ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

夏季研修会 2日目の報告です!!

2015-08-24 08:23:48 | 対話型鑑賞




●二日目(会場を島根県立大学短期大学部松江キャンパス 体育館研修室に移して開催)
講師:北野先生

対話型鑑賞は…決まりきった「型」として考えるのでなく、実際の状況や、授業のねらい、対象の子どもたちに応じて、柔軟にアレンジすることが大事!

〇日用美術館
①二人一組になり、お互いの筆箱や鞄の中身を見せ合う
②それぞれのモノについて、お互いに質問しあい、相手のキャラクター(性格・特徴・個性)を想像する。
  コツ ・じっくり観察する。
     ・5W1Hを基本に、相手のキャラクターが浮かびあがるような質問する

③インタビューからの想像をもとに、相手のキャラクターを表すニックネームを考える。そして、そのキャラ
クターを象徴するモノを一つ選ぶ。
 例)ビビアーノ・フェルナンデス のニックネームは…
    
密林の   関節     カーニバル
    ↑     ↑      ↑
  ブラジル出身  関節技が得意  次々と関節技を繰り出す、陽気な性格

  ・〇〇さんのニックネームは・・・
  ・〇〇さんを表す日用品は・・・
  ・なぜかというと・・・・
   を考える。
④相手のキャラクターを表す、ニックネームとモノを皆に紹介する。
 なぜか?という理由も一緒に説明する。

・シンプルイズザベスト~センスの光る無印良品~
・慈ウルトラの母
・ミリオンダッシュメッセンジャー
・洋上のひらめき繊細野郎
・ナイススパイスコネクト名人
・エブリデイエブリホェアお母さん

などのニックネームをみなさんが考え、発表しました。
〈感想〉
最初はとてもむずかしいなと思ったのですが、他人のもちものを普段よく見たり質問したりすることはない
ので、とてもおもしろかったです。持ち物で、普段どういうことを考えていて、どういうことを心掛けてい
るかや、性格なども垣間見えて、なるほどな~と思いました。

まとめ例①
「キャラクターデザイン」
キャラクターをデザインするためには、色や形のデザインと、キャラの性格や特徴がしっかりつながる必要
がある!→友達の持ち物からその友達のキャラクターを考えて、持ち物を元にしたキャラクターをデザインする。
まとめ例②
「筆箱展覧会」
友達が作家、日用品が作品、そして、あなたは美術館の学芸員として、作家の作品を展示(紹介)する。
まとめ例③
「自己理解と他者理解」
「自分が思っている自分」と「他人が思っている自分」はちがうね。

〇振り返り
最後に輪になって、自由に感想や質問などを話し合いました。
・小学校3年生で運動会の絵を思い出して描いたときに、子供たちの絵がすごくさみしくなった。どういう手立てやアドバイスがあるだろうか。
・対話型鑑賞をしたときに、最後の記述でどのくらい書いたらAになるのか。
・対話型鑑賞のねらいはどのように設定するのか。

などの質問が出されました。みなさんどう思われますか。参加者の中から、自分はこうやっているという意見が出され、それを聴きながら、自分の実践と照らし合わせ、北野先生からアドバイスをもらい、それを聞いてまた考えて…。
 大変充実した会になったと思います。
今回の参加者の方が「美術は好きだけど、敷居が高いと思っていた。しかし、みんなで意見が感想を出し合って、みんなで作っていく会だったのでとても楽しかった。」という感想を言ってくださいました。
誰か偉い人がいて、その人の話をみんなで聞くという会ではなく、みんなで作っていけるのがこの研修会のいいところだと思います。そして、この研修会で学んだことを、また2学期の授業に生かして、子どもに返していきましょう。

以上で夏季研修会2日間の報告を終わります。

来年は会場を隠岐に移して開催の予定です。北野講師を始め、京都大学博物館長の大野照文氏もお招きできればと考えています。夏休みの旅行も兼ねて、ジオパークにも指定された隠岐にみんなで集いましょう!!
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夏季研修会1日目 午後の部の報告です

2015-08-22 11:00:34 | 対話型鑑賞




午後の部は、午前中の対話型鑑賞の理念を北野講師に講義頂くことから始めました。私たちの実践する対話型鑑賞はACOPの理念に基づいているので、それらを理解していただきながら、マニュアル化しない各先生方で応用可能なものにしたいただければと考えています。しかし、基本原則を理解していただくことは大切ではないでしょうか。そこで、午前中の実践がどういう理念に基づいて展開されているのか?どういう効果があるのかを理解したうえで実践をしてほしいと願うからです。
対話型鑑賞は「根拠に基づいて作品を読み取る」鑑賞法です。その鑑賞法を実践していただく際の理論が「根拠」です。「根拠に基づく鑑賞法」であること、揺るがない根幹があることを理解し、実践してほしいと願うからです。

