ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

ACOPのオーディション レポートです!!

2015-12-15 22:19:41 | 対話型鑑賞


こんにちは。みるみるのかねたにです。
12月5、6日に京都造形芸術大学におじゃまして、ACOPのオーディションを見学&参加させてもらってきました。学生さんのナビをみながら、はっ!と気付かされることや、やるなぁと思うことが盛りだくさんの2日間でした。


 「ナビも鑑賞者の一人」
 学生さんのナビをみながら、「ナビも鑑賞者の一人だったなぁ」ということを思い出しました。私も学校や美術館で、ナビゲーターをするのですが、あまり自分の感想を入れたりしていません。また、鑑賞会もさらっとオープンエンドで終わっています。
ですので、学生さんが「~というお話をきいて、~と思いました」と、自分の思いも伝えながらナビをする姿が新鮮でした。鑑賞会のしめくくりのところも、自分の中にあることばを絞り出して伝えようとする姿に、ちょっと心動かされたりしました。
ナビとしてどうすることが、鑑賞者と一緒にリッチな時間を過ごすことにつながるのか、自分のナビをふり返ったり、本などを読み直したりして考えてみようと思います。ふり返りが苦手なんて言っている場合じゃない!ということも、強く感じました。反省会で「ビデオでじぶんのこと、もっと見て!」「(ボイスメモを)よくきいて、文字おこしする!」等々、言っている学生さんたちの姿を目の当たりにしたのですから。言い訳をしたり、逃げていたりしては、いけませんね。


「この作品、好きになりました。美術館にみにいきます!」
オーディションに参加して、みなさんと対話しながら鑑賞していったら、みえ方が変わって、ほんとに好きになった作品がありました。それは、モネの「睡蓮」です。今まで、いくつかの美術館で本物をみていましたが、好きでもなんでもありませんでした(こんな言い方して、すみません)。「印象派で、超有名な画家で(高いんだろうなぁ)、この池には確か日本風の橋が架かっていたんだよなぁ」などと資料集的な思いを持ちながら、前を通り過ぎる感じでみていました。
でもみなさんと一緒にみていたら、「へっ!そんな風に感じたの?」「ほう、なるほどぅ」「ちょっ、まって!それどういうこと?考える、考えるよー・・・」と、頭をフル回転させ、手で画面の一部を隠したり、目の焦点をわざとぼやかしたりもしながら、作品の世界にのめり込んでしまいました。
みんなでみることの奥深さや楽しさを、改めて感じました。ひろしま美術館にも「睡蓮」があるので(今回みたのとは違うけれども)、早く「再会」したいです。もしかすると、今までとは「別人」にみえるかもしれませんね。


「鑑賞会の前に・・・」
『どちらから、来られたんですか?』『ここ、どうぞ』等々、声をかけてくれる学生さんが多くて、とてもうれしかったです。ひとに関心を寄せたり、声をかけたりするって、(相手に対して)「ここにいていいよ」というメッセージも含んでいるんだなぁと改めて感じました。
また、学生のみなさんと作品を一緒にみて、作品の中に深く潜っていきながら、ふと「ここにおれて、うれしい」なんて思ったりもしました。
もちろん、オーディションですから合格を目指して、励ましたり、けん制したり、泣いちゃったり、また厳しい言葉がとぶこともありました。それでも私は、「ここにおれて、よかった」です。ナビのスキルアップを目指している仲間として、コーチングについて考え始めたものとして、そしてひととのかかわりに興味をもつものとして・・・。
スキルアップするためには、自分が変わらないといけないところや、トレーニングして身につける必要があるものもあります。だからこそ、自分にダメ出しをしながら、自分を変えようと躍起になっている私がいます。そんな私が、最近とても気になることばに出会いました。糸井重里さんのことばだったと思います。
「やみくもにかわろうとするな、君よ。いいところもあるのに。」
自分を全否定しそうになるとき、ふと思い出しています。


 さて、2015年度ACOP作品鑑賞会、いよいよラストですね。鑑賞者のみなさんはもちろん、ナビゲーター、そして鑑賞会をスタッフとして支えるみなさんが、楽しくて、リッチで「ここにおれて、よかった」という時間を過ごせますように(いや、過ごせていたらうれしいです)。

 ACOPオーディションという、ある意味、人間がまるはだかになるような貴重な時間に立ち会うことができて、目から何枚も鱗が落ち、脳ミソは筋肉痛になりました。それほど、多くの刺激や気づきを得るとともに、深く考えることの楽しさを実感することができた2日間でした。今回の訪問に際し、あたたかく受け入れてくださった、福のり子先生をはじめ京都造形芸術大学の先生方、学生のみなさん、たいへんありがとうございました(昨年は、ACOPに鑑賞者として参加していました。その時にナビをしていた学生さんに、また会えたこともうれしいことでした)。
また、おじゃまさせてくださいね!大階段を、ちょっと息を切らしながら上がっていきますからね!
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ブラインド・トークの実践に対する生徒の感想をお届けします!!

