんです。とっても優しくてお若い方でした。お話もソフトで、人柄が伝わってきました。

ワークショップのタイトルは「言葉のワークショップ」だったので、「言葉」に関わるイベントは私たちみるみるの会の活動にも何か参考になるものがあるのではないかと興味津々で参加することにしたのです。

1回目のワークショップは初級編で「記憶に残る美しい音」を探りました。改めて問われると、私の記憶に残る美しい音って何だろう?と深く内省させられました。音の記憶って、私自身にはあまり残ってないようで、幼いころの思い出の中にも残ってなくて、私は音に鈍感だったんだなあ・・・。と、自分の不甲斐なさを感じながら、音を探しました。そして、みつけた音は、近所のお寺の鐘の音です。このお寺の鐘の音にまつわる思いを文章に起こしました。そして、その音は虹の七色に喩えると、何色なのかを決めて、紙面の真ん中にその色で一本の線を引きました。私のお寺の鐘の音の色は紫です・・・。重く響く音の色は重厚な色を思わせたので、紫にしました。あとで思った事は、お寺の住職さんの袈裟の色は紫が一番位が高いと言うことで、どこかでリンクしているような気もしました。

1回目のワークショップは初級編で、上級編がアートプロジェクトの作品になっていくと言うことでしたが、上級編は平日の夜だったので、参加は微妙でした。仕事が遅くまであれば、参加できないことも考えられたからです。でも、FBで上級編への参加のお誘いがあったので、これも縁かと思い、参加することにしました。

2回目の上級編は初級編の文章をブラッシュアップして、和綴じ本にするというもので、1日目は頭をひねって、できるだけ、言葉を削ぎ落として、音を感じるものにしていきました。みんなずいぶん苦しみました。互いの文章を発表しあい、意見交換する中で、自分のイメージする音がシンプルに伝わる言葉を見つけていきました。この日夜の11時まで粘ってブラッシュアップした人もいたようです。素晴らしい!!

2日目は、和紙に印刷された16名の作品を、ページを拾って製本です。この時、八雲の和紙制作の第一人者であった安部栄四郎氏の息子さんが講義に来てくださいました。
参加者は安部さんの説明を聞き、おぼつかない手元ながら、何とか和綴じが完成しました。表紙にハンコになった「虹の音」を押印して完成です。
世界に16冊しか存在しない、超プレミアな1冊ができあがりました。

そして、今日からやおよろずアートプロジェクトのイベントが大社町の神迎の道で始まりました。「虹の音 土の鈴」と題したプロジェクトは和綴じされた「虹の音」の本と、神迎の道に面する民家の軒先に吊るされた湯呑茶碗の風鐸。「虹の音」の和綴じ本はやおよろず案内所に置かれています。そして、神迎の道を歩けば、そこここに風鐸が並び、時折、なんともいえない音を運びます。画像にも掲載していますので、見てください。

また、共催イベントとして、木須井邸では陶片を接写して作品にしたフラグメンツが開催されています。写真家高嶋敏展氏の展覧会ですが、由緒ある民家を借りての展覧会はスライド上映で、なかなかの味わいです。接写された陶片は、陶片と聞かないと、何を映しているのか不明なものも多々あり、イマジネーションを掻き立てられます!!必見ですよ。

この後にもイベント目白押しです。みなさんFBでやおよろずアートプロジェクトをチェックしてみて、気になるイベントがあったら参加しましょう!!

今日は、志村さんと赤井学芸員(鳥取博物館)のトークイベントもあり、にぎわいました。やおよろず案内所に隣接して期間中(11月24日~11月30日)は星屑茶屋もOPENしていますから、お茶飲みがてらにも出かけられます。

大社といえば出雲大社なのですが、出雲大社に参拝して満足するだけじゃなく、大社さんのお膝元で繰り広げられているこのイベントに好奇心のアンテナがピピッピと反応するみなさまのお越しをお待ちしています!!

って、なんだか、関係者みたいな発言になっちゃいましたけど、心がほっこりあったかくなるようなひとときが過ごせることは間違いないです。
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みるみる会員の金谷さんがACOPに参加しました!!

2014-11-20 19:40:05 | 対話型鑑賞
みるみる会員の金谷さんがACOPに参加しました!!