〈午後の部〉北野先生のワークショップと講義
・対話型鑑賞とは?→もともとはニューヨーク近代美術館で開発されたVTCが源流
・そもそも鑑賞とは?(鑑賞と観賞のちがいを考える)
 (1)名月を鑑賞する。    ☓
 (2)映画観賞会       ☓
 (3)彼の趣味は音楽鑑賞だ。 ○
 (4)展覧会の観賞ツアー   ☓

観と鑑の違いは?
観・・・自然の風景や動植物などをみて、楽しむこと。
鑑・・・自分の立場から深く味わい、そのよさを理解すること。

鑑賞とは・・・作品とみる人の間に怒る深遠なコミュニケーション  →アートが生まれる(コト)

・よくある「鑑賞」のつまずき
 1、作品と関係のない空想をしてしまう
 2、作品をみても何も思いつかなくて、すぐに飽きてしまう
   (人は平均して、10秒前後で作品の前を去っていく)
 3、ひとつの「正解」を求めてしまう
   (人の解釈、作家の「意図」、思い込み)
   例「モナ・リザ」のモデルは誰か?!…誰だか正解を突き詰めたとしても、それは「モナ・リザ」と言う作品を味わったことになるのだろう 
     か?

・ACOP4つのポイント
  みる・・・すみずみまでみる。
  考える・・・直感でいい。どこからそう思うのか。
  話す・・・言葉にする。
  聴く・・・一番重要。自分にはなかった考えを知る。

・ナビゲーターは交通整理役。あくまで鑑賞者の一人。その場を共有しながら、鑑賞の深まりを促していく。

ナビゲーション基礎
「なんでも自由に言ってください」
「どこからそう思いましたか」(根拠を引き出す)
「そこからどう思いますか」(印象、感情を引き出す)
「他に何かありましたか」
ナビゲーション応用
 「パラフレーズ」…言い換え
 「コネクト」…つなげる
 「サマライズ」…まとめる
 「プッシュ」…鑑賞者に挑戦!発言をもっと突っ込んで訊く。

・「ナビゲーターは鑑賞者を鑑賞する鑑賞者である」
  →対話は場に即して臨機応変に!
「答えのない問いに対して、答えがないからこそ考えていることを学びました。」
(ACOPを体験した学生の言葉)
                  ↓
ACOPは「コミュニケーションによる鑑賞教育」であると同時に「鑑賞によるコミュニケーション教育」と言
える。

みるエクササイズ(普段やっている「みる」を味わいなおす)
・学生にも最初からいきなりは難しい。みるエクササイズをやりながら、ステップアップしていく。
○鏡のWS
①「逆さまの世界を歩いてみよう!」
②「逆さまの字を書こう!」 
〈感想〉
・歩いているときも文字を書いているときも、頭ではわかっているけど、体がついていかない。
←慣れている習慣や見えているものに思いの外とらわれているというのがわかりますね。

・恐くて前に進めなくなった。字はいらいらした。やろうと思う方向に動かないし、動いても、とんでもない方
向に。
・すごく楽しかった。自分の思い込んでいることがぶち壊されて。
←もどかしかったり恐かったり、しますね。人にいってもらうと安心すると同時に、どうサポートするのか難し
さも感じたという声も聞こえました。
普段の習慣、思い込みのとらわれというのは大きい。それに抗おうとするのは大変。でも慣れるとできたり、他
の人のサポートがあるとすっと移行できたりする。

