みるみる会員の金谷さんから「学び研」のレポートが届きました。
画像も一緒にお届けしたいのですが、なんだか調子が悪くてUPできません。
とりあえず、レポートのみをUPしますので、ご覧ください。
「学び研」画像は、Miyuki Kasuga のFBでご覧ください。
みるみるの金谷です。先月末、11月29日に松江市で開かれた「美術による学び研究会2014inしまね(第9回鑑賞教育フォーラム)」に参加しました。
大会テーマは、「ナイものはナイ!~無から有を生み出したい!」。このテーマに事務局からのメッセージとして・・・「ここには二つの意味があります。『無いっていったら何も無い』と『無いものなんて無い』。よくよく考えてみればいろいろ見えてくる、もっとじっくり見つめて、自分なりの意味を見つけ出すことができれば・・・ そんな大会を目指しています。」と。私は、「何もナイ!」と言われがち、言いがちな島根暮らしが、今の自分にはちょうどいいのですが、県外からいらした皆さん「島根」はいかがでしたか?
さて、学び研inしまねの第1日目は、「島根から県外へ」と、「科研中間報告 美術鑑賞教育フォーラム」の2本立てでした。
「島根から県外へ」のトップバッターは、島根石見美術館 主任学芸員 廣田理沙さんの「石見美術館mite展から」です。「mite展(mite!ね。しまね 島根県立美術館のコレクションを中心に)」とは、アメリア・アレナスをゲスト・キュレーターに招いての、島根県内初の「鑑賞」をテーマにした企画展です(会期:平成24年2月11日~3月26日)。この会期中、みるみるの会でも一般のお客様を対象に、ナビをさせていただきました。廣田さんの発表の中で、「作品をみるために体を動かすきっかけが、展示室内にちりばめられていた」というのが心に残りました。確かに、そうだったなぁと思うのと同時に、「みる」ということは体全体を使って行うことでもあるなぁと思いました。「みる」ために近づいたり、離れたりということはもちろんですが、「みて、考える」ときに、知らずしらず体が動いていたり、「みて、考えたこと」を伝えるために体や言葉を使って表したり、それらを受けとめようと身を乗り出して「みたり、聴いたり」するなど、「みる」ことはなんて動的なんだろうと。そして、「mite展」には、体を動かすきっかけと、それらを受け入れるスペースがあったなぁと、思いました(とはいえ、人は背面が見えないもの。目の前のことに夢中になっている方が、後ろにある作品にぶつからないように、そーっとフォローしたこともありましたね)。質疑応答のなかで、廣田さんからアナウンスがありました「島根県立石見美術館研究紀要 第7号」をみると、作品の構成や展示、石見美術館独自の取り組み等についてよりよく知ることができます。石見美術館のHPからチェックしてみてくださいね。
そういえば廣田さんが、今、みるみるメンバーになっているのも、この「mite展」がご縁でしたね。「mite展」後も、みるみるの会は毎年、石見美術館で対話型鑑賞会をさせていただいています。今年度は、来年1月から2月にかけて予定をしております。詳細は後日、お知らせしますね。
続いて、安来市立第一中学校 教諭 仲西貴志さんによる「はまだ子ども美術館の取り組み」として、「浜田市における美術品悉皆調査」の報告がありました。はまだ子ども美術館の学芸課長 神(じん)英雄さんが地域美術の掘り起こしとして取り組まれ、まとめられたものを仲西さんが発表されました。この調査をもとに、はまだ子ども美術館で展覧会も開かれました(「浜田の美術」2013年、「日本の中のはまだの美術」2014年)。なじみのある絵が美術館に展示してあることに驚いたり、新たな出会いがあったりするなかで「浜田にも地域の宝ってあるんだ。無いものなんて無いんだなぁ」と思いました。また、母校の小学校で高いところに飾ってあった絵が、見やすい位置に飾りなおされたのを実際に目にしました。それらのことからも、この調査は、地域の宝を掘り起こすだけではなく、地域のみなさんや子どもたちの美術を愛好する心を耕し、種をまいていったように思います。この調査によって、地域の宝が再発見されたのはもちろんですが、こどもや学校、地域の人々に変化がみられたというのが、私自身一市民としてうれしいことでした。
さて、「島根から県外へ」のトリは、出雲市立大社中学校 主幹教諭 春日美由紀さんによる「学校と美術館の連携(中国造形教育研究大会を通して)」です。発表前のスクリーンには、バーンと「しまねっこ」と松江城、BGMは「しまねっこのうた」(歌:ことのは)が。その次の表題のスライドには、「しまねスーパー大使 吉田くん」が登場!・・・派手ですな。と思いつつ、島根にも面白いものがあるじゃん!と、ひとりにやにやしていました。
春日さんの発表の中で、造形研当日の様子がビデオで紹介されました。その中で、学校と美術館の連携について、突撃インタビューしたにもかかわらず、快く応えてくださった島根県立美術館 学芸員の上野さん、岡山大学の清田哲男先生、ありがとうございました。
あれれ・・・発表の内容に触れていませんね。中国造形研の様子は、みるみるブログのバックナンバーに詳細がありますので、そちらをご覧いただけると喜びます。
休憩をはさんで「科研中間報告 美術鑑賞教育フォーラム」がスタート。
北翔大学 准教授 山崎正明先生のイタリア視察の報告では、フィレンツェのアカデミア美術館で、ダビデ像をじっくりみつめるカップルの写真が印象的でした。いいなぁ、あんな関係。正直、めちゃめちゃうらやましくって、憧れる!・・・って、失礼しました。作品を鑑賞する人を鑑賞(観察?)してしまうこと、私もあります。面白いです。作品を一人でみる面白さと、対話しながらみる面白さの両方を、子どもたちに味わわせていきたいなぁと、改めて思いました。日々の実践、がんばります!
