ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

房野会員が教員対象の対話型鑑賞を行いました

2014-08-26 19:18:22 | 対話型鑑賞
房野会員が教員対象の対話型鑑賞を行いました


みるみる会員の房野さんが教職員対象の対話型鑑賞会を行いました。そのレポートが届きました。

島根県教職員組合 益田支部学習会  
「対話型鑑賞を体験しよう」
2014.8.23(土)
益田市学習センター
10:00~11:30

参加者 益田市内教職員9名   ナビゲーター 房野伸枝

 島根県教職員組合益田支部の学習会で初めて「対話型鑑賞」の研修を行いました。
「言語活動の充実」や「学びあい」の大切さが取り上げられる昨今です。校種や教科に関わらず教育的効果が認められる「対話型鑑賞」を体験しよう!ということで、依頼があり、中学校2名、小学校7名の教職員のみなさんが体験してくださいました。

 「対話型鑑賞」はこれまで市内の中学校美術科の教員間では研修したり、授業実践したり、ということはありましたが、小学校での実践は多くないという実態がありました。現在、小学校では図工専科の先生が減ったこと、市や県の作品展に向けて、制作が中心になっていること、興味はあるけれど、どうすれば…?と感じていることなど、様々な要因から取り組みにくいと聞いています。

 参加者のうち、授業実践者2名、鑑賞体験者1名、そのほかは鑑賞も実践も初めて、ということで、対話型鑑賞の簡単な説明とルール確認の後、5枚のうちから希望の多かったベン・シャーン「解放」で対話型鑑賞を行いました。

さすが、教員のみなさん、初めての方もルールを踏まえてどんどん挙手して発言します。ナビが大してコネクトしなくても、発言者の意見にしっかり耳を傾けてそこから自分の考えを発展させ、根拠を説明するということも難なくこなします。やはり、仕事柄、子どもたちの発言を整理し、つなげるということを日頃から行っているからなんでしょうね。根拠を明らかにして感じたことを説明する<どこからそう思う?>は、ほぼ達成されていたと思います。

この作品を見たのは初めてだったにもかかわらず、「壊れた建物にそぐわない遊ぶ子どもたち」「異様、尋常ではない雰囲気」「建物の壊れ方やがれきの様子」「色とりどりの壁紙が見えていたり、壁が背景に同化して見えること」などから「紛争や戦争で壊された建物の前で遊んでいる子どもたち」「不安げで蒼白な表情から、遊んでいても楽しんでいない」「家族を失って悲しんでいる」「この子供たちはもうこの世にはいなくて、霊となって遊んでいるのでは」「回転しているはしごから手を放したら振り落されるから、緊迫感、緊張感を感じる」「たとえ、こんな悲惨な状況でも、子どもは遊ぶ存在。そこに希望も感じる」などの意見がありました。30分で切り上げましたが、まだ言い足りない様子で、その後の休憩の間も話は弾むのでした。それこそが、作品のもつ魅力ですね。私も大好きなベン・シャーンで皆さんが鑑賞を深めてくださる様子を見ることができてハッピーでした。

以下、感想です。
○ワークショップで体験的に学べてとても参考になりました。感じたことを自由に語り合える心地よさ、他の人のいろんな解釈を聞ける楽しさが感じられる、そして表現力もつく、人間関係もよくなるという良さをもっていると思います。
○「もうちょっと言いたい」と思っているところで終わってしまったが、それでよかったと聞いて、なるほど!と思いました。
○理科の授業でのVTSもいいなあ、と思いました。ただ、自分がファシリテーターをしても「それはいいところに目をつけた」とか、「そんなことはないだろう」とか言いたくなって・・・言ってしまって生徒には『つまらーん』と思わせてしまうかも。とはいえ、すごい可能性を感じる研修になりました。
○自然に想像力や表現力等、様々な力を育てることができるという点が魅力的な活動だと思いました。ぜひ2学期の図工でチャレンジしてみたいと思います。
○意図的に年間カリキュラムに位置づけられるといいなあと思います。他教科にも生かせるというのが勉強になりました。(国語、社会、理科など)ぜひ生かしていきたいです。また、第2回目に期待しております。
○絵がいいとよく考えることができるなあと思いました。作者の描き方が鑑賞者の考えや感じ方を深くすると思いました。
○絵を見て考えるようになったのは大人になってからですが、こういう授業を小中学校時代に体験したかったな、と思います。
○これは使えると思いました。
 教師の力量も高めないと子どもからにリッチな言葉は期待できませんが、やらないことには始まらないので機会を見つけて実践したいと思います。

他教科や小学校の先生方にもこの鑑賞の楽しさ、有効性を少しは伝えられたかな、できれば、これを知った先生方が、自校で実践したり、他の先生方に伝えたりして、子どもたちに鑑賞の楽しさ、芸術作品の素晴らしさを伝えてほしいなぁと思います。

また、感想にもあった「次回は小学生向けの絵や違う教科での対話型鑑賞の学習会をしてみたい」という要望に応えられるか…!(*_*; まだまだ私も修行せねば!と、どんどん次の目標ができるのでした。

房野さん、充実した研修会になったようですね。
他の会員の皆さんも、あらゆるフィールドで実践を行っていきましょう!!そしてレポートも届けてくださいね。
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「日本の中のはまだの美術」第3回ナビ 正田レポート到着です!!

2014-08-23 09:47:44 | 対話型鑑賞
「日本の中のはまだの美術」第3回ナビ 正田レポート到着です!!


7月12日(土)みるみる定例鑑賞会              レポート 正田 裕子
会場 浜田市世界こども美術館 「日本の中のはまだの美術~感動とともに生きた人々~」
参加者:成人男女⒛数名
   ・この展覧会等で定例鑑賞会経験有りの方4名、
   ・猪熊弦一郎美術館学芸員2名
   ・石正美術館学芸委員1名を含む)

鑑賞作品1「雪の藁小屋」1962年 千金貫事(ちがねかんじ)浜田市立こども美術館蔵
2「城山のもみじ」1933年 中尾彰(なかおしょう)浜田市立松原小学校蔵
3「阿寒湖畔の樹」1960年 寺戸恒晴(てらどつねはる)浜田市立三隅小学校蔵