○ブラインドトーク
〈振り返りのポイント〉
想像どおりだったところ/違ったところ←容赦なく。ずれているところを見つけるのがポイント。
うまくいった/いかなかった理由は?
ブラインド・トークのコツは?
〈1回目の振り返り〉
・ある物の場所、大きさ、色を言えば、イメージが浮かぶのではないか。
・物や大小関係はある程度わかった。色は難しかった。色についての情報はなかったので。
←色を伝えるのは難しくないですか?どうですか?
・「空」と教えてもらったけど、こんなにリアルな空だとは思わなかった。
←たしかに空と言っても、イラストの空なのか、リアルな空なのか、いろんなものがありますよね。
・最初にマグリットと言ってもらって、自分なりに想像した。大きさ、角度なんかは、もっと自分から追求して
いけばよかった。
←「マグリット」で二人とも同じイメージが伝わりましたか?同じイメージをもつこともできるし、そうでない
場合もある。大きさは、どういう風に伝えましたか?何かを基準にして伝えていくというのも一つですが、何を
基準にするかということでも相違が出てくる。ここでも、「伝わった」と思っていても、あれ?ということがで
てくる。
・最初にギリシャ絨毯と言ってしまって、「ギリシャ絨毯ってなんですか?」と聞かれたので、茶色っぽくて唐
草模様のある絨毯だと言いなおした。
←聞いたことをスルーするのではなく、突っ込んで聞くと、別の言い方になって、より具体的な情報になる。
←形、色、場所、向き。何かを基準にして大きさを伝えていく。言われたことを流すのではなく、突っ込んで聴
く。

コツ①
「見えたつもり」、「わかったつもり」になるのではなく、「他の見え方があるのではないか」という考えをもつ
こと。

〈2回目の振り返り〉
・荒々しく描いてあることを、いろんなタッチがあること、ろうそくがあること、女性がいること、その髪の毛
は長いこと、を説明しました。
←まず、顔だとして、どこがどう顔ですか?言葉で。これ一個一個言葉で表すのは大変ですね。みなさんいいで
すか。こんな顔で。では、これ男性?女性?
・眉毛が濃いので男性だと。
←これは、3才の男の子です。女性だと思った人で、髪の毛が長いからという理由で思った方は、髪が長いのは
女性だという思い込みがあるのだということに気付く。
・おだやかそうな顔で寝ていると説明されたが、絵の具のタッチやドロドロの感じで、穏やかな印象とは違って
いた。
←おもしろい意見。表情と背景では受ける印象がちがう。どうですか。
・確かに言われてみれば。最初から、表情と背景は自分の中で乖離していたので、背景とも併せて印象を伝える
ということも大事だと思った。

コツ②
話し手と聞き手の共同作業が重要。話し手と聞き手が入れ替わることができる。教え/教えられる関係ではなく、
お互いが対等に「聴きあう」関係の方がコミュニケーションも学びも深まる。

1日目の振り返り(グループワーク)
〈対話型鑑賞〉
・わかったこと
  ・鑑賞の仕方、対話のくり返しによって深まるということ
  ・ナビのスキルアップは大切。
・疑問点
  ・学習課題の設定の仕方はどうすればいいのか。
  ・目標や、評価は?
  ←めあては、作品に親しむ、味わって理解するというところ。これは発達段階によっても異なってくる。
   楽しくみんなで絵を見て、自分でも美術館に行ってみようという心情が養えることが、生涯にわたって美
術を愛好しようという大きな目標に近づくことになる。
   評価は、子どもの書いたことや発言が成長していくこと。そしてそれを「すごいね、こんなことが書ける
ようになったね」と返してあげることが評価。
   鑑賞は美術に限らず、人間関係でも,学習の面でもすごく役に立つし、大事な力。
   作品を見て、100見つけた子と、10見つけて、数は少なくても、空想して遊んでいた子。どちらがい
いか、どちらもいい。ということは、何回もくり返して、その都度ねらいを絞ればいい。今日は色でいこ
う!
とか。
   対話型鑑賞は、方法です。ねらいは、様々に設定できる。一番まずいのは、マニュアル化してしまって、
とにかく言えばいいとなってしまうこと。
  ・自由な発言というのは余計難しい。何をいってもいいというのは生徒にとっては困るのでは。
  ←ある程度生徒との人間関係をつくってから始めることが大事。生徒の様子を見ながら、レク的な感じで始
めてもいいと思う。ひまわりの自己紹介は、最初やりやすい教材。ブラインドトークなどをはさんで、ク
ラスの雰囲気をほぐす必要もある。クラスの雰囲気が固まった状態では難しい。
  ・ナビゲーションをするのに、年齢別のポイントがあるか。
  ・ナビスキルアップはどのようにすればいいか。

〈ACOPのレクチャー〉
  ・午前にやったことの裏付けになった。
〈鏡〉
  ・ワクワクすることはとても大事。とてもいい体験。
  ・視覚に頼りすぎていることに気付いた。
〈ブラインドトーク〉
  ・小学校の児童は語彙に差があり、それをどう埋めるか。
  ・午後のWSはサポートがあったことがよかった。

※ここでやったことがそのままマニュアルになったらいけない。ここでやったことのエッセンスを使いながら
子どもたちに応じて、やり方を考えていくことが大事!


