ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

出雲市教育研究会造形部夏季研修会の報告です

2016-08-31 21:24:28 | 対話型鑑賞


☆1.評価 ( )内に回答者数を記す
(回答者10名 そのうち午前中のみ参加2名 午後のみ参加1名 校長1名)
 ※このため、アンケートの人数の合計は異なります。校長は授業を行わないため
質問事項 4から上位評価点
A 今回の研修は有意義だった  4(6) 3(4) 2(0) 1(0)
B 2学期からの授業に取り入れたい 4(6) 3(3) 2(0) 1(0)
C 研修内容で一番よかったものは?(記述)WS(2) 講義(4) 無回答(4)
D 今回の研修内容に興味があった  4(5) 3(5) 2(0) 1(0)
E このような研修会があれば、また参加したい 4(3) 3(7) 2(0)1(0)
F 図工・美術科で研修を受けてみたいものは?(記述)教材開発:評価:実技研修:AL研修

☆2.研修を終えての感想を書いてください。
【小学校】
 ●対話型鑑賞の手法を用いた模擬授業を実際に体験することで、ALを進めていくうえでとても有効な手段になることを実感しました。また、児童の目線に立てたこともこれからの授業での声かけの参考になるものでした。実践してみたいと思います。
 ●もともと地図を読むことは好きでしたので、地図から想像を広げて町の様子やくらしの様子が想像できたのがとても楽しかったです。この楽しさは、やらされているという感覚がとても少なく自然にやっている状態になるからだと思いました。このような感覚が生まれる展開を2学期以降とり入れたいと思いました。
 ●模擬授業という形式で具体的に授業の様子がイメージでき、とてもよい研修方法だと感じた。地図からわかることをみつけ、そこから考えるという社会科の授業の基本がきちんとおさえてあり、多くの小学校教員に受講してほしいと強く感じた。授業のスタンスも学ぶべきものが多かった。

【中学校】
 ●金谷さんの実践報告をもとに、授業に生かすアイディアを意見交換できたことが、とても勉強になりました。自分のアイディアと他の参加者のアイディアを今後の授業に生かせるよう工夫してみたいと思います。
 ●自分の授業を振り返り、対話型鑑賞の手法を取り入れた内容を考えていくことは有意義だと思いました。他教科でも生かせる内容で午前と午後のつながりもあり、両方通して参加してよかったと思いました。
 ●午後の講義だけ参加しました。以前にもお話を聞いたことのある先生でしたので参加しました。やっぱり楽しかったです。対話型鑑賞の研修を受けても自分の授業ではなかなかうまく進められなくて困っていましたが、「なぜ?」より「どこから?」と聞くことでうまくいけそうな気がしました。2学期また挑戦してみます。
 ●金谷先生の実践発表もたいへん楽しかったのですが、北野先生の講義を聴いて、美術教育の可能性をまた信じられるようになりました。勇気をもらったと言えます。
 ●鑑賞する視点を設けること。
  推論して意見を交わすこと
  新しい発見や概念を構築すること
  これらの高まりを以って自分の表現に活かすことができればワクワクできることを研修で実感できました。
 ●地図を元に街の様子や地形、成り立ちなど、みんなの意見を出し合う中で発見していく過程が面白かった。また、ビジュアルを用いた鑑賞でも、みんなから出たさまざまな意見や感想から新たな発見や追体験をすることができ大変有意義な研修となった。
 ●対話型鑑賞の手法で社会科の学習をおこなう授業を紹介していただき、興味深かった。同じようにすすめれば理科の授業でも対話型鑑賞の手法を用いることができることに気がついた。



☆3.来年度に向けて、「こんな研修が受けてみたい。」と思われるものがあればお書きください。
 ●まだまだ学ぶことが多いですので、これからも(研修会に)積極的に参加したいです。
 ●手を動かして学ぶような展開があれば見てみたいと思いました。
 ●今回のように模擬授業という形式で受講者がアクティブラーニングを体感できる研修がよいと思う。

【中学校】
 ●扱ったことのない教材や技法を体験して指導の幅を広げていきたいと思います。
 ●自分としては評価の工夫という点で、何か参考になるものがあればいいと思いますが、これが市教研造形部の研修としてふさわしいのかどうか。
 ●この歳になって勉強不足を思い知らされています。新しい教材にも対応していきたいものですがなかなか手が出にくいので教えてほしいと思っています。
 ●ポートフォリオを活用する評価(鳴門教育大に研究者あり)
 ●授業を進めていく中でとかく教材等がマンネリ化してしまいがち。実技的な研修を受けることにより、さらに新たな授業展開や教材開発ができると思われるので、手を使った技能を高めていける研修があればよいと思う。
 ●繰り返し経験することが必要だと思うので、対話型鑑賞。
 ●美術作品の制作方法