みるみるの金谷です。11月16日に、京都造形芸術大学のACOP鑑賞会に参加してきました。その様子をレポートします。

 ACOPは10時スタートだったのですが、私が造形大前のバス停についたのは9時15分ごろ。早く着いたので、1階のカフェでのんびりしてから、会場となる教室に向かおうと思っていました。大階段をのぼろうとすると、ACOPのボードを持った学生さんがすでにスタンバイしていてびっくり。1階のエレベーター前はもちろん、教室への案内などなど、教室に入る前から来校者への心配りがいっぱい感じられました。教室に入ってからも、学生さんとおしゃべりをしたり、お茶をいただいたりして、ゆったり楽しく過ごすことができました。実は、ちょっと緊張していたので、楽しくあたたかい雰囲気が、とてもありがたかったです。ナビや司会をする学生さんの方が、私よりも何倍、いや何百倍も緊張したり、ナーバスになったりしているのかもしれないのに、目の前にいる人や環境にあたたかく関わっていたり、関わろうとしているところが、すてきだなぁと思いました。先日のACOPの説明会もそうでしたが、あたたかくて、居心地がいいです。いつもありがとうございます!

 さて、今回は4つの作品をみました。1作品目は「カラカラ帝」の頭部像(メトロポリタン美術館蔵)でした。スクリーンに大きく映し出された西洋人らしき、ごっついおじさんの顔(実物は大理石でできていて、高さは約40センチの彫刻作品)をじっくりみます(この作品の名前や作者、素材など、事前には紹介されません)。
まず、はじめに、ナビがこの人物について思ったこと、印象をどんどん言ってください、と最後列のみなさんに投げかけて、対話がスタートしました。「怒っているみたい」「不安そう」「こわい感じがする」「強そう」等々、同じものをみながらもとらえ方は様々です。第1印象について「どこからそう思う」のか伝えあった後、顔の上半分、下半分それぞれに注目して、発見したことや考えたことを話し合いました。上半分をみながら対話するなかで、左右で目の感じが違っていること、強さや野心を感じるとともに、不安や疲れも感じ取れること、下半分からは、唇が意外にきれいで、ピュアな感じがすることなどの発言がありました。
「この人、何歳くらいだと思いますか?」というナビからの投げかけで、「30~50代」「頭髪の状態から40代」という意見が出たあとで、ナビから「20代」という衝撃の事実(情報)が!そして、20代という年齢で、この顔はどうなの?この人について行く?行かない?等々、スクリーンをみつめながらナビからの投げかけを考え続けていきました。
ぱっと見、威圧感たっぷりのローマ皇帝。そんな人が強く、勇ましく、威厳たっぷりに振る舞っていても、その陰には不安や苦悩がある。この頭部像を作った人は、そんなこと意識していなかったかもしれないけど、陰の部分がこっそり顔を覗かしている。作った人も素晴らしいし、それを「みる、考える、話す、聴く」ことでみつけることができた私たちも素晴らしい、なんて言ったら、言い過ぎですかね。

2作品目は、徳川美術館蔵の「徳川家康三方ヶ原戦役画像」(しかみ図)です。ぱっと見、「このおじさん歯が痛いのかなぁ。なんかへんな帽子かぶって、へんな椅子に腰かけているなぁ」という感じの絵です。
印象を伝えあったり、表情やポーズを実際に真似したりしながら、描かれている人の心情に迫っていきました。その過程で、作品の背景となる情報をもらって、そのうえで作品をみて考えることの面白さを味わうことができた作品でした。
戦いで大失態をしでかしたときの自分をわざわざ描かせ、それを自分への戒めとし、肌身離さず持ち続けた家康だからこそ、天下統一を成し遂げたのかもしれない。そんなことも考えました。
そして、徳川家代々の方々が先代の思いを受け継いできたからこそ、私たちがこの絵をみることができるという事実。今まで、古い作品も何気なくみてきたけれど、これからは時間を超えて今ここにある、ということに感謝しながらみるといいのかなと思いました。