最後にアクション宣言と、アンケート記入をして終了。解散。
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みるみる夏季研修会 詳細レポート 第1弾!!

2015-08-20 16:54:42 | 対話型鑑賞




みるみるの会主催で安来市教育研究会と出雲市教育研究会併催の夏季研修会を行いました。
初日の17日午前中は「対話型鑑賞」のナビゲーター体験です。対話型鑑賞を学校の授業でおこなおうと思ったら、教師がナビゲーターを務めなければなりません。しかし、ナビゲーターの養成の場は限られています。そこで、今回、わずかに小中学校4名の先生方にしかその機会を与えることができませんでしたが、少しずつでも自信をつけて実践してくださる先生方が増えていくことを願って、最初にこの研修を組みました。

やり方は、2作品を取り上げ、本物をまずコレクション室でじっくりと鑑賞してもらいました。その後、小学校チームと中学校チームに分かれて、ゴッホのひまわりを使って「あなたはどのひまわり?」というWSで、自己紹介をしました。
自己紹介後、みるみる会員の金谷が小学校、房野が中学校のチームでモデルナビゲートを10分程度行い、その後、「我こそは!」という方にナビゲーターをやってもらいました。

その様子が、以下に示してあります。みるみる会員の中嶋が記録を取りました。


H27夏季研修会(出雲市教育委員会・安来市教育委員会 併催)
2015,8,17(月)島根県立美術館
●1日目
1,対話型鑑賞
  ①コレクション室で本物をみよう!
  ②自己紹介タイム
「あなたはどのひまわり?」(小学校の先生方の様子)ナビ:金谷(以下 金)
金:今日やってみたいと思われる方は、いらっしゃいますか?では、このあと自己紹介をして、ほぐれたところでもう一回ききます。今日はこういう感じでやりますが、質問はありますか?
Sキャプションは見てもいいんですか。
金:はい。みてもかまいません。見せないでやるというやり方もありますが、そういう情報の中から考えていきましょう。
金:私は浜田市の弥栄小の金谷です。どきどきしています。私はみなさんのことがよく分からないので、自己紹介をしていきたいと思います。この作品を通して自己紹介をしたいと思います。これ、みたことありますか?このひまわりの中で、あなたはどのひまわりかという感じでやってもらいたいと思います。
S難しいな・・・(つぶやき)
金:まずは、じっくりみてください。(間)では私がちょっとやってみます。私は⑤番です。なぜかというと、真ん中にいるのではなく、外れたところできょろきょろしている。センターではなくサブでやっていきたいという私です。
では,はしの方ジャンケン・・・
S本当は②と言いたいところですが、⑬です、気持ちは真ん中をむいていたいけど・・・そろそろ終盤にさしかかってきて、もう終わりかな~という花なので(笑)
S8です。前を向きたくない
S3です。ちょっと一輪だけ横をむいていて、みんなと同じことをしたくないという気持ちが出ている
S10です。早く帰りたいなといつもおもっているので、抜け出しそうな10
S5、一番ひまわりらしいから、真ん中を向けない心の闇がでている
Sこの中にはないな、まだつぼみ
S6、一番態度がでかいし、
Sひまわりがとても好き。好きなのは2だけど、自分は真ん中のタイプではないので5にします
S13周りの人の動きも気になる、よそを向く勇気もない。上の方から全体をみている
S7、マイペースで突進していく感じ。ちなみに・・・(ひまわりの薀蓄を傾ける)
S私も7です。仕事でへこんでたんだけど、今は復活しつつある、むっくり起き上がる感じで。
S5を選びました。自分自身はがんばっているんだけど、押しつけたくない、わかってほしいので、横を向いている
S1,真ん中が目に見えて、周りをきょろきょろ。みんなそんなに上手に言ってるの?と言っているよう。
Sみんなが選んだ 5で。あの位置に見えるからには、見えないところで、まっすぐ伸びているのではないかと思うので、そういう自分でありたいなと思って。
 

③講義室で対話型鑑賞に挑戦!
   小学校と中学校に分かれて2作品ずつ実践。
(小学校は金谷さん、中学校は房野さんがデモンストレーションを行う)