「シークエンスの意図」
 三作品とも「樹」を描いた作品であること、描かれている状況も描かれ方もそれぞれ異なる三つの作品を抽象度が増すように選定しました。3人ともそれぞれ石見地方の出身で、明快な色、伸びやかな筆遣いが特徴的です。
 千金氏はプロレタリア美術から転向し大地に生きる農民の姿を描き続けた作家です。この作品も雪深い山の中での農民の生活の一部である藁小屋を油彩で描き、春を予感させる明るい日差しを受けた小屋やその後ろにある木々を丁寧に描き、春の新しい農家の営みを想起させるかのようです。
 また、中尾氏の作品は、浜田の城山の中腹の山道にせり出す木々を伸びやかに描いています。小品でありながらも、フォービズムの影響を受け不安定な構図の中にも伸びやかで力強い軽快な筆致が楽しめます。自己の芸術を模索しますます精力的に作画していく頃の作品です。
 三つの目の寺戸氏の作品は、一見、人か動物とも思える複雑な枝振りの木々が四本描かれています。幹も枝も暗い灰色や濃紺とともに雪を感じる白色やライトグレイが執拗に重ねられ、この作品への思いの強さを感じます。作者の人間性や生き方が垣間見えるようです。

「鑑賞会の流れ」
 一作品目から、返しのテンポが丁寧すぎて、なかなか作品の主題へ(とナビが思っている)到着できなかったのです。その中でも鑑賞者の積極的な発言が多く有りました。
発言より
・明るい日差しから初春を思わせる季節である。
・描かれている小屋から、農家の生活の一隅であること。
・背景の雪山や木々の様子から、かなり雪深い生活を営んでいる農家の暮らしぶりを描いている。
・木々にのっている雪が溶けて、春を感じさせる。木々の枝振りより、伸びやかな新しい季節への期待を感じさせる。  
 など。ここまでで20分程度かかってしまいました。
 二作品目は、構図上の不安定さが話題になりながらも、地元の作家であることが分かっている鑑賞者の関心事として、「描かれて場所がどこなのか」ということが随分話題になりました。そこでは制作年代等の情報から描かれている場所を確定して、描かれている木々への話題を中心にもっていけるように、「そこからどのようなことを考えられるのか」とナビゲートしていく必要があったのだと思いました。場所と描き方や色使いの気づきはたくさんありましたが、そこから何が感じられるのか、推測できるか、もっと鑑賞者の鑑賞力が深まるナビゲートの引き出しを多く持てるようにしたいと思いました。
 三作品目の作品は、このシークエンスの中で最も鑑賞者の皆さんに、発言をしていただきたかった作品でした。初発より、「仏様のような姿に見えるものが描かれている」と言う発言がありました。これで、どんな風に話が展開していくのだろうかと思いつつ、まるで擬人化されているかのような木々の姿に、ナビゲーターとして「きたきた」とのっかってしまい、他の方の発言を聴くことができていなかったことに振り返りで気づきました。ここでも、対話型鑑賞の基本の問いかけ「作品のどこからそう思いましたか。」という根拠の確認であったり「もっと発言は有りませんか」「そこからどう考えますか」と鑑賞者のトピックをつなげる役目が弱かったと反省です。
 この作者のシベリア抑留の体験についての情報提供をしたり、発言のほとんど無かった方へ発言してもらうように促すことはできたものの、もっと前半より積極的に働きかけても良かったと気づきました。
「発言より」
・画面中央の四つのかたまりの内左から二番目のものが、仏様のように見える。それは、描かれている形が、腕を組んでいるように見えるから。
・画面中央の最も左が鹿に見える。描かれている形から。
・画面右側の二つが、親子に見える。高さの違いと、高い方が低い方を抱きかかえるようなポーズをとっているようだ。
作品題名「阿寒湖の樹」を確認した人から
・色から寒さが感じられる。
・画面中央奥から道が描かれていて、湖の端が描かれているよう。
・画面左上の部分に作家の特徴的な碧色が使われているから、寒さは感じるけれど極寒の寒さではない。
作者がシベリア抑留体験者であることを聞いた後から
・「シベリア抑留」を体験した人であるなら、余計に味わい深い。
・寒さが、身に凍みる作品である。  など
「振り返って」
 3作品を連続して見ていく中で、3作品目の「阿寒湖の樹」を皆さんと最もじっくり見たいと考えていましたが、前2作品に時間をかけすぎてしまい、時間をかけた割に3作品目の主題を十分話し合うことができなかったのかなと思います。そのためには、鑑賞者の発言が「事実」を言っているのか、「印象」「推測」等の「思考」を発言しているのか、見極め、端的に返せる力をつけていく必要があるのだと実感しました。もちろん、ナビする側も鑑賞者も興味関心が異なり、話ぐせ・聞きぐせはあるのですが、発言の内容の意図をしっかり聴き、発言していただいたことをつなぐことこそが自分自身のクリアしていく課題だと感じました。また、その発言をつないであらたな考えを築いていくのがこの鑑賞の醍醐味なので、貴重な鑑賞者の発言と発言をつなげていく引き出し(経験)をもっと身につけていきたいと思います。この一期一会の出会いに応えられるように、ナビ力をまだまだ磨いていきたいです。
 ご参加いただきました皆様には本当に心よりお礼申し上げます。
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夏季研修会2日目の報告です!!

2014-08-22 10:18:29 | 対話型鑑賞
夏季研修会2日目の報告です!!


みるみる夏季研修会 2日目 「みる・考える・話す・聴く」ことについて考えよう
平成26年8月20日 9:00~12:00 江津市立青陵中学校 多目的室にて
講師 京都造形芸術大学 講師 北野 諒氏
参加者 16名(一般参加者7名、みるみる会員9名)
主催:Art Communication in Shimane みるみるの会
共催:江津市教育研究会

 みるみるの金谷です。みるみるの会夏期研修の二日目は、「『みる・考える・話す・聴く』ことについて考えよう」というテーマで、県内の小中学校の先生方に参加を呼びかけて開催しました。講師の北野先生による、ブラインド・トークと対話型鑑賞のワークショップの様子を中心にお伝えします。

1、 はじめに
コミュニケーションを使った教育:アート作品だけでなく、古地図、理科の資料、国語の詩などでも行われている。
背景:学校において「言語活動の充実」「鑑賞指導の充実」「コミュニケーション教育」がうたわれている。

コミュニケーションを使った教育とは、どういうことが行われて、どういうことが起きていくのか?
そもそも、コミュニケーションに必要な力とは何か?
美術教育ではコミュニケ―ションはどう行われているか?
美術教育ではもう少し具体的に「みる・考える・話す・聴く」と柱を立てて、鑑賞教育をやっている。
実際に体験してみましょう!