 対話型鑑賞の手法がALに有効であることや、やらされているという感覚が少なく自然にやっている状態になるから楽しいと感じることができるというALの醍醐味、小学校の校長先生からは「多くの小学校教員に受講してほしい」と記述していただいたことから、この研修会が図工・美術の専門でなくても対話型鑑賞の手法でアクティブラーニング、そして他教科応用が可能であることを伝えることができたのではないかと感じた。
 また、実践後に講義があることで腑に落ちたり、中学校の美術教員にとっては鑑賞教育のみならず、美術教育の必要性を感じることのできる講義になっていたようで、「美術教育の可能性をまた信じられるようになりました。勇気をもらったと言えます。」と記述してくださった先生がいたことは研修を企画した者として何よりの評価言であった。
 参加者が少なく、「もっと多くの・・・」という記述もいただいたが、夏休みの貴重な一日を強制されるものではなく自主的に参加したからこそ受講者の意識も高いと言え、結果として個人個人の有益な学びにつながっていったのではないかと思う。
 今回の研修会に参加いただいた先生方が学んだことを自校で実践されることで児童生徒の生きる力をはぐくむことができれば幸いである。
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隠岐研修の感想レポートが届きました!

2016-08-16 22:31:27 | 対話型鑑賞
みるみるの会夏季研修会感想レポート

益田市立高津中学校 松田淳

 「みるみるの会夏季研修会 みて 考えて 話そーや IN 隠岐」に参加してきました。
私は島根で生まれ育ったのですが、このたび初めて隠岐に行きました。研修の前後に隠岐の観光も楽しむことができ、これまで見たことのないような自然の美しさにたくさん出会いました。自然の造形に感動し、おいしい海産物に感動した3泊4日の隠岐滞在となりました。



 
 研修1日目の西郷小学校では、京都造形大学の北野諒先生によるワークショップに参加しました。前半のお話で、われわれが普段美術館を訪れたときにどれだけ作品をよく見ていないかを考えさせられ、じっくりみる対話型鑑賞の有効性を実感することができました。
マルセル・デュシャンの『自転車の車輪』が2億円もの価値があることに、参加者みんな驚きました。たまたま先日、東京都美術館の「ポンピドゥーセンター傑作選」展にて、本物(この言い方も不自然なのかもしれませんが…)を見てきたところでしたので、“すごい作品”として見て帰ってきた自分を思い出しながら、「作品の価値」と「自分の見方」の関係について深く考えさせられました。参加者のひとりからの、なぜこの作品が2億円なのか教えてくださいという投げかけに、北野先生は「では、あなたにとってこの作品はどうですか?」と返されました。自分自身は美術史を学ぶ中で、“価値ある作品”としてデュシャンの作品と出会いました。何も知識がないところでこの作品と出会ったとき(中学生に見せる場合はほとんどそうなると思われます)、何をみて、何を考えるのか…おもしろそうだなあと思いました。


 後半のブラインドトークは、以前に北野先生のワークショップに参加したときと同じ作品でした。2回目なので、うまく伝えられるだろうと思っていましたが、そううまくはいきませんでした…。しっかりみること、みたものを言葉にすることの難しさ、難しいからこそのおもしろさをまた感じることができました。


 2日目の海士町では、三重県総合博物館の大野照文先生のワークショップに参加しました。大野先生のワークショップはおもしろい!と以前から何度も聞いていましたので、初めて参加することができうれしかったです。二枚貝の内側の模様をじっくりみることから、生物の生態や成長について考えました。全く初めての経験で、最初から最後までわくわくしながらの活動でした。貝柱の数の予想は見事に外れたのですが、大野先生が私のスケッチを見て「松田さんは、見えて描いているのに、見えていないことになっている」と指摘されました。言われるまで本当に気づいておらず、目からうろこでした…。美術でも、美術以外でも同じようにして、目に入っていても、その気がないから見えていないものがたくさんあって、気づいていない世界があるのだろうなあと、なんだか反省しました。隠岐のみなさんとあれこれ話しながら普段考えもしないようなことを考え、とても充実した時間でした。