続いて、東京国立近代美術館 主任研究員 一條彰子さんの「オーストラリアの美術館教育報告」です。原住民やアジアの一員としてのアイデンティティを大事にしていくことや、サスティナブル(持続可能)であることを、ナショナルカリキュラムにとりいれていることを聞き、驚きました。恥ずかしながら、私の中のオーストラリア像は、白欧主義で、夏のビーチでサンタがサーフィンしていて、分厚いオージービーフ・・・そんなものだったからです。アジアやアートとは、ほど遠い国と、勝手に思っていました。
オーストラリアの実践を紹介されるなかで、心に残ったことばは「子どもが、自分の考えを作るのが重要」と、「意味の分からない作品は、人間(友だち)と思って付き合えばいい」です。国を超えても、大切なことは共通しているし、作品を友だちのように思ってみるなんて面白いなぁと思いました。
第1日目のラストは、大分県立別府青山高等学校 教諭 岩佐まゆみさんによる「山水図屏風の鑑賞授業の追試検証」です。まず、長机の上に立ててられた、実物大のレプリカ「日月山水図屏風」(六曲一双、作者不明)の迫力に圧倒されました。いいなぁ実物大屏風、自分も作ってみたいなぁ。と思っているところへ、岩佐さんが「何が描かれているか」参加者に投げかけられました。山、松、月、波、雪、桜、等々声が上がり、それらから四季が表されていることが分かったのですが、なんだか順番がおかしい。右隻の右端から、春、夏、冬、秋と並んでいるのですから。でも、よくよく位置関係も考えながら、意見を聴きながら、見てみると、ぐるりと「春夏秋冬」となっている!目から鱗が落ちました。まさか立体的(俯瞰的)に描かれているとは、思いませんでしたから(ぜひ、画像を検索してみてください)。
高校での授業の様子を写したビデオのなかにも、「あっ、そうか!」といった生徒の気づきが、いくつもありました。きっと脳味噌をフル回転させながら、鑑賞をしている証なのでしょうね。それと、授業中に撮った写真をすぐにプリントアウトできる教室環境は、いいですね。自分の授業でも必要に応じて、校内で機材を調達したり、工夫したりして、取り入れてみようと思いました。
発表終了後には諸連絡があり、その後「懇親会には、タオルか手拭いを持って集合!」という、謎の指令が・・・。懇親会開始時間に会場に行くと、参加者への謎のレクチャーが始まりました。タオルを頭に被り、あごの下で端を結び、腰を落として、両手を体の前で重ねれば、「どじょうすくい」スタイル!?の出来上がり!!そのまま、安来節の曲に合わせて懇親会会場に入場です。そんな、島根感たっぷりにスタートした懇親会では、会いたかった方々や、はじめましての方々から、たくさんのパワーや実践につながるアイデアをいただきました。ありがとうございます!
さて、学び研しまねの夜は、まだまだ続きますが、私はお先に失礼して一路京都へ。京都造形のACOPにいってきまーす!と、松江を後にしたのでした。
では、美術による学び研究会2014inしまねの第一日目のレポート、ここまで読んでくださりありがとうございました。
二日目のレポートも、お楽しみに!