2、ブラインド・トーク ワークショップ
ブラインド・トーク:目隠しをした人に対して、見えている人が見ているものについて話して伝える。

○実演:北野・金谷 スクリーンに映し出された作品をみて、金谷がアイマスクをした北野氏に話して伝える。
(レポートをお読みのみなさんも、どんな絵かちょっと想像してみてくださいね。)
金谷:縦長の絵。背景は青空で、絵の中心におじさんが立っている。おじさんは黒い服を着て、手にはパレットと筆を持っている。
北野:どっちの手に?何を?
金谷:向かって左、いやいや、おじさんの右手に筆。左手にパレット。肘曲げてて、おなかの前でパレット持ってる。
北野:(筆やパレットを持つしぐさ)こんな感じ?
金谷:そうそう。それでそのおじさんは、帽子をかぶってる。ナポレオンみたいな帽子。
北野:ナポレオンみたいな帽子?こんな感じ?(頭の上で形作る)幼稚園児がかぶるような?
金谷:そうそう、そんな形だけど、幼稚園児がかぶるのかはわからない。ナポレオン帽子。おじさんの顔は、日本人ぽくない。西洋の人。ほっぺが赤くて、酔っ払っているみたい。
北野:!?。ちょっと、変な感じの人ですね。じゃあ、まわりの風景も、西洋的な?
金谷:そうそう・・・
と、顔の特徴や背景について、お互い聞きあうところで実演終了。

ブラインド・トークの流れを確認し、「では、二人一組でやってみましょう!」と、ワークショップがスタートしました。ペアで2作品を見たのですが、どんな作品だったのか、シェアリングの様子から、想像してみてくださいね。

○ブラインド・トーク ワークショップの流れ
・1枚の作品を見てブラインド・トーク
・ブラインド・トークで何が起こっていたのか、ペアでふり返る
・ペアでのふり返りを全体でシェアリング

○ふりかえりのポイント
・想像通りだったところ/違ったところは?
・うまくいった/いかなかった理由は?
・ブラインド・トークのコツは?    

○1作品目の全体でのシェアリングから
・イメージ通りに伝わった。描かれている物の関係など、くわしく伝えたところはよくわかった。自分が気になったところは伝えたが、そうでないところは伝えて無かったことが分かった。
北野:細かく言葉を使って描写していくことが大事。同時に、見落としもあることも意識していく。どういう順番で伝えるか、また見比べをすることも大事。

・全体の印象を言わなかったので、イメージが違った。全体の印象をどこまで伝えるか。光のことは伝えてよかった。
北野:順番が大切、全体の枠組み→個々のことへ

・自分が知っているもの、べっこうやチークブラシなど想像しやすく分かりやすく言ってもらえて、わかりやすかった。
北野:印象を話す。客観と主観を織り交ぜて説明することで、いきいきとしたイメージを伝えることができる。
 
・自分が気になったことを、説明してしまう。置いてあるものの向きまでは言ってなかった。「じゅうたんがランダムに敷いてある」見ている方は当たり前だが、見えてない方には伝わっていなかった。
北野:見えている方にとって当たり前なこと、これは絵画なのか写真なのかなど、抜けてしまう。共通認識の刷り合わせも大切。

・マグリットの作品のよう→伝わってきた。クッションみたいなもの→四角いものをイメージ。
北野:イメージが伝わったらうれしい。相手を見ながら言葉を選ぶ。
クッション→単語だけで伝えると、四角いものを想像。どこがどうなっているから〇〇だというプロセスも伝える。

・全体の印象について伝えていなかったことが分かった。鏡に映ったカーテンのことを細かく説明していた。
北野:伝えている側も伝わっているか不安。聞く側も分からないところを質問しあう。お互いに、補完しながら。

○伝え方のコツを意識しながら、聴き手と話し手を交代して、2作品目のブラインド・トークへ(作品が映し出されると、見えている方の「はぁ????」といった空気で会場がいっぱいになりました)

○ふりかえりのポイント
・コツを意識して、1回目と変わった?
・変わった/変わらなかった理由は?
・ブラインド・トークのコツは?
(ポイントの確認後、2つ目の作品が映し出されると、アイマスクをしていた方々から、「えーっ!」という声があがりました)

○2作品目の全体でのシェアリングから
・抽象画に見えた。ろうそくだけ見えた。話しながら、描いてある物を発見して説明していった。
北野:言葉にすると、後から発見する。ある程度、整理ができてからは説明しやすい。

・人に見えなかった。最初、画面全体が鳥に見えた。クジャクの羽が広がっているように見えた。右下に「死んだ」の文字で、鳥が死んだ絵だと思った。
北野:言葉を与えられると、発見する。言葉によって見え方がごろっと変わる。

・最初抽象だと思った。余白の無い絵だと思った。女の人がベッドで横たわっていることや、色の配置から、死のイメージをもった。
北野:客観的な事実を伝えることで、イメージを伝えることもできる。今回はペアだが複数人で伝えると、見方も広がるのでは?

・先ほどの絵と比べて、リアルでない、きれいでない等の比較の言葉があった。幸せな感じの絵ではない。着ているもの、赤だが血のような色。
死骸をむさぼるような鳥、野外、荒れたタッチから、戦争に関係しているような絵と思った。
北野:背景のストーリーも伝えるのも大事

・全体のイメージとプロセスを伝えようと思った。白髪一雄のような絵。足で描いたような絵。激しいタッチの中によく見ると顔があると伝えたが、相手がイメージしたものは違っていた。
北野:共通した作家などで伝えることもできる。伝えあう中で、どうしてもずれが起こる。ずれを、どうポジティブに捉えるか。ずれを、解釈の可能性を広げるものと捉えることもできるのでは。

・色を伝えたいけど、どのようにいったらよいかな?言葉にするのが難しい。
北野:顔みたいな…。「~みたいな」って何?と、聞く側も、断言できないというところを想像する。

○「みる・考える・話す・聴く」ことについて
みる:細部までじっくり。全体から部分へ比較観察、要素を見比べる。
考える:観察にもとづき根拠をふまえ、想像や推測をする。複数の可能性を考慮。
話す:思考を的確に言語化。聴き手のことを考慮しつつ、客観的に表現。
聴く:他の人の意見や考えをじっくり聴き、協働して新しい意味や価値を生み出す。