金:こういう感じで、これも対話型鑑賞なんですよね。普段の生活の中でやっていることでもあるんです。では、今日ナビをやってみたい人・・・・
金:今から、小学生になったつもりで、どんどん言ってもらいたいと思います。話したり、聴いたり、考えたり、これをぐるぐるしながら作品を見ていきましょう。
Sこれを見たときに松の木が目に入って、この人は松がかきたかったのかな
金:かいた人の気持ちも考えたんですね
Sいや、そういうわけじゃないけど
金:どこに松がありますか
Sあれ松じゃないかいね
金:いえいえ、どこにありますか。教えてください。
Sここ。
金:うなずいている方が多いですね、みなさんも松に気付きましたか
S松の幹がごつごつしていて・・・松のとげとげがやわらかそう(細かく松の描写を説明)
金:ほかにも気付いたことはありますか、発見もいいよ。
S発見じゃないけどいいですか。どうしておじいさんがここにも、あそこにも、ひそひそ話をしているんだろう?なんか楽しそうだし。
S私は48人数えました。
S私は50人見つけた。キャプションには41人とかいてあった。重要な人とそうでない人がいるのかな。
金:私は65人数えたんです。(おー!!)さっきも言われたけど。重要な人とそうでない人もいるのかも。それから、たのしそうだという方もおられましたね。この人達はなにをしているんだろう?
S私は視力が悪いので、いわれないとわからないところもあるけど、風景の中にすーっと溶け込んでいるような人もいる。
金:はあ、すーっと溶け込んでいるような・・・あ、ここで時間がどんどんなくなっていくので、交替しましょう。
○交替
Tええーっと・・・
Sはい。おじいさんがお地蔵さんにも見える。お盆のあとだからかなと。
S目がすーっとなっていて、怒っているんでもなく、楽しそう。
T目がずーっとなっていて
Sさっき赤を見ろという指摘があったけど・・・赤のところで、琴を弾いていて、それを楽しんでいる。
T赤が目立ちますね。
S赤が意味しているものがあるのかな。最初は水墨画にしかみえなかったけど、いろんな色がみえてきてすごい。
Tそうですね、水墨画のようですが、たくさん色がありますね。
Sキャプションには憧れをもってかいたとかいてあって、・・・
Tあこがれ、そうですね・・・
S人に注目した時に、このおじさんがよっぱらっているようで、こんなところでお酒飲んだら楽しそうだなと思いました。
S絵が先なのか、字が先なのか。字もとてもきれいにはんこのように書いてあって、私はそこにも憧れを感じました。
金谷:ではそろそろ時間なので、最後に何か言いたいことがないか訊いてもらって。
Tあ、はい、じゃあ。
Sあの字はなんてかいてあるのかな。
Tあ、なんて書いてあるのかな。
Sあ、言っていいのかな、王羲之とか書いてあって、書家の間で有名な人で。そういう意味で、憧れなのかなと。
○振り返り
金:はい、それではありがとうございました。今から振り返りをしたいと思いますが、最初に、ナビをやってもらった方、お願いします。
永瀬さん:初めてで、なんとか真似してやってみた。やったら意外と楽しくて、みなさんの意見を聞くのはたのしかった。困ったのは、つなぐのが難しかった。
金:初めてとのことでしたが、聞いて,つなげて、自分の意見も付け加えてやっておられてすばらしかったです。ほかにはどうですか?
S:私もつなぐのが難しい。どうやっておられますか?
金:自分も課題だが、つなぐことを意識していると、聴けなくなる。自分もまず、聴きなさいと言われる。
春:まず聴いてください。子どもは色々言いますが、よく聴いて、「あなたが一番言いたいことはこれなのね」とその言葉をつないでください。そうすると、子ども良く聴くようになる、子どもの話し方も変わってくる。
S:作者の意図がある。自由にみてもいいと思うけど、作者の意図にせまるような見方もする必要があるのでは?
春:一回でそこまで狙うのは難しい。一年で5回くらいやっていくと、だんだんと子どもが作品を見ていく中で気付けるようになる。読み取れるようになる。
金:今日は、前に出て、指し示すようなことをしていましたが、最初はそれでいいですが、右や左などの言葉で伝えられるようになるとよい。最初は作品と仲良くなるように。でも美術館ではね。とマナーを伝えることも、鑑賞の大事なことだと思ってやっている。