1作品目、2作品目ともに、もしも自分がナビをしたら、どこでどんな風に情報を出すといいのかなぁと、鑑賞会が終わった後、考えていました。鑑賞者から、どんな言葉がでたら、話の流れがどうなったら、どのような言葉で、どのくらいの長さで情報を伝えようかと。もし鑑賞者の中に、(自分が出したいと思っている)情報について知っている方があれば、しゃべってもらえるといいかなぁ、そんなときはどう声がけするといいかなぁ等々、このことについてはずっと考え続けられそうです。

休憩をはさんで3作品目は「接吻/The Kiss」(グスタフ・クリムト)です。元気よく、
「愛を語りましょう!」というナビの言葉からスタートしました。この絵はなんかみたことあるし、なんとなくクリムトは好きだし・・・。しかし、ここまで男女それぞれの思いやストーリーを考えながら、みたことはなかったです。
この絵に描かれている男性は怪物?神?強引?女性を救おうとしている?、女性は駆け引き上手?死にそう?身をゆだねている?拒んでいる?、二人は不倫関係!?等々、表情やプロポーション、人物の周りに描かれているものを関連付けながら、ロマンチックなものからシビアなものまで、さまざまな意見が出されました。「そんなんじゃ(そんなにシビアに男女の関係をとらえていたら)、子どもは生まれんわー」という、つぶやきもあり、思わず笑ってしまいました。ちょっとアダルトな鑑賞会も、なかなか乙です。

最後の4作品目はMOA美術館蔵の「紅梅白梅図屏風」(尾形光琳)です。中央奥から手前に向かって川が流れてきていて、その左には白梅、右には紅梅が咲いていて、バックは金ぴか!といった作品です。
鑑賞のはじめのところで、鑑賞者から「絵の中心の川の部分がずれている」という意見がありました。そこで、ナビからこの作品は(二曲一双の)屏風であることが伝えられ、屏風として飾ってある画像も少しみてから、鑑賞が続きました。「七夕の織姫、彦星みたい」「川が、人の思いのようであり、試練のようであり、渦巻いている」「白梅が男、紅梅が女」「白梅が誘い掛け、紅梅が待っている」「白梅紅梅は友人同士で、けんかして仲直りしたいところ」等々、梅を擬人化した意見がたくさん出されました。描かれているものは梅と川なのに、そこに思いやストーリーを重ねながらみていくことが、とても面白かったです。

鑑賞会が終わった後、学食で定食を食べながら、学生さんたちはそれぞれ自分の持ち味でナビや司会をしていたなぁ、と思いました。もちろん、個人個人を知っているわけではないのですが、それぞれに違っていて、おもしろかったです。それと同時に、ふと自分の持ち味って何かなぁと、ちょっと考えたりしました。
そうそう、学食のイワシの梅じそフライ定食、おいしかったです。

次回、第2回目は11月30日。どんな作品やナビゲーターとの出会いがあるのか、今からとても楽しみです。大階段の向こうに、わくわくが待っています。

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みるみる会員の金谷さんがACOPに参加しました!!

2014-11-20 19:32:28 | 対話型鑑賞
みるみる会員の金谷さんがACOPに参加しました!!


みるみるの金谷です。11月16日に、京都造形芸術大学のACOP鑑賞会に参加してきました。その様子をレポートします。

 ACOPは10時スタートだったのですが、私が造形大前のバス停についたのは9時15分ごろ。早く着いたので、1階のカフェでのんびりしてから、会場となる教室に向かおうと思っていました。大階段をのぼろうとすると、ACOPのボードを持った学生さんがすでにスタンバイしていてびっくり。1階のエレベーター前はもちろん、教室への案内などなど、教室に入る前から来校者への心配りがいっぱい感じられました。教室に入ってからも、学生さんとおしゃべりをしたり、お茶をいただいたりして、ゆったり楽しく過ごすことができました。実は、ちょっと緊張していたので、楽しくあたたかい雰囲気が、とてもありがたかったです。ナビや司会をする学生さんの方が、私よりも何倍、いや何百倍も緊張したり、ナーバスになったりしているのかもしれないのに、目の前にいる人や環境にあたたかく関わっていたり、関わろうとしているところが、すてきだなぁと思いました。先日のACOPの説明会もそうでしたが、あたたかくて、居心地がいいです。いつもありがとうございます!

