こんにちは、みるみるの金谷です。10月18日に、愛媛県美術館で行われた「第5回教員対象ファシリテータートレーニングプログラム開発会議」で、春日さんと二人で実践報告をしてきました。
愛媛県美術館会議室は眼前に松山城をみることの出来る絶好のロケーションとなっています!!美しい光景を眺めながら美術鑑賞について語り合うなんてなんて素敵なのでしょう!!
では、報告です!!
「島根の実践から学ぶ」ということで、春日さんは図工・美術での鑑賞の実践と、みるみるの会について。私は、小学校3・4年生の社会科(地図を使った学習)での実践について発表してきました。
関係者のみなさん、お世話になりました。ありがとうございます。
さて、はじめに実践報告の内容から。
実践報告1(対話型鑑賞の実践から 春日)
・幼稚園から大学生まで、どの年代でも、対話型鑑賞をすることができる(実践済み!)。
・みる作品を、(ステップを踏みながら)レベルアップしていくことで、子どもたちのみるレベルもあがっていく(教育的効果のある作品を、経年的に選び実践することが大切)。
・根拠を作品に求めながらみることで、作品の持つ主題に迫ることができる。
・まずは、とにかくやってみる!実践することが大事!
実践報告2(小学校社会科「わたしのまち みんなのまち」の実践から 金谷)
・T2として入っていた授業を、対話型鑑賞の切り口から報告(参加者に小学校3年生になっていただき、授業型式ですすめた)。
・学校のまわりにあるものを絵地図で表すよさを確認後、絵地図と地図記号を使った地図を比較し、記号のよさや便利さに気づく(ビジュアルからの読み取りをとおして、体験と知識をつなげていく)。
・地図をみて気づいたことを、話し合う(みる・考える・話す・きく)なかで、土地利用や交通、その場所の歴史(作られ方)についても自分たちの力でみつけることができる。
・子ども達はこの様な学習を通して、教えられる存在から、主体的な学び手へとなりつつある。
・教師が意識を少し変え、学びのしかけ作りをすることで、子どもはどんどん変わっていく。
実践報告3(みるみるについて 春日)
・みるみるの会の結成理由や、今後の課題(会員のスキルアップ、島根県東部の会員を増やすこと!等)。
・関係機関(美術館、大学等)との連携。
・みるみるのてっぱん作品の紹介
中1:ゴッホ「椅子」「古靴」、草光信成「四人の子等」
中2:ベン・シャーン「解放」、雪舟「慧可断ぴ図」
中3:「カラカラ帝」、松本峻介「立てる像」、岸田劉生「道路と土手と塀(切通之写生)」、東山魁夷「道」
実践報告に続く、質疑応答の時間では、小学校での実践についてのご意見やご質問がどんどん出されました。
・(金谷が発表の中で、「みんなで地図をみて、話し合ってみつけたことが、実は教科書の○ページに載っているんだよ。みんなって、すごくない?」と言っていたことから)せっかく話しあっても、答えが教科書に載っていたら、子どもはガッカリするのではないか?という貴重なご意見を頂きました。このご意見について、発表者と質問者だけが応答するのではなく、フロアからもどんどん意見が出て議論が白熱し、とても濃い時間となりました!ご意見の一部を紹介します。
・話し合うという、プロセスが大切。
・話し合うことで、ねらいとしていた内容よりも深い意見にたどり着くこともある。
・話し合うよりも、ポイントになることを教えてもらった方が効率的と思う子どももいるのでは。
・「教科書に載っている」という価値があることを、自分たちの力でつかむことができたら、やはりうれしいと思う。自信になると思う。
・ガッカリしてしまう子どもがいれば、これをテーマに、ガッカリしてしまうことの背景を、話し合ってはどうか?日本の教育のしくみ、受験制度にもかかわってくるものが背景としてあるかも。学ぶことの価値につながる背景があるのでは?
・教えたい内容まで、行き着かなかったら?
注目してほしいところを焦点化したり、ヒントを出したりする。
一時間の授業で押さえたい所、ねらいをもって授業するが、臨機応変なところもある。
などなど載せきれませんが、充実した質疑応答時間となりました。
続いて、グループワークに参加しました。「地域に拡げるには」というお題について5人のグループで話し合いながら、付箋や表を使って効果の大きさや容易さ・難しさを意識しながらまとめていきました。その後、グループ毎に容易にできそうなことを中心に発表をしました。
・高齢者施設で対話型鑑賞を行ってみる(実際に実践している方もあり、好評だったとのこと)。
・公民館や児童館で対話型鑑賞の実践をしてみる。
・博物館のワークショップ等でお客さんと話す時、どこからそう思ったかを意識して会話する。
などなど、学校現場以外のところで、また様々な年齢の方々と一緒に、対話型鑑賞の実践や、対話型鑑賞の手法で学びを深めることができることに気づかされました。地域に拡げる第1歩として、私も自分ができること(校内掲示にちょっと工夫をする、参観日に、保護者さんを巻き込んで授業する等)から始めてみようと思います。
今回、この会に参加させてもらったことで、様々な職種の方々(学校関係者、博物館、美術館、企業)の思いや、取組みについて知ることができました。また、実践発表を通して、同僚の授業の素晴らしさ(ねらいの焦点化はもちろん、仕掛けの豊富さや子どもを惹きつける工夫)を改めて実感しました。対話型鑑賞の手法「みる・考える・話す・きく」という視点で授業を見つめ直すことで、図工・美術以外の教科でも、自分たちで学びとれてうれしい!という、学び手を育てることができると思います。
子どもたちが、「教わる人」から「学ぶ人」へシフトできるよう、私は只今試行錯誤中です。ぜひ、一緒に成長していきましょう。
金谷さん、早速のレポートありがとうございます。
私たちの発表画像がなくてすみません。
この夜に一部の参加の方たちと反省会(懇親会)を設けましたが、京都造形芸術大学の伊准淳教授の評価もまずまずでしたし、ミュージアムエデュケーターの染川さんもおもしろかったと評してくださったので、「もっとできることはなかったか?」という自問自答は継続しつつも、今回は、まず大役を無事に果たすことができたようでほっと一息つけました。愛媛県教委の係長さんも「みるみるの会はみんなフラットな上下関係のない集まりなのですね。それが分かった。」と私と金谷さんとのやりとりから感じられたようで、感心してくださいました。いろんな場面で私たちの会の普段も出ているようです。また、発表の入りでちょっと漫才を入れたのも場の雰囲気を和らげることができたのではないかと思いました。
春日と金谷の愛媛珍道中でした!!