 研修後の懇親会で、海士町教育委員会の方が「初めて図工・美術教員のみなさんとじっくり話しましたが、熱いですね~」とおっしゃいました。鑑賞教育、美術教育、島根の美術などなど、みるみるの会メンバーや講師の先生方、隠岐の参加者のみなさんといろいろな話ができました。普段は学校に一人の美術教員ですので、熱く美術や美術教育の話をする機会もなかなか無いのが現実です。そういう面でも今回の研修に参加してよかったなあと思っています。また自分たちの美術に対する思いをもっともっと発信していかなければと思う研修でもありました。ありがとうございました。
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隠岐研修1日目西郷(大人向け)の様子です。「図工・美術は〇〇〇〇!?」

2016-08-12 10:34:01 | 対話型鑑賞
みるみるの房野です。「みて・考えて・話そ~や IN 隠岐」研修会はとても濃厚な2日間でしたが、その中で特に印象的だったことを報告します。

8月6日(土)の大人向けの研修会で、講師の京都造形芸術大学・北野さんから衝撃的な問いかけが!!「図工・美術は役立たずなのか?」
これは、私たち図工・美術教育に携わるものとして、「図工・美術は生活に必要だ!だから義務教育で学ぶ意義がある!」と信念として持ってはいるものの、果たして、子どもたちはどう思っているのか??この問いかけに、私はどうこたえられるのだろう??

小学校6年生、中学校3年生の全国アンケートの結果を紹介してくださいました。

「図工・美術は心を豊かにすると思うか?」
その結果は、「そう思う」と答えた子どもが、小6が64%、中3が84% で、ホッ・・・。

「図工・美術は将来、自分や社会にとって、役に立つと思うか?」
に対して、役に立つと思わないと答えたのは、小6が30%、中3が50%だったそうです。

子どもたちは「心を豊かにする」と思っているものの、「将来、実際にはなんの役に立つんだろう?」と少なからず思っていることが伺えます。
う~ん・・・これは、いかん!

図工・美術で作品を作ったり、鑑賞では互いに作品をみあったり、美術史について学んだり・・・従来(私たちが子どもの頃の授業はこうでした)のままの授業をしていては、こんな答えになるのも無理はないかも。

北野さんは、自分の目と頭、直観を頼りに、自分なりに言葉にすることの大切さを様々な例を紹介しながら説明してくださいました。

例① 真っ白な大理石の古代ギリシャ彫刻…実は当時は極彩色だった!これまで専門家が言っていたことを鵜呑みにしていた私たちって!!?(恥)
これまでの定説は覆ることもある。権威のある人の言葉だからって、正しいとは限らない。

例② 「虹は何色?」民族によって、7色、2色・・・と把握している内容が違う!見ているものは同じなのに!

例③ ツワブキの葉っぱは何色?と小学生に尋ねたら、「緑!」と皆が答えた。
が、緑色の絵の具を実際の葉っぱに塗ると「全然違う!」
このことに気付いた後は、それまで「緑」と思いこんでいたツワブキの葉をもっと豊かな色に表現するようになったこと。
言葉の使い方と、世界の見え方、表し方は密接に関係している!

だからこそ、図工・美術だけでなく、お互いを理解しあったり、世界をしっかり把握したりするには「言葉」がとても重要なことがわかりました。
そして、その言葉をキャッチボールしあうと、一人ではわからないことも、対話することでもっと深く理解できることも。

金谷さんのレポートにある「ブラインド・トーク」で対話が生まれ、心の距離も近くなる、というのもうなずけますね。  参加者の感想にこうありました。同感です!

「ワークショップを通して、相手に自分が見えている・考えていることを100%伝えることの難しさと楽しさを感じました。「ああいえばよかった」「こういう伝え方のほうが伝わりやすかったな」というのが具体的に知ることができ、今後のコミュニケーションに役立つなと思いました。こういったワークショップを通して、子どもたちのコミュニケーション力をどんどん上げてほしいです。」

日々、変化の激しい現代にあって、「生きる力」「学び方を学ぶ(セルフ エデュケーション)」は美術の授業でもつけることができる!というか、ビジュアルを介する美術でこそ、やるべきだ!!と、この研修で再確認することができました。

さて、始めの「図工・美術は役立たずなのか?」の答えは明白ですね。

そして、それを裏付けるかのごとく、最後に昨年の順天堂大学 医学部の小論文の問題が提示されました。それは、一つの画像をみて、「あなたの感じるところを800字以内で述べなさい.」というものでした。対話型鑑賞の経験者なら、臆することなく書けるでしょう(^^)/ 

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隠岐研修 2日目午後(大人向け)の様子です!