 さて、今回は4つの作品をみました。1作品目は「カラカラ帝」の頭部像(メトロポリタン美術館蔵)でした。スクリーンに大きく映し出された西洋人らしき、ごっついおじさんの顔(実物は大理石でできていて、高さは約40センチの彫刻作品)をじっくりみます(この作品の名前や作者、素材など、事前には紹介されません)。
まず、はじめに、ナビがこの人物について思ったこと、印象をどんどん言ってください、と最後列のみなさんに投げかけて、対話がスタートしました。「怒っているみたい」「不安そう」「こわい感じがする」「強そう」等々、同じものをみながらもとらえ方は様々です。第1印象について「どこからそう思う」のか伝えあった後、顔の上半分、下半分それぞれに注目して、発見したことや考えたことを話し合いました。上半分をみながら対話するなかで、左右で目の感じが違っていること、強さや野心を感じるとともに、不安や疲れも感じ取れること、下半分からは、唇が意外にきれいで、ピュアな感じがすることなどの発言がありました。
「この人、何歳くらいだと思いますか?」というナビからの投げかけで、「30~50代」「頭髪の状態から40代」という意見が出たあとで、ナビから「20代」という衝撃の事実(情報)が!そして、20代という年齢で、この顔はどうなの?この人について行く?行かない?等々、スクリーンをみつめながらナビからの投げかけを考え続けていきました。
ぱっと見、威圧感たっぷりのローマ皇帝。そんな人が強く、勇ましく、威厳たっぷりに振る舞っていても、その陰には不安や苦悩がある。この頭部像を作った人は、そんなこと意識していなかったかもしれないけど、陰の部分がこっそり顔を覗かしている。作った人も素晴らしいし、それを「みる、考える、話す、聴く」ことでみつけることができた私たちも素晴らしい、なんて言ったら、言い過ぎですかね。

2作品目は、徳川美術館蔵の「徳川家康三方ヶ原戦役画像」(しかみ図)です。ぱっと見、「このおじさん歯が痛いのかなぁ。なんかへんな帽子かぶって、へんな椅子に腰かけているなぁ」という感じの絵です。
印象を伝えあったり、表情やポーズを実際に真似したりしながら、描かれている人の心情に迫っていきました。その過程で、作品の背景となる情報をもらって、そのうえで作品をみて考えることの面白さを味わうことができた作品でした。
戦いで大失態をしでかしたときの自分をわざわざ描かせ、それを自分への戒めとし、肌身離さず持ち続けた家康だからこそ、天下統一を成し遂げたのかもしれない。そんなことも考えました。
そして、徳川家代々の方々が先代の思いを受け継いできたからこそ、私たちがこの絵をみることができるという事実。今まで、古い作品も何気なくみてきたけれど、これからは時間を超えて今ここにある、ということに感謝しながらみるといいのかなと思いました。

1作品目、2作品目ともに、もしも自分がナビをしたら、どこでどんな風に情報を出すといいのかなぁと、鑑賞会が終わった後、考えていました。鑑賞者から、どんな言葉がでたら、話の流れがどうなったら、どのような言葉で、どのくらいの長さで情報を伝えようかと。もし鑑賞者の中に、(自分が出したいと思っている)情報について知っている方があれば、しゃべってもらえるといいかなぁ、そんなときはどう声がけするといいかなぁ等々、このことについてはずっと考え続けられそうです。

休憩をはさんで3作品目は「接吻/The Kiss」(グスタフ・クリムト)です。元気よく、
「愛を語りましょう!」というナビの言葉からスタートしました。この絵はなんかみたことあるし、なんとなくクリムトは好きだし・・・。しかし、ここまで男女それぞれの思いやストーリーを考えながら、みたことはなかったです。
この絵に描かれている男性は怪物?神?強引?女性を救おうとしている?、女性は駆け引き上手?死にそう?身をゆだねている?拒んでいる?、二人は不倫関係!?等々、表情やプロポーション、人物の周りに描かれているものを関連付けながら、ロマンチックなものからシビアなものまで、さまざまな意見が出されました。「そんなんじゃ(そんなにシビアに男女の関係をとらえていたら)、子どもは生まれんわー」という、つぶやきもあり、思わず笑ってしまいました。ちょっとアダルトな鑑賞会も、なかなか乙です。