話し手と聴き手の共同作業が重要
話し手と聴き手は入れ替わることができる
教える/教えられる関係ではなく、お互いが対等に「聴きあう」関係の方が、コミュニケーションも学びも深まる。


3、ヴィジュアル・シンキング・タイム(対話型鑑賞のワークショップ)
ヴィジュアル・シンキング・タイム:見えているものについてグループで話し合いながら、見えているものが何なのかについてグループ・ディスカッションを行う。

○実際に対話型鑑賞(京都造形芸術大学では「ACOP」)を体験。
(北野氏(ナビゲイター)と参加者(鑑賞者)による対話の大まかな流れを記しています。)

北野(○):最初時間を取るので、すみずみまでじっくりとご覧ください。
(しばらくして)第一印象や直感などどうぞ。

参加者(・)小さな子どもかな、と思ったが妖怪みたい、人じゃない
・見透かされそう、こわい、嫌な感じ
○どんなところから、こわい?見透かされそう?
・黒目の中にみどりがある
・顔全体がおめんみたい
○どんなところからお面?
・白い。こわい

○印象や感じられたことを、どんどん言っていきましょう。
・口にくわえている、ピオーネ?噛み砕きそう。汁がでそう。
〇あやうい、かわってしまいそう
・くわえているもの。ビー玉?あめだま?幼い子?でも目がきびしい
〇厳しさはどのへんから?
・目がきれあがっている
〇子どもにしては似つかわしくない。裏を返せば、子どもってこうでない
・見透かされそうだけど、こっち見ていない。鼻の孔はこっちむいている。耳もない。人として、拒絶してる。
○拒絶しているのはどこから?
・やや上方に視線ずらす。かまったら許さんぞ!
〇強烈な拒否
・拒否されてるけど、みられている

・子どものプロポーション。花柳界の人のよう。大人の女の人のプロポーションにはまったら、パーツ的にはいい。
〇子供に見えるけど大人にもみえる

○では、首から上、顔を中心にみていきましょう
・大人の自分から見ると、見上げている
・ぎょっとする。子どものイメージ、かわいい。大人のような眼をして見返している
〇自分の中の子供像を見透かされている
・口は口紅?口、歯も見えない、ふしぎ
〇口 落としそう?
・見て!という感じ
〇見てほしいという訴えかけ?
・みてほしい感じ。まずいもの食べさせられた。まずいぞ!行動と目つきで不満表す
〇不満はどこから?
・眼のふち赤い。ふくれてる。
〇鼻息、感情が荒巻いてる。何を食べさせられた?
・自分の期待を裏切られたもの

・無表情なだけに、自分の気持ちを反映しているよう
〇こちらに問い返されているよう
・初めに話したことと矛盾。ないはずのまゆをイメージ。話を聞いていると妄想。ダヴィンチのモナリザのよう。

・食べ物 命をつなぐ 青→苦さが何かをたとえているよう。赤い髪 寒色と暖色の対比の激しさ。拒食症。
・拒絶しているものが激しくて、赤い髪
〇内面では感情が燃えている。妖怪から拒食症まで出てきました。体の方にも範囲を広げてみてみましょう。
・手が内側に巻いているよう、内気な感じ
〇服は?
・肩で重心を取るようなワンピース。白、ベージュ。
〇あまりにもなで肩?
・妖怪っぽい
〇デフォルメされている、生き物?人間?
・骨格がイメージできない。顔は筋肉もイメージできる。腹話術の人形のよう。質量さえないようだ。力の無さ。
〇不安定で、存在感希薄
・服に飾りがない。病室のパジャマ。
〇病んでいる
・顔をかくして体だけ見ると、人形のよう。生命感、感じない。
〇人形、無機質、愛でるもの。
では、顔と体の印象結びつけて、背景も踏まえて考えていこうかと。背景はどう見られていますか?
・肩のラインなどから、つりさげられているよう。鞄にぶらさがっている。
〇人形のストラップ
・真っ暗の中に浮かび上がっている。額にライトが当たっている。いつからいたの。すごくさみしい。
・顔拒絶している。みつけてもらった。みてほしいけど、素直に。いつからそうしているの?かなしい
〇みてほしいのか、かかわってほしいのか、そうでないのか。こちらに問い返されるよう
・髪の毛自体、思い切った省略。顔だけが強烈な強い存在感。
〇髪の毛、背景に溶け込んでいってしまっている?

〇こちらを見返しているような、拒絶しているような。強さと希薄。相反した感じ

・ビー玉、吐き出したら。危ないことをして、声をかけてほしい。見ている人を試しているような感じ
・危ないことするけどいいの?挑戦的。話を聞いていると、自分の中で整理できなくなっている。
・生徒に似ている。見上げた時の顔に似ている。遠くから見ると、顔の部分が迫ってくる感じがする。 
〇自分を試されている。現実の人との関係性。この目で問い返されているよう。

○対話を始めて40分。いいストーリーができたと思います。(ワークショップ終了)


4、感想や質疑(・参加者、○北野氏)

・(対話型鑑賞で)種明かしみたいなのはありますか?
〇(この作品の題名は)「キャンディ ブルー ナイト」

・この絵を選んだ理由は?
〇先生方に身近な生徒を想像してもらえる。自分に引き付けてみてもらえる。
小中学生 物語みたいなのが想像しやすい作品を。この絵は、小中学生には難しいかも。
題名を出して、連想ゲームをすることもある。「キャンディ」から、自分のもっている子どものイメージを問い返されることにつながる。

・題名を聞いて、病弱→元気な女の子をイメージした
〇情報を出すタイミングや、(情報を出したことで)乗ってくるかどうか。情報の出し方考える。
 例、「『ゴッホ』の椅子をみてみよう」→ゴッホ=耳切→赤はみんな血、ととらえられたことも
 情報を出す→もろ刃の剣であることも意識して

・作者の背景、どんな思いで描いたの?エピソードなどどう扱う?
〇正解として与えるのではなく、1つの材料として投げ込むことはある。
 この作者、中年のおじさんだけど、おじさんがこの絵を描いてるってどう思う?とか投げ込んでもおもしろいかも。


5、じろじろセットについての説明と配布(島根県立石見美術館 廣田学芸員)
・じろじろセット:ワークシートとアートカード(64枚)のセット
・アートカード(島根県立美術館と石見美術館の収蔵品)を使って、美術鑑賞を
・ワークシートは、発達段階に併せて作成
・島根県下、全小中学校に配布中。
・使い方については、出張授業も行うので、石見美術館にぜひ問い合わせを!