  2回目
金:後半戦はこの作品でやってみようと思いますが、ナビやりたい人おられますか?
金:二つ目の作品はこちらです。まずじっくりみてみましょうか。じゃあ、この作品をみて気付かれたこと、見つけられたこと、自分で考えられたことなど、どうぞ。
S:いいとこの子やなと思いました。
金:それどこからそう思ったの?
S:着ている服やはいている靴、レースの感じリボンが高価なもののような感じがするので
金:ほかに 何か。
S:最初見たとき笑いました。人形が投げ捨ててあったから。最初人形で遊んで、飽きちゃったからやめて、今からこれで遊ぶんだなと感じて。人形がなかったら、違う絵に見える。
金:人形が投げ捨ててあったから笑ったんですね。
S人形があるから生活の一部のような絵になってる。
S:子どもの手のふっくらした感じが好きで、いいあなと思って顔を見たら、「みらんでよ」という顔で、そのギャップがおもしろかった。
金:
S:レースや髪の毛の描き方が繊細で、その表情が・・・
金:描かれ方と表情のギャップに魅力があると言うことですかね。
S:女の子の表情から、不満とか悲しみとか混乱とかそういう感情がすごくでていて、「私はどうすればいいのよ!」という叫びが聞こえてきそう。
金:持っているものや表情からネガティブなものがつたわってくるんですね。他に、感情なので、自分はこうだよ、自分はこう思うというのがあったら
S:付け足しなんですけど、背景の色の感じが女の子の感情を伝えているようだ。

ここで交替
T;どうでしょうか?
S:
T:
S:フラフープは外で遊ぶもの。これは室内なので、外に出たいという不満。
T:この不満そうな表情の理由を言われたんですけど、他に理由を感じられますか?
S:いつも独りで遊んでいるのかな
T:
S:写真のように見えました。
T:今まで、なんとなく似たような意見が多かった中で、写真だと思ったという意見が出ました。
S:あの持っているフラフープはまっすぐにしか進まないのでは?表面が平らで・・・・
T:つまりは写真のようだということですね。
S:私も写真のように見えて・・・
T:私も、ここのところがすごくリアルに見えて、でもよく見たら白い絵の具の塊で、驚いたのですが。今、女の子の不満そうな表情と、リアルさと意見がでていますが、他に何か。
S:
T:いろんなことがでるんですけども、やっぱり一番印象に残るのは、この表情なんですよね。
S:今、フリルとかいろんなものを見た中で、もう一度この絵を見ると、このフリルのきれいさとかが、表情をより強調させている。この少女のやるせなさとか。
T:服やフリルや手の感じがこの少女の表情を強調しているんですね。
S:顔をかくしてみると、からだつきの幼さに比べて、顔は大人びている。
T:はあ、隠してみるという見方がでましたね。
S:この作者は上から見下ろしている。
T:
S:その話しを聞いて思ったのは、大人からみた子どもというか、子どもとしては、まだ遊びたいのに、これからお出かけだからちゃんとしなさいよといわれているような。想像ですけどね。
T:いろんな想像ができますね。
S:さっき、光の話しがでましたが、そういえば、この光はどこからあたっているんだろうと・・・
T:よくみましたねぇ。
  はい、じゃあ、たくさん意見がでましたね。これで終わりたいと思います。

○振り返り
ナビの感想
 うまくまとめることはできませんでしたが、困っているとだれかが助けてくれるという感じで、どうしようというのはなかった。ただ、同じ話がまた出てきたり、全然関係のないところにぽんと飛んだりすることは、まああるかなと、思いました。

S:正反対の意見が出た時、どうすれば?
金:ナビは中立な立場であること。正反対の意見が出た時は、その理由を聞くことが大事。それを聞くことでより深い話し合いができると思う。そしてナビも鑑賞者の一人である。情報をもって、状況に応じて出すことをするが、ナビがトップではない。
最初に落としたが、この対話型鑑賞のルールをきちんと説明することが大事。
S:意見をいっぱい言いたい子もいれば、言いたいけど、手が挙げられない子や、この場に入って来られない子を巻きこむにはどうしたら?
金:自分は、手を挙げてない子に「いってみない?」と振る。また、先生はこう思うけど、どう?賛成の人。反対の人。とういうように挙手させる機会を設けてもいい。意見が言えなかった子は振り返り用紙に書くこともできる。様子を見ながら、声をかけながら。

午前中の研修は以上です。
午後は、この体験を理論的に理解する「ACOPについて」のレクチャーを京都造形芸術大学アートコミュニケーションセンター研究員で講師の北野 諒さんに行っていただきました。
この記録は、明日またUPします。お楽しみに!!
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夏季研修会が終わりました。報告します!!