2016-08-11 11:57:10 | 対話型鑑賞

みるみるの金谷です。「みて 考えて 話そーや IN 隠岐」にスタッフとして参加してきました。

2日目は、8月6日(土)海士町中央公民館にて開催しました。この日は、子ども向けと大人向けの活動が、それぞれ午前・午後開かれました。

大人向けの活動として、午前中は「二枚貝について考えよう」というテーマで、三重県総合博物館館長の大野照文先生とともに、知の冒険に出かけました。貝について知っていることを話し合ったり、ハマグリの貝殻をじっくりと観察したりしながら、貝の体の構造について考えました。

大人向けの午後は、京都造形芸術大学アートコミュニケーション研究センターの北野諒先生による「対話型鑑賞について~みる、考える、話す、聴く~」という講義&ワークショップでした。

参加された方の中には、はじめ表情や雰囲気が硬い方もおられました。ですが、講座の後半の「ブラインド・トーク」という鑑賞のワークショップから、参加されている方々の雰囲気が変わってきました。「ブラインド・トーク」というのは、ペアになって鑑賞をするのですが、一人は目隠しをしていて、もう一人が作品について言葉で伝えるという活動です。

作品について「伝えたい」「知りたい」という共同作業(対話)を通して、参加されている方々の表情や雰囲気が柔らかくなっていきました。始めは、みえている方が「話し手」として、目隠しをしている「聴き手」に、作品についての説明を一生懸命にしていました。しかし、何かのタイミングで、目隠しをしている「聴き手」の方が「○○ってどういうこと?」などと、作品がみえている「話し手」の方に質問をするなど、役割が逆転する場面が多くありました。質問を受けた(みえている)方が「うーん?」「どう言ったら、いいかなぁ」と、改めて作品をよくみて考え、言葉を選びながら目隠しをしている方に伝え返す。それを受けて目隠しをしている方が「もしかして、○○ってことかな」、「そうそう!」という姿があり、お互いに伝えあい、聴きあう姿が印象的でした。
スタート時には「一方的な説明」だったのが、作品についてお互いに質問したり確認したりという「対話」に変わっていきました。伝えあい、聴きあうことを通してこころの距離も縮まるように私は感じました。

また、作品選定にも仕掛けがあり、目隠しを取った際には、驚きや笑い声があがりました。作品を二人でみながら、「伝えるコツ」は何だろうかと、和やかな雰囲気の中でも参加者の皆さんは真剣にふり返りをされていました。そして、講座が終わった後、「楽しかった」「参加してよかった」という声をお聞きすることができました。

その後、この「ブラインド・トーク」で起こっていたことは、一体何なのだろうと、私自身しばらく考えていました。もしかして、これがまさに「鑑賞を介したコミュニケーション教育」だったのではないかと。始めは「コミュニケーションを介した鑑賞教育」ということで、深く作品を鑑賞するために「対話」という「コミュニケーション」の術を使っているのですが、それがいつの間にか逆転していたのです(それはまるで「聴き手」と「話し手」が逆転したように)。鑑賞する時に、コミュニケーションの力を使うことでスキルがアップし、それを繰り返すことで豊かなコミュニケーションができるようになる、と。

一体何言ってるの?何が逆転するの?とお思いの方もあるかもしれません。私も、頭ではわかっていたつもりでした。しかし、実際に自分が体験することで、腑に落ちました。皆さんも、腑に落ちる体験をしてみませんか?

さて、「みて 考えて 話そーや IN 隠岐」のほかの講座では、何が起こっていたのでしょうか?みるみるメンバーからのレポートをお楽しみに!
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隠岐研修2日目です。海士町で開催しました!!

2016-08-10 20:24:55 | 対話型鑑賞


海士町でのセミナーは終日開催で、子ども向けと大人向けの2本立て!!

午前の子ども向けは「絵をみて話そう!」ということで、いろんな絵をみながら話しました。

また、「絵を描きたい!!」という要望に応えて、ぐるぐるスクリブルの中からいろんなもの(顔や動物など)を見つけていくWSも行いました。

大人向けは、ハマグリの貝殻から「ハマグリの貝柱は何本?」という知っているようで、改めて問われると「・・・???」となる疑問に貝殻をよく見ることで答えを見つけていくWSを行いました。大人が真剣に貝殻に向き合っている様子が画像からも伝わってきますね!!
最後は、講師の大野先生自慢の模型・ぬいぐるみが飛び出し、参加者から感嘆の声が上がりました。

そして、昼食・休憩をはさんで午後の部も開催されましたが、それについてはまた明日!!
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