参加者の感想から
〇ブラインドトークは初めて体験しました。研修を重ねるたびに新たな発見や気づきがあります。今回も勉強になりました。(30代 男性)

〇ブラインドトークが面白かったです。イメージを共有する難しさを実感しました。客観的事実と自分の個人的な実感を共に伝える、その割合や出す順など工夫が必要だなあと感じました。(30代 女性)

〇参加のお誘いありがとうございました。子ども美術館に足を運びます。学芸員の方の出前授業の情報も頂いたので一人でがんばらずに、皆さんと一緒に鑑賞教育できるといいなと感じました。(40代 女性)

〇作品を言葉にする面白さと難しさを楽しみました。教える教わるの関係ではなく・・・という示唆に富んだ展開も勉強になりました。(30代 女性)

〇ブラインドトークは初めて体験しましたが、自分で説明するときには、やはり自分の主観にもろづいたの説明なので、しっかり相手に伝えるのって難しいなあと思いました。特に自分の解釈が人と違うということに気付けてよかったです。(40代 女性)

〇自分とは違う見方だったり考え方だったりを聞くことができて有意義な時間になりました。伝えることの難しさと伝わることの楽しさを味わうことができました。

〇ブラインドトークで、目で見たことを言語だけで伝えるのはとても大変です。コミュニケーション力をつけるには効果的かと思います。評価をどうしようと思いました。授業で使うにはワークシートを工夫する必要があるなあと思いました。(青春時代 女性)


 みるみるの夏季研修会2日目も、あっという間の3時間でした。今回の研修での学び&体験を、自分の経験に落とし込んでいけるように、日々精進!していきたいです。私たちがすでに持っている、「みる・考える・話す・聴く」力を、昨日よりちょっと発揮しながら、コミュニケーションをとっていきたいですね。
 以前、内観の先生から教えていただいた言葉に、「集中内観は、電柱を立てること。日常内観は、電線をはっていくこと。いくら電柱が立っていても、電線がなければ電気は通らない」と。もし、研修会などに参加することを「電柱を立てる」こととしたら、その学びをもとに日々実践していくことが、「電線をはっていく」ことと、言えるかもしれません。子どもたちによりよいものを届けられるように、電柱を立て、少しずつでも電線を伸ばしていきたいです。
この研修会に参加してくださったみなさん、ありがとうございました。これからもともに、学び続けましょう。そして、この研修会のために島根までお越しくださった、北野諒先生、2日間たいへんありがとうございました。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

レポートを読んでくださった皆さん、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

金谷さん2日間にわたってのレポートありがとうございました!!
ちなみに今回の研修で扱った作品は以下のものでした。
2日目のブラインドトークの作品は1作目がマグリット「個人的な価値」、2作目が熊谷守一の「陽の死んだ日」でした。
ヴィジュアルシンキングの作品は奈良美智の「キャンディ・ブルー・ナイト」でした。

次回は、浜田世界こども美術館で開催された「日本の中のはまだの美術」最終回の正田会員のレポートです。
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みるみる夏季研修会1日目の報告です!!

2014-08-20 18:11:29 | 対話型鑑賞
みるみる夏季研修会1日目の報告です!!
]

金谷会員が会の進行に併せて記録を残してくれました。言葉足らずな箇所もありますが、行間を想像してください。

ではでは報告です。

みるみる夏季研修会 「美術科における評価についての実践報告」
平成26年8月19日 14:00~17:00 浜田市総合福祉センター 会議室にて
講師 京都造形芸術大学 講師 北野 諒氏
参加者 みるみる会員 7名(記録 金谷)

第一日目の研修は、「美術科における評価についての実践報告」というテーマで、みるみる会員が学校での実践(作品やワークシート、評価の観点等)を持ちより、それらをもとに「評価」について、話し合いました。

Ⅰ、実践報告1 春日(中学校)
(1)題材1:ドライポイント(2年生)「愛着のあるものを描く」凹版(10時間)
○評価基準を明らかにする(題材毎に、評価基準を提示する)
○ワークシートの活用
・制作にとりかかる前、制作中、ふり返り
 ・できるところで、相互鑑賞の時間も取り入れる
   ・目標→ふりかえり→次時への目標(ワンセット)
 ・限られた時間数の中での制作→時間経過が目に見えるようにする
  ○授業の流れ 
① 参考作品(先輩の作品)鑑賞 →記述する
② 制作にあたっての目標決定(4観点)
→指導者自身の学習のねらいも明確化(評価のブレを生まないように)
   →生徒自身、制作の指針になるように(納得できる作品を作れるように)
③ 目標が決定した後(教師のOKが出てから)、アイデアスケッチや制作に入る
1時間毎に目標を設定→ふりかえり→次時への目標(ワンセット)PDCAサイクル
                   
(2)題材2:自分の名前の1文字を絵で表して、自分らしい文字絵にしよう(2年生)
(5×5センチ、1時間+α)
○目標を明確にする→レタリングのスキル、自身の名前に対する愛着
〇ワークシートの活用
・めあて:自分らしさをあわらそう→自分らしさとは何か?
・ふりかえりの3観点
反省:目標に対しての達成
感想:制作中の自分の気持ち
PR:うまくできたこと

(3)評価の方法
・〇A~C:9段階
・クロッキー(毎時間)+題材(4観点)→学期の成績(カットポイントの設定)

(4)質疑応答 (☆は、実践のプラスαアイデア)
〇基準が分かりにくい生徒に対しては?自己評価が高すぎる子に対しては?
 ・ワークシートのコメントのやりとりで評価の刷り合わせを行う。(目標の立て方、観点の刷り合わせ、目標の明確化)
 ・ステップを踏んで、目標を立ててから制作へ入っていく。制作で行き詰った時に、自分の「思い」に当たる部分を、再確認することができる。

〇目標を言語化するのが難しい生徒に対しては?
 ・個別指導を入れながら、書くことができるようにする。(言語化の手立てを打つ。実技教科だからできることでもある)
 ・目標を書くことができない、難しい生徒
→制作も難しい生徒が多い ←だからこそ言語化するためのケアをする
 
☆アイデアを複数の視点から考える場の設定(ゲーム的に、楽しく仕掛ける)
例)身近なものをつかって、キャラクターデザインをしよう
 ・ヒーローインタビュー形式(インタビュアー(B)が聞き出す)
→自分(A)はどんなキャラか?自分の視点
 ・インタビュアー(B)からの視点→Aはどんなキャラに見えたか
 ・A・B両者の視点を合わせて、自分はどんな人間なのか考える