2015-08-18 17:22:28 | 対話型鑑賞




夏季研修会を開催しました。
8月17日18日とみるみるの会主催の夏季研修会を開催しました。今回の研修会は安来市教育研究会と出雲市教育研究会との併催で、多数の先生方が参加してくださいました。安来市の先生方は午前中の対話型鑑賞の実践研修に参加。出雲市の先生方は午前に続いて午後も参加していただき、ACOP(対話型鑑賞法)の理念や鏡のWS、ブライイドトークWSの活動を行いました。最後に1日の研修の振り返りをグループ討議し、全体でシェアしました。締めくくりに「アクション宣言」を行い、2学期に向けてやる気を高めていただきました。
朝は、土砂降りの雨の中、足元も悪かったのですが、みなさんの熱気が伝わったのか、閉講式の頃には雨も上がり、研修を気持ちよく締めくくることができました。
では、最後までご参加くださった14名の参加者のみなさんのアンケートの結果と感想、そして、「質問紙」に寄せられた質問にも回答したいと思います。

研修評価
A 今日の研修は有意義だった ④11名 ③3名 ②0名 ①0名
B 2学期からの授業に取り入れたい ④9名 ③4名 ②0名 ①0名 無回答1名
C 研修内容で1番よかったものは?(複数回答)
  対話型鑑賞の実践(4名) ACOP(対話型鑑賞)レクチャー(3名)
  鏡のWS(6名) ブラインドトーク(6名) 振り返りの協議(4名)
  ひまわりでの自己紹介(1名) 全部(1名)
D 今回の研修内容に興味があった ④12名 ③2名 ②0名 ①0名
E このような研修会があれば、また、参加したい ④11名 ③3名 ②0名 ①0名
F 図工・美術で研修を受けてみたいものは?
  ・活動の振り返りについて ・低学年における絵画指導 ・子どもの思いを引き出す絵の描き方 ・造形でのアイディア ・絵画の指導法 
  ・実技研修 ・教材開発 ・PCの有効活用

研修の感想
☆たくさんの意見や感想を聞けて、とても充実した時間になりました。美術に限らず、みて話すこと、ことばにする能力は大切だなと改めて感じることができました。(中学校)

☆鏡のWS、ブラインドトークは今まで体験したことがなく、カルチャーショックを受けました。物事を認識したり理解するってことは、思い込み(目だけ、耳だけの情報では不十分)をつくらないこと。会話を通して理解しあえるのですよね。それを練習していける大切な授業になると思います。(中学校)

☆小学校の先生との会話で、小学生、中学生の感じ方や発表意欲の質が変化があることを実感できよかった。(中学校)

☆しばらく図工から遠ざかっているので、最近の様子が知りたくて参加した。図工という教科に限らず、いろいろな場面で必要となってくるコミュニケーション力なのでぜひ、他の教科の中にも取り入れてみたいと思った。大切なのは対話!(小学校)

☆今までの鑑賞教育がとても恥ずかしく思いました。今日の研修を受けて、2学期からできそうなネタをたくさんいただきました。自分自身も図工がなかなか苦手意識をもっていましたが、今日のお話を聞いて、自分も楽しく図工ができそうで、早く図工がしたくてたまらなくなりました。(小学校)

☆今日の研修のねらいの一つだったと思いますが、参加者のみなさんの考えを聞いて、いろいろな考え方、見方があるのだなと実感しました。どうしても思い込みがちになるので、いい刺激になりました。2学期にはマニュアルにならないように実践してみたいです。

☆鑑賞学習を通して、コミュニケーション学習ができることを改めて感じました。道徳での実践を併せて考えることができました。(小学校)

☆実践できそうなものばかりで、2学期から早速使いたい。とくに対話型は全教科でとり入れたい。(小学校)

☆ACOPについて一度研修を受けたが、再度確認できて、今後の指導や作品鑑賞に生かしたい。(小学校)

☆対話型の鑑賞は研修で体験したりしてきたが、今回の鏡のWSやブラインドトークで改めて見ること、伝えることを考え直すことができました。自分と他者との見方の違い、感じ方の違いにも気付くことができたことも新鮮な体験でした。(中学校)

☆同じ教科の教員がほとんどいない職場なので、こういう研修があると心強いです。小さな悩みでも聞いてもらえるので、2学期からの活力になります。若い方のアイディアも新鮮です。(中学校)

☆楽しかったです!子どものようですが・・・。子どももたのしくさせなくてはいけませんね。(中学校)

☆より多くの先生方と対話型鑑賞、コミュニケーション教育についてお話を聞くことができました。大変勉強になりました。アクティブラーニング、探究型学習との関係も興味深かったです。(一般)