最後の4作品目はMOA美術館蔵の「紅梅白梅図屏風」(尾形光琳)です。中央奥から手前に向かって川が流れてきていて、その左には白梅、右には紅梅が咲いていて、バックは金ぴか!といった作品です。
鑑賞のはじめのところで、鑑賞者から「絵の中心の川の部分がずれている」という意見がありました。そこで、ナビからこの作品は(二曲一双の)屏風であることが伝えられ、屏風として飾ってある画像も少しみてから、鑑賞が続きました。「七夕の織姫、彦星みたい」「川が、人の思いのようであり、試練のようであり、渦巻いている」「白梅が男、紅梅が女」「白梅が誘い掛け、紅梅が待っている」「白梅紅梅は友人同士で、けんかして仲直りしたいところ」等々、梅を擬人化した意見がたくさん出されました。描かれているものは梅と川なのに、そこに思いやストーリーを重ねながらみていくことが、とても面白かったです。

鑑賞会が終わった後、学食で定食を食べながら、学生さんたちはそれぞれ自分の持ち味でナビや司会をしていたなぁ、と思いました。もちろん、個人個人を知っているわけではないのですが、それぞれに違っていて、おもしろかったです。それと同時に、ふと自分の持ち味って何かなぁと、ちょっと考えたりしました。
そうそう、学食のイワシの梅じそフライ定食、おいしかったです。

次回、第2回目は11月30日。どんな作品やナビゲーターとの出会いがあるのか、今からとても楽しみです。大階段の向こうに、わくわくが待っています。

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当日の記録を担当した金谷さんからのレポートです!!

2014-11-16 09:04:26 | 対話型鑑賞
当日の記録を担当した金谷さんからのレポートです!!


中国造形研レポート 
中学校 鑑賞「四人の子等」
授業者 出雲市立大社中学校 春日先生
平成26年10月31日 島根県立美術館にて

 みるみるの金谷です。先日、島根県立美術館で行われました、鑑賞の公開授業の様子をレポートします。

 10月31日9:00、光中3年生のみなさん(17名)が、バスで県立美術館に到着。春日先生が出迎えて、「普通でいいけんね」の声かけに、笑顔がこぼれていました。

 美術館の講義室にて、始業時刻までゆったりウォーミングアップ。数名の生徒にインタビューをすると、「春日先生との授業、楽しみです。」「(対話型鑑賞は)いろんな人の意見が聴けていいです。」「今まで実物じゃないのを見てきたので、本物を見られるので、楽しみです。」などなど、少し照れながらも答えてくれました。

 講義室で、授業がスタートしました。今日は島根県出雲市ゆかりの作家の作品(本物)をみること。そして、「みる・考える・話す・聴く」という活動をしながら「どこからそう思う」「そこからどう思う」ということにも頭を働かせようということを確認して、2階の展示室へ移動しました。階段を上がる生徒たちの足取りは軽く、「どんな作品なんだろう」「早くみたいな」とわくわくしている様子が感じられました。展示室の奥の部屋にて、作品(四人の子等)と対面です。

 まずは、じっくり作品を見つめます。男子女子と立ち上がり、入れ代わりながらすみずみまで作品を見つめます。じっくりと見た後、女子はベンチに、男子はベンチの前の床に腰を下ろしました。そのころには、生徒の周りを大きく囲むように、この授業の参観者の輪ができていました。

 生徒が全員座ったところで、春日先生の、「じゃあ、誰からでも」との言葉かけで、対話がスタートしました。初めに発表した生徒から、この絵のポイントになるような事柄(みえているもの)が、いくつも挙げられました。この発言をもとに、人物の服装から、描かれているところは日本ではないか。またヘチマやひまわりなどの植物の色やその様子、人物の服装から、季節は夏から秋ではないかと、根拠をもとにして対話がすすんでいきました。まさに「どこからそう思う」を話し合いながら、描かれている場所や季節の合意形成がなされていきました。

 そんななか、春日先生が「ちょっと、あそこをみて、意見のある人はいませんか?」と、作品の中心(乳母車のかごのあたり)を示されました。画面全体をみていた生徒たちの目が、ぐっと作品の中心に集まるのが感じられました。全体をみて話すことから、焦点化してみることへと、みかたが進んでいきます。焦点化し、人物の行動やしぐさをもとに話しあう中で、描かれている人々は家族だと思う、また乳母車の中に赤ちゃんがいると思うという意見が出されました。