〇設計図通りにいかないこともあるがどうしているのか?
 ・途中で変わっても、思いがぶれないように。はじめにしっかり(思いや目標を)書かせているから、ここまでの作品ができる。
 ・時間経過が目に見えるようにする。(ドライポイントは、ワークシートに15時間分枠があるが授業でできるのは10時間)
 
〇ワークシートを書けるようにするには?
・経年的な積み上げを行う
 ・ワークシートの書き方を仕込んでいく
 ・作品の相互鑑賞を通して、(うまい下手ではなく)作品に対する取り組み方を学ばせることも大切。

〇学期毎の評価に当たって
 ・短時間でできる題材も取り入れて、評価の素材を確保するのも大切。
  例、点描で描く、名前のレタリングなど 小さい作品も
 

Ⅱ、実践報告2 房野(中学校)
(1)何のための評価か:生徒にどんな力が身についたか。これからどんな力をつけるとよいのか →誰もが納得できる方法と内容で示す

(2)制作の評価
 ・授業中の様子、作品、鑑賞カード、その他
 ・評価の4観点
 ・授業のルール(学校の実態)にも配慮する。

(3)ワークシートの形成的評価
 ・評価規準(評価の内容)を明示する。
 ・コメント
 ・制作計画→教師が設定
制作が遅れている生徒→反省・感想欄に目標を記入
 ・自己評価が低い(高い)生徒→教師の評価を赤ペンで記入

(4)成績をつけるにあたって
 ・集計表を4観点で色分け
 ・技能面では低くても、意欲面なども

(5)鑑賞カードの工夫
 ・友達からの評価(友だちの作品のいいところをカードに書く→本人にカードが届く)
  →審美観を問う、制作のポイントを踏まえて見ているか→鑑賞の評価につなげる
  
(6)質疑応答(☆は、実践のプラスαアイデア)
☆鑑賞会に当たって
 ・「マイ フェイバリット ベスト3」
作品の相互鑑賞後、いいと思う作品3つを投票。集計して1~3位まで伝える。

○技能・技巧に目が行きがちな生徒に対しては?
 ・指導者が(技能のみでなく)訴えるものがある作品をほめる。
 ・「〇〇に似てるね」(作家の名前を出す)
 ・思いをどれほど表現できているかが、大切なことを伝える。
 ・「リアル=立体感=うまい」と思いがちな時期 ←ゆさぶる
 ・立体感:色の違い?生徒の中に正しく落ちているか?見えているのか?
  見えているものを描くのではなく、知っているものを描いている。←橋渡しが必要
  認知の領域にも関わってくる←言語化して伝えるのも有効かも

☆いしやまさん「デッサンの鬼」
 ・立体感とは?空間とは?遠近感とは? 
 ・スモールステップのワークショップ→どう表現したらいいか、納得してから描く

〇授業と部活(特別な支援が必要な生徒に対しての評価)
 ・授業:学習のねらいに向かう←ねらいを明確に
  何を目指しているのか?指導者が明確にして伝える。
・授業の評価
 評価規準に照らし合わせて評価する(それが、通常学級で授業を受けるということ)。
 特別支援学級の生徒、記述等で評価基準にのらない面をフォロー
 ・部活:制作の自由→その子らしい表現を認められる場でもある


Ⅲ、実践報告3 小川(中学校)
(1)気づき
〇制作に向けての目標設定の大切さ(後出しにしない)
〇毎時間の形成的評価の必要性

(2)題材:ドライポイント
 ・1つの版を様々な用紙で刷る(マーブリング、ドリッピングした紙、着彩する)
  →鑑賞をするとき、自分の観点に気付くこともできる
 ・複数枚を刷ることで、技能面(ふき取り)等、腑に落ちる
  →主題がはっきりすることも

(3)質疑応答
〇ワークシートのコメントの入れ方は?
 ・コメントによってワークシートの書き方をトレーニングする
→どのように書けばよいか、コメントで伝えていく(突っ込みをいれる)。継続することで書く力をつける。
 ・ワークシートの記述に対して、下線を引くだけでなく、下線+◎をつけたり、コメント等で指導者の評価を伝えていく。スタンプで、評価を伝えることも。
 ・友達からのコメント欄

〇表現と鑑賞を繋げる
 ・鑑賞で作品の中に不必要なもの、意味のないものはない。→では、自分の作品はどう?


Ⅳ、実践報告4 金谷(小学校低学年)
(1) 図工ファイル(ポートフォリオ)の紹介

(2) ワークシートの活用
・4観点のふりかえり ◎○△
・小学校低学年から(発達段階に応じて)書く活動も取り入れていく→トレーニング
・作品への思い、作品のお話(児童が書く、聞き書きも)

(3)質疑応答
〇普及に努めるべし!(自分だけから、学校全体へ)
 ・担任の先生方に、(自分が作った)ワークシートを使ってもらう
協力依頼→実践→改善点を教えてもらう→次年度へ
 ・学年に応じた、スキルの定着
〇小学校でも言葉と制作の行き来もできるのでは
〇指導要領の内容を確認して、発達に応じた手立てを講じていく


Ⅴ、対話型鑑賞の評価について
〇目的を明確化→活動とのマッチング

〇観点(資料「みる 考える 話す 聴く」P24参照)
・詳細な観察を行っているかどうか    ←B(評価)
・根拠に基づいて解釈しているかどうか  ←B
・複数の見方の可能性を考えているかどうか←A
・異なる見方の共通点を探っているかどうか←A

○評価のもととなるもの(資料集発刊記念セミナー講演より)
C:①ファクト(事実)だけ、トゥルース(解釈)だけ
B:②トゥルースにもとづいた、トゥルースの記述
③ファクトにもとづいた、トゥルースの記述
   記述例:「~だから」「~ので」
A:④複数のファクトにもとづいた、トゥルースの記述

上記の④を積み重ねていく→「異なる見方の共通点を探っている」になっているのでは?

○評価の複雑さ
・筆記サンプル:作品と自分→シンプル
・対話型鑑賞:作品と自分と友だちの意見→人の意見も取り入れている→その上で記述
       他の人の意見をどう聞いているか
→自分に都合よく聞いていることもあるのでは
       
○共通ワークシート:記述をする際の観点を示すとよいのでは!
          記述の評価の観点をワークシートに書いておく
         
☆スモールステップのワークショップで絵の見方を分析的に積み上げていく
①見えているものみんな言う 例、「人」「赤い服」等々
  ②そこからどう思うか
  ③・・・

○根拠に基づく解釈←苦手
根拠を話すのも、ゲームとして取り組むと面白くできるのでは?