参加者からの質問
☆作品選びについて
・このことについて詳しく触れようとすると、とてつもない紙面を要します。それはVTS(ACOPのもとになっている理念)に関わることなので、一言で回答できるものではないからです。誤解があってもいけないからです。
一般的には「どんな作品でもできる」と言われますが、限られた授業時数の中での鑑賞の時間になると思うので、精選する必要があると思います。みるみるの会員が使用し、児童・生徒からの手応えのある作品は、ゴッホの「椅子」「古靴」をはじめ、このブログで実践紹介しているものが「はずれ」がないと思います。
・児童生徒の作品ではどうか?と聞かれますが、やはり同じ1時間の鑑賞の時間なのであれば、名作をみせた方がよいと思います。対話型鑑賞で一人の児童生徒の作品について互いに語り合うことには困難があることは小中学校の先生ならご想像いただけると思います。
・実際に対話型鑑賞を行おうと思われ、どんな作品がよいのかと言うことは、児童生徒の学齢にもよるので、このブログに問い合わせのメッセージを送っていただけると個別に作品紹介できると思います。

☆評価について
・評価についても紙面では語りつくせない部分や誤解を生じる危険もあるので、個別に対応したいと思いますが、基本的に「ねらい」を明確にしておけば「できる」と思います。また、学習指導要領では中学校では観点別評価でB評価をめざして学習活動を行うようにと言われているので、B評価をどのくらいに設定して鑑賞を行うのかを明確にしておくとよいと思います。
・また、あらかじめ中学生であれば「ねらい」を示し、そのねらいに迫る鑑賞になるように促しながら活動を行えば、評価も自ずとできるのではないかと思います。
・この件に関しても、具体的な事例でご相談いただければアドバイスできると思いますので、メッセージをお寄せください。

☆池 大雅「蘭亭曲水図屏風」について
「ハンコが2つずつ押してあるのは?」
・作品にハンコを押す(落款と言います)のは、一つとは限りませんので、複数あることは珍しいことではないのです。この作品の書の部分は、池 大雅自身が書いていますが、絵の賛(ほめたたえる言葉)を他人が書くこともあり、その際には賛を書いた人の押印もあります。賛を複数の人が寄せ書きする場合もあるので、その時にはその人数分の印が押されて作品はハンコだらけ・・・といったものも中にはあります。

以上です。

私たちは「鑑賞教育」の充実をめざしてサークル活動を行っていますが、今後は図工・美術教育全般で研修機会を設ける必要性も感じています。皆様から寄せられた研修希望を今後の活動にも反映したいと思います。
なお、来夏の研修は隠岐での開催を予定しています。
私たちの活動に興味をもたれた方は、一緒に活動しましょう!!会員はいつでも入会可能です。
では、夏休みも残り少なくなりました。2学期に向けて英気を養い、臨みましょう!!
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みるみるの会の夏季研修会開催 最終案内です!!

2015-08-14 10:14:02 | 対話型鑑賞



画像は昨年度の研修会風景です

夏季研修会実施要項

1.目 的  小・中学校教員の鑑賞教育の指導力向上をめざし、2学期からの授業に生かせる鑑賞授業を中心とした研修とする。

2.研修日  平成27年8月17日(月) 10:00~17:10
            8月18日(火)  9:30~12:00

3.会 場  島根県立美術館 講義室ならびに企画展示室:コレクション室
       2日目の会場は未定(県立美術館は休館日)

4.講 師  京都造形芸術大学 ASP学科 研究員  北野 諒さん(17日午後からの指導)

5.日 程  8月17日(月)
       受 付       10:00~10:10 講義室前
       開講式       10:10~10:20
       諸連絡       10:20~10:30
       コレクション室鑑賞 10:30~11:00
       対話型鑑賞の実践  11:00~12:10(途中休憩をはさむ)
       昼食:休憩     12:10~13:30
       鑑賞活動の研修   13:30~14:30
       休憩        14:30~15:00
       鑑賞活動の研修   15:00~16:00
       休憩        16:00~16:20
       質疑応答      16:20~17:00
       閉講式       17:00~17:10
       8月18日(火)
       受付         9:30~ 9:40
       グループワーク    9:50~10:50
       休憩        10:50~11:00
       グループワーク   11:00~11:50
       閉講式       11:50~12:00

6.参加料  コレクション室への入館料
       資料代(500円)


17日午前のみ、午後のみ 18日のみの参加も可能です。
       17日(月)夕刻 講師の先生を囲んでの懇親会を計画しています。
※このブログをみての参加希望者は u-marine@i2-sp.net または u-marine1115@docoo.ne.jp まで
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