みるみるの会 10月例会①
浜田市世界こども美術館 光と影の不思議展 https://www.hamada-kodomo-art.com/
日時:2024年10月20日(日)11:00~11:45
鑑賞作品:佐藤江未「FREE?」
参加者:10名(来館者8名、みるみるメンバー2名)
ファシリテーター:吉田理沙
1.作品選定について
企画展「光と影の不思議展」は体験型の作品が多かったため、じっくりみて鑑賞できる作品を選んだ。中でも佐藤江未さんの作品は、光を当てたときに実物からは想像もできないようなシルエットが浮かび上がり、また、実物と照らし出される影(シルエット)の持っているメッセージが強く感じられる作品だったので、みんなでじっくりみて作品のもつメッセージについても考えたいと思った。
2.鑑賞の流れ
【前半】作品について、素材について
F:「まずはじめに、何がみえるかとか、感じたこと、なんでもいいのでお話しください。」
〇自由の女神
〇怪獣とかロボット
〇望遠鏡
〇武者の姿
作品はゆっくりと回転しているため、角度によって壁に映る形(見え方)が変わるので、それぞれどんなものに見えるか話した。
「何かに見ないといけないんですか。」という意見も。
見えたものをどんどん尋ねていったので、何かの形に見立てないといけないという風にうけとられてしまったようだった。
〇何にも見えないときもある
影の形ばかりを見ていたが、手前にある物体をみてみてもいいのでは、との声から手前にある物体に注目する。
〇ケータイやスマホ
〇基盤
〇腕時計
〇タブレット(土台)
〇最新機種ではなく古いもの、ガラケーとか
〇ケータイについてるストラップ→誰かが使っていたもの?
【後半】作品のもつメッセージについて
前半に出てきた、投影された形と、実際に手前においてある物を結び付けて、考えられることを話してもらった。
〇積み上げられている形がぐるぐる回っている。「バベルの塔」のよう。文明のツール、通信手段であるこの素材で作られているのにも意味があるのでは。
F:「スマホなどを積み上げてつくった意味とは?」「他のものではだめだったのでしょうか。」
〇スマホは情報を得られるものだが、それについつい時間をとられてしまう。自由に情報を得られるけど、それに費やした時間って気づいたらものすごい時間になっていることもある。
F:「ご自身の経験とむすびつけていかがですか。」
〇怪獣に見える。スマホって一見自由にコントロールできそうなものだけど、怪獣のように私たちを侵食するものととらえることもできるのでは。
〇(ここにあるものは)この30年くらい?アナログ時計、ガラケー、音楽プレーヤーなど。時代の流れを感じる。作品が回ってる(動いてる)ことにも意味があるのかな。
〇手前にみえるものは3次元で、影でみえるものは2次元。実際にあるものとないものの対比?シルエットは光があって成り立つもの。ケータイも電気がないと成り立たない。
〇物質文明に対する批判?私たちは電気に頼っているが、電気を生み出すことが温暖化、自然破壊につながっている。でもこの便利なもの、もう手放すことはできない。手放すことができないもので自由の女神をつくっている。私たちは便利なものを手に入れたけど、本当に私たちは自由なのか?アイロニー…皮肉めいている。私たちに「気づけよ!」と言っているよう。
作者が何を伝えようとしているのか、さまざまな視点からお話いただき、聴いている方にもさまざまな発見があった様子。物体とそれがつくる影(シルエット)からさまざまな解釈ができる作品だった。
3.ふりかえり
・現代アートは作品のメッセージ性が強いものが多いので、作品のもつメッセージを読み取る力が求められる。
・意見を出してもらうだけでなく、ときどき整理して、どんなふうにみてきたのかをまとめることも必要。
・鑑賞者から出てきた意見をどうつないでいくか。
4.今後に向けて
点(要素)→線(そこから考えられること)→面(作品のもつメッセージ)へとひろげていけるかがファシリテーターの腕のみせどころだと感じました。
鑑賞者と一緒になって楽しむ、というよりは、作品の世界へ誘う(いざなう)力が求められるので、今後もっと経験を積んでいきたいです。
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