以上、「美術科における評価についての実践報告」というテーマで実践を持ちより、シェアあり、質問・相談タイムあり、激励!?ありの、あっという間の3時間で、最後は時間切れとなってしまいました。今回の、評価に関わる話し合いに出てきた言葉たちから、「マイ インポータント3」を選ぶとするなら、私は次の3つを挙げます。

・評価基準を明確に示す:期待する姿や作品を明らかにして伝える。
・ワークシートの活用:題材全体と毎時間のPDCAサイクル
・コメントや評価で子どもを鍛え、認め、育てる。

さあ、あなたの「マイ インポータント3」は何ですか?
それは、どうしてですか?
また、それらの中で今できていることや、できそうなことは何ですか?

なーんて、根拠を考えてみることや、自分の実践に引きよせて考えることも大事ですよね。ここまでレポートを読んでくださり、ありがとうございました。この研修会の学びの一端でも、お伝えすることができていたら幸いです。子どもたちのために、できることから一つひとつトライしていきましょう。
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みるみる夏季研修会1日目の報告です!!

2014-08-20 18:05:09 | 対話型鑑賞
みるみる夏季研修会1日目の報告です!!


みるみるの会の夏季研修会1日目を浜田市の福祉センターで行いました。テーマは評価です。会員の日頃の実践報告を踏まえて、評価についての情報交換とこれからの評価について話し合いました。

金谷会員が会の進行をダイレクトにその場でまとめていったものをUPします。リアルな雰囲気を伝えたいので、言葉が足りないところもありますが、行間を想像してください。

また、夜は会場を「神楽」(美味しんぼの作者も訪れたことのあるお店)に写して懇親会!!盛り上がりました。

みるみる夏季研修会 「美術科における評価についての実践報告」
平成26年8月19日 14:00~17:00 浜田市総合福祉センター 会議室にて
講師 京都造形芸術大学 講師 北野 諒氏
参加者 みるみる会員 7名(記録 金谷)

第一日目の研修は、「美術科における評価についての実践報告」というテーマで、みるみる会員が学校での実践(作品やワークシート、評価の観点等)を持ちより、それらをもとに「評価」について、話し合いました。

ではではレポートです。

Ⅰ、実践報告1 春日(中学校)
(1)題材1:ドライポイント(2年生)「愛着のあるものを描く」凹版(10時間)
○評価基準を明らかにする(題材毎に、評価基準を提示する)
○ワークシートの活用
・制作にとりかかる前、制作中、ふり返り
 ・できるところで、相互鑑賞の時間も取り入れる
   ・目標→ふりかえり→次時への目標(ワンセット)
 ・限られた時間数の中での制作→時間経過が目に見えるようにする
  ○授業の流れ 
① 参考作品(先輩の作品)鑑賞 →記述する
② 制作にあたっての目標決定(4観点)
→指導者自身の学習のねらいも明確化(評価のブレを生まないように)
   →生徒自身、制作の指針になるように(納得できる作品を作れるように)
③ 目標が決定した後(教師のOKが出てから)、アイデアスケッチや制作に入る
1時間毎に目標を設定→ふりかえり→次時への目標(ワンセット)PDCAサイクル
                   
(2)題材2:自分の名前の1文字を絵で表して、自分らしい文字絵にしよう(2年生)
(5×5センチ、1時間+α)
○目標を明確にする→レタリングのスキル、自身の名前に対する愛着
〇ワークシートの活用
・めあて:自分らしさをあわらそう→自分らしさとは何か?
・ふりかえりの3観点
反省:目標に対しての達成
感想:制作中の自分の気持ち
PR:うまくできたこと

(3)評価の方法
・〇A~C:9段階
・クロッキー(毎時間)+題材(4観点)→学期の成績(カットポイントの設定)

(4)質疑応答 (☆は、実践のプラスαアイデア)
〇基準が分かりにくい生徒に対しては?自己評価が高すぎる子に対しては?
 ・ワークシートのコメントのやりとりで評価の刷り合わせを行う。(目標の立て方、観点の刷り合わせ、目標の明確化)
 ・ステップを踏んで、目標を立ててから制作へ入っていく。制作で行き詰った時に、自分の「思い」に当たる部分を、再確認することができる。

〇目標を言語化するのが難しい生徒に対しては?
 ・個別指導を入れながら、書くことができるようにする。(言語化の手立てを打つ。実技教科だからできることでもある)
 ・目標を書くことができない、難しい生徒
→制作も難しい生徒が多い ←だからこそ言語化するためのケアをする
 
☆アイデアを複数の視点から考える場の設定(ゲーム的に、楽しく仕掛ける)
例)身近なものをつかって、キャラクターデザインをしよう
 ・ヒーローインタビュー形式(インタビュアー(B)が聞き出す)
→自分(A)はどんなキャラか?自分の視点
 ・インタビュアー(B)からの視点→Aはどんなキャラに見えたか
 ・A・B両者の視点を合わせて、自分はどんな人間なのか考える

〇設計図通りにいかないこともあるがどうしているのか?
 ・途中で変わっても、思いがぶれないように。はじめにしっかり(思いや目標を)書かせているから、ここまでの作品ができる。
 ・時間経過が目に見えるようにする。(ドライポイントは、ワークシートに15時間分枠があるが授業でできるのは10時間)
 
〇ワークシートを書けるようにするには?
・経年的な積み上げを行う
 ・ワークシートの書き方を仕込んでいく
 ・作品の相互鑑賞を通して、(うまい下手ではなく)作品に対する取り組み方を学ばせることも大切。

〇学期毎の評価に当たって
 ・短時間でできる題材も取り入れて、評価の素材を確保するのも大切。
  例、点描で描く、名前のレタリングなど 小さい作品も
 

Ⅱ、実践報告2 房野(中学校)
(1)何のための評価か:生徒にどんな力が身についたか。これからどんな力をつけるとよいのか →誰もが納得できる方法と内容で示す

(2)制作の評価
 ・授業中の様子、作品、鑑賞カード、その他
 ・評価の4観点
 ・授業のルール(学校の実態)にも配慮する。

(3)ワークシートの形成的評価
 ・評価規準(評価の内容)を明示する。
 ・コメント
 ・制作計画→教師が設定
制作が遅れている生徒→反省・感想欄に目標を記入
 ・自己評価が低い(高い)生徒→教師の評価を赤ペンで記入

