オンライン鑑賞会 レポート
レポート 嶽野 志乃
・日時 2023.1.31(火)19:30~20:40
・作品 「祈祷師」カメロン・ロマーズ・ガーッサ
・参加者(合計9名)
Fさん、Tさん、Sさん、(みるみるの会)
Wさん (みかんはなきの会)
Wさん、Hさん、Sさん、Yさん(うーばー・プロジェクト)
Yさん(高校2年生)、 *ファシリテーター:嶽野(みるみるの会)
〇はじめに
房野さんよりお声がけいただきファシリテーターを初めてやってみることになりました。どんな作品がよいかもわからず、房野さんから数点作品を紹介していただいたりzoomの使い方をレクチャーいただいたりと大変お世話になりました。また、お忙しい中参加いただいた皆様にも助けていただき、私自身も楽しく進行することができました。ありがとうございました。
〇ファシリテーターをして思うこと
今回ファシリテーターをさせてもらって特に思うことは、「心があたたかくなる体験だった」ということです。私の質問に丁寧に答えていただけたことや、最後のふりかえりで「言葉の受け止め方」に心地よさを感じたと言っていただいたことなどは、自分が一番気になっていた事について良い印象をもってもらえることもあるのだなぁと嬉しく思いました。
どんな言葉や伝え方が最適か?というのは答えがないとは思いますが、参加者の皆さんにとって良い時間であったと感じてもらえるように、これからも学んでいきたいと思います。
〇鑑賞会
ベッドに寝ている人物について、部屋にある物などから性別や信仰する宗教や暮らしのこと、薬瓶が見えることから容体が悪いのではないか等、人物像を考えるところから始まりました。そして、「かたわらに立つ人物が植物を持っているのはおまじないや民間療法によって快復を願っているようだ」、「出かけるはずだったのにそれができなくなってさみしがっている男の子がいる」など描かれる人物の内面に関わる発言が増えていきました。また、ラジオや製作途中の洋服があること、現代医療も民間療法も使っている様子などから、寝ている人物(女性)は長患いをしていて、もしかしたら治る見込みが薄いのではないか?という意見もでてきました。肌の色や複数ある写真から住む地域や家族愛についても話題がありました。さらに、お互いの話を聞いて作品の見え方や受け取り方が変わったという発言もありました。
この後からは、この作品から受け取れる解釈についての意見へと変わっていったと思います。「描かれる人物やモチーフの大きさの違和感は存在感の大小ではないか?」「画面の左側にドクロに見える部分がある。でも色調は明るい。中南米地域の“死”とは誰にでもあり悪いものではないという考え方を感じる。」「窓の外に見える植物と、中央の人物が持つ植物が同じに見える。『最後のひと葉』を連想した。」など、ヒトの生死に関わる考え方の発言もあり、約30分の鑑賞会を終えました。
〇ふりかえり
・ファシリテーターがおもしろがってきいていると話しやすい(間口が広く感じる)。
・回数を重ねることで、進行の仕方などもよりわかってくる。
・自分の価値観をもってファシリテートしてもよい。途中で考え方が変わることもある。
・作品によっては大きくみえ方が変わることもあるが、今回の作品は考えが深まる感じがした。
・参加者の意見を丁寧に受け止めている感じがした。
・考える切り口として具体物やストーリー性のある作品も面白い。
・様々な意見を聞くことは別の考えに気づいて面白い。対話型鑑賞の価値を体験できてよかった。
・ファシリテーターが言うのではなく、参加している人に言ってもらうように進めるとよい。
〇最後に
対話型鑑賞に慣れておられる方も多かったので、作品の解釈や内面について参加者全員で考えていくという雰囲気も自然にできたのではないかと思います。中学生と対話型鑑賞を楽しむ時にも、「そこからどう思うか?」という“もう一歩”深い内容に入っていけるといいなぁと思いました。
また、今回は鑑賞会の最後をどのように閉じてよいか進行しながら悩みました。もう少し鑑賞会全体を振り返れるコメントができれば良かったかなとも思います。ありがとうございました。