 そこへ、春日先生が生徒に揺さぶりをかけます。「みんなちょっとよくみてよ。(お母さんとお姉さんの)あの顔見て、何か思うことない?」と。しばし沈黙・・・。食い入るように絵をみる生徒たち・・・。その後、二人の表情から、「乳母車の中の赤ちゃんは亡くなっている」、「生きている」、「死んでないと思うけど(お母さんたちの)微妙な表情はなんなのだろう」、と生徒たちの脳味噌がフル回転しているのが、目にみえるようでした。
 
そこへまた、春日先生の投げかけが・・・「『どこからそう思うか』はいっぱい言ってみましたね。(中略)意見がまとまってきているけど、『そこからどう思う』の?」と。
「どこからそう思う」から「そこからどう思う」へ、ギアチェンジした瞬間でした。この後、かなり長い沈黙・・・。約40秒。表面的には沈黙でも、内面ではものすごく活発に対話をしているように感じる、豊かな時間が過ぎていきました。

「お母さん、ちょっと子育てに疲れているのかな。って思いました。」「とてもいい家庭なんじゃないかな。と思いました。」など、「そこからどう思う」のか、自分の意見が出てきました。そんな友だちの意見に触発されて、人物の表情をあらためてみたら、また発見があって・・・と、読み取りが深まっていくのが伝わってきます。

生徒たちの読み取りが、「ちょっと、子育てにお母さんは疲れているかなあ」という感じになっているところへ、またまた春日先生からの投げかけが。「家族っていったら、お父さんは?どうなの?」と。すると、パパパッと手が挙がり、描かれているものから時間帯は昼間で、お父さんは仕事でいないという意見や、お母さんの表情などから、お父さんは戦争や遠くに行ってしまってなかなか帰ってこないという意見が出されました。

このように根拠に基づいた、たくさんの読み取りをしてきた生徒たちに、春日先生は最後の投げかけをしました。「いろいろな意見を聞きながら、読み取ったこの作品から、どんなメッセージを受けとるの?この作品は何を語りかけているの?」と。

しばしの沈黙をはさんだ後、この絵から受け取ったメッセージを、一人ひとりワークシートに書くことに。約10分間の記述時間には、鉛筆を走らせる音が展示室に静かにひろがりました。作品に近づいてじっと見つめては、その後またワークシートに書きこんでいく生徒も。そんな生徒たちの間を、春日先生は小さく屈んで、静かに声をかけていかれました。

授業の最後に、春日先生から生徒たちに、ミニサプライズ。「四人の子等」の作者、草光信成氏のお孫さんからのお手紙が紹介されました。授業が閉校する中学校の生徒たちにもよい思い出となるよう願っていることをはじめ、絵の中で乳母車に乗ろうとしている子が自分の父であることや、祖父はいつも祖母を描いていたこと等を紹介し、授業が終わりました。

授業後の生徒たちに、インタビューをすると「本物の作品をみれたのが、うれしかった」「(手紙の内容を聞いて)身内をかいてて、驚いた」「印象に残ったのがこの場面なのかな、家族が一番なのかな?と思った。」「身内を描くなんて、いいなあと思った。」「ゆかりのある人とは聞いてたけど、出雲市の人でいいなあと思った。」「いつもと環境が違ったし、まわりの(たくさんの人の)視線がこわかった」「いつも通り言えた」など、さまざまに答えてくれました。

授業後も展示室で、楽しげに絵をみながら語り合っている生徒たちを見て、作品を「みる・考える・話す・聴く」ことを楽しんでいて、うれしい気持ちになりました。きっと、彼ら彼女らはこれからも美術を愛好する気持ちをもって、日々成長していくように思いました。対話型鑑賞の授業を通して、自分の意見に自信をもって言えるようになったという感想も聞き、より頼もしく思いました。
また、授業を参観させてもらいながら、自分も生徒の中に入って、手を挙げて意見を言ったり、聴きあったりしたくなりました。それほどに、魅力的で楽しい授業でした。光中3年生のみなさん、県立美術館のみなさん、そして素敵な授業を公開してくださった春日先生、ありがとうございました。

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