(4)成績をつけるにあたって
 ・集計表を4観点で色分け
 ・技能面では低くても、意欲面なども

(5)鑑賞カードの工夫
 ・友達からの評価(友だちの作品のいいところをカードに書く→本人にカードが届く)
  →審美観を問う、制作のポイントを踏まえて見ているか→鑑賞の評価につなげる
  
(6)質疑応答(☆は、実践のプラスαアイデア)
☆鑑賞会に当たって
 ・「マイ フェイバリット ベスト3」
作品の相互鑑賞後、いいと思う作品3つを投票。集計して1~3位まで伝える。

○技能・技巧に目が行きがちな生徒に対しては?
 ・指導者が(技能のみでなく)訴えるものがある作品をほめる。
 ・「〇〇に似てるね」(作家の名前を出す)
 ・思いをどれほど表現できているかが、大切なことを伝える。
 ・「リアル=立体感=うまい」と思いがちな時期 ←ゆさぶる
 ・立体感:色の違い?生徒の中に正しく落ちているか?見えているのか?
  見えているものを描くのではなく、知っているものを描いている。←橋渡しが必要
  認知の領域にも関わってくる←言語化して伝えるのも有効かも

☆いしやまさん「デッサンの鬼」
 ・立体感とは?空間とは?遠近感とは? 
 ・スモールステップのワークショップ→どう表現したらいいか、納得してから描く

〇授業と部活(特別な支援が必要な生徒に対しての評価)
 ・授業:学習のねらいに向かう←ねらいを明確に
  何を目指しているのか?指導者が明確にして伝える。
・授業の評価
 評価規準に照らし合わせて評価する(それが、通常学級で授業を受けるということ)。
 特別支援学級の生徒、記述等で評価基準にのらない面をフォロー
 ・部活:制作の自由→その子らしい表現を認められる場でもある


Ⅲ、実践報告3 小川(中学校)
(1)気づき
〇制作に向けての目標設定の大切さ(後出しにしない)
〇毎時間の形成的評価の必要性

(2)題材:ドライポイント
 ・1つの版を様々な用紙で刷る(マーブリング、ドリッピングした紙、着彩する)
  →鑑賞をするとき、自分の観点に気付くこともできる
 ・複数枚を刷ることで、技能面(ふき取り)等、腑に落ちる
  →主題がはっきりすることも

(3)質疑応答
〇ワークシートのコメントの入れ方は?
 ・コメントによってワークシートの書き方をトレーニングする
→どのように書けばよいか、コメントで伝えていく(突っ込みをいれる)。継続することで書く力をつける。
 ・ワークシートの記述に対して、下線を引くだけでなく、下線+◎をつけたり、コメント等で指導者の評価を伝えていく。スタンプで、評価を伝えることも。
 ・友達からのコメント欄

〇表現と鑑賞を繋げる
 ・鑑賞で作品の中に不必要なもの、意味のないものはない。→では、自分の作品はどう?


Ⅳ、実践報告4 金谷(小学校低学年)
(1) 図工ファイル(ポートフォリオ)の紹介

(2) ワークシートの活用
・4観点のふりかえり ◎○△
・小学校低学年から(発達段階に応じて)書く活動も取り入れていく→トレーニング
・作品への思い、作品のお話(児童が書く、聞き書きも)

(3)質疑応答
〇普及に努めるべし!(自分だけから、学校全体へ)
 ・担任の先生方に、(自分が作った)ワークシートを使ってもらう
協力依頼→実践→改善点を教えてもらう→次年度へ
 ・学年に応じた、スキルの定着
〇小学校でも言葉と制作の行き来もできるのでは
〇指導要領の内容を確認して、発達に応じた手立てを講じていく


Ⅴ、対話型鑑賞の評価について
〇目的を明確化→活動とのマッチング

〇観点(資料「みる 考える 話す 聴く」P24参照)
・詳細な観察を行っているかどうか    ←B(評価)
・根拠に基づいて解釈しているかどうか  ←B
・複数の見方の可能性を考えているかどうか←A
・異なる見方の共通点を探っているかどうか←A

○評価のもととなるもの(資料集発刊記念セミナー講演より)
C:①ファクト(事実)だけ、トゥルース(解釈)だけ
B:②トゥルースにもとづいた、トゥルースの記述
③ファクトにもとづいた、トゥルースの記述
   記述例:「~だから」「~ので」
A:④複数のファクトにもとづいた、トゥルースの記述

上記の④を積み重ねていく→「異なる見方の共通点を探っている」になっているのでは?

○評価の複雑さ
・筆記サンプル:作品と自分→シンプル
・対話型鑑賞:作品と自分と友だちの意見→人の意見も取り入れている→その上で記述
       他の人の意見をどう聞いているか
→自分に都合よく聞いていることもあるのでは
       
○共通ワークシート:記述をする際の観点を示すとよいのでは!
          記述の評価の観点をワークシートに書いておく
         
☆スモールステップのワークショップで絵の見方を分析的に積み上げていく
①見えているものみんな言う 例、「人」「赤い服」等々
  ②そこからどう思うか
  ③・・・

○根拠に基づく解釈←苦手
根拠を話すのも、ゲームとして取り組むと面白くできるのでは?


以上、「美術科における評価についての実践報告」というテーマで実践を持ちより、シェアあり、質問・相談タイムあり、激励!?ありの、あっという間の3時間で、最後は時間切れとなってしまいました。今回の、評価に関わる話し合いに出てきた言葉たちから、「マイ インポータント3」を選ぶとするなら、私は次の3つを挙げます。

・評価基準を明確に示す:期待する姿や作品を明らかにして伝える。
・ワークシートの活用:題材全体と毎時間のPDCAサイクル
・コメントや評価で子どもを鍛え、認め、育てる。

さあ、あなたの「マイ インポータント3」は何ですか?
それは、どうしてですか?
また、それらの中で今できていることや、できそうなことは何ですか?

なーんて、根拠を考えてみることや、自分の実践に引きよせて考えることも大事ですよね。ここまでレポートを読んでくださり、ありがとうございました。この研修会の学びの一端でも、お伝えすることができていたら幸いです。子どもたちのために、できることから一つひとつトライしていきましょう。
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