2015-12-09 21:18:19 | 対話型鑑賞


ブラインド・トークを終えて

 2年生の1クラスで「ブラインド・トーク」を行いました。
この活動は、2人1組になり、交互にアイマスクをし、マスクをしない方がスクリーンに投影された、または、手元に配布された作品(プリントアウト)についてアイマスクをした人に、言葉で伝えるという活動です。
 最初は戸惑いますが、5分間という限られた時間の中で伝えるので、かなり真剣に取り組みます。1回目が終わった後に、「うまく伝わったところ」や「うまく伝わっていなかったところ」を確認し、「どうすればうまく伝わるのか」を互いに考え、2度目に挑戦します。2回目が終了した時にも同様の振り返りを行い、最後に「ブラインド・トークのコツ」についてのまとめをし、クラス全体で意見発表し、今日の活動のシェアをします。
最後に今日の活動の感想をワークシートに記入して終わりです。生徒は、どの活動も2人1組で結構楽しみながら、しかし真剣に取り組んでいました。最後の感想記入も短時間でしたが、必死にシャーペンを走らせていました。

 では、生徒の感想を紹介します。

 今日の活動は、普段しない「想像」という言葉で授業をして、相手の人が説明をしている場所や人や物の大きさなどを想像することができてとても楽しかったです。家でもできると思うのでやってみたいです。

 今日の「ブラインド・トーク」をやってみて、自分しか見えない分、相手に色々な情報を求めて状態を考えると言うのが、とても難しかったです。見えない事で、考えたのは、目の不自由な方も今の自分みたいに色々情報が必要なんだと思いました。

 初めてブラインド・トークをしてみたけれど相手の立場になって考えるところがとても難しかったです。普段は「あそこ」とか「~らへん」とか使って説明するけれど、ていねいに細かい説明が必要なので何度も苦戦しました。


 今回の活動で、伝えることの大変さと、大切さを学ぶことができたと思います。今日学んだことを大事にしていきたいと思います。

 相手に絵について正しく理解してもらうことはとても難しいことでした。位置や大きさは伝えられたけど、色や印象を伝えられなかったので、全体のイメージがしやすくなるようにそれらも伝えるとよかったと思いました。
 
 何も分からない人に、どんな絵なのか伝えるのは大変だし、聞く方も聞くだけでなく、分からないことを訊いていくことが大切だと思いました。

 絵を説明するというのは初めてで、けっこう難しかったです。でも、説明の時に相手がうなずいてくれると、伝わったのだと分かり、少し安心できました。自分のイメージ(~~のような)を相手と共有できたので良かったです。とくに、2作目は難しかったけど、とても面白い鑑賞の時間になりました。

 目が見えていない人に言葉だけで伝えるのは、とても大変だと思います。とくに、2回目はわかりませんでした。今、相手にどれくらい伝わっているのかが分からないといけません。だから2人でコミュニケーションをもっとすることが大切だと思いました。そして、まず何よりも伝える側が、相手に伝えようと思うことが大事だと思います。1回目のことが2回目のことに生かせたので良かったと思います。

 人に伝える、ということが、どれだけ難しいことかが分かりました。質問をすることによって、自分が想像している場所に新しことが加わってきたりして、想像の場が広がっていくので良いと思いました。

 今までで一番おもしろかったです。聞く人も、言う人も、かなり頭を使うし、想像力がつきそうと感じました。ただ見るだけよりも、相手に言ってもらうということで、より楽しくなるし、自分が想像していたのと本物のを比べてみるのもおもしろかったです。

 伝える方も伝えられる方も難しいかったです。全体像をなんとなくつかめてから、細かい所を教えられると分かりやすいと思いました。今日の学習で伝えることは、けっこう大変なんだと思いました。

 今までは見た物に対して意見を述べていました。でも、自分の頭で場面、場所を想像してイメージするのはとても難しいです。そして、伝える人も大きさや形、番所をしっかりとらえないと相手には伝わりません。また、やりたいと思いました。

 伝えるのが難しかった。

 今日初めてブラインド・トークというのをしてみて、見えていない人に伝える難しさを体験できたし、自分が見えていない時、質問しないと分からないことがたくさんあって、想像している絵と違うところもあったけど、とても楽しかったです。

 みえない人に話して伝えることは難しくて、位置や大きさなどの全体像をはっきりと伝えていなくて、今度やるときは、うまく説明をして伝えたいなあと思いました。

 自分では伝えているつもりでも、相手にうまく伝わっていなかったり、予想以上に伝わっていたりと、視力を超えて、絵はシェアしあえると分かりました。

 急に真ん中から右端の話になったり、左の話になったりして分かりずらかった。「絵」という情報は分かったけど、真ん中の少し右に黄色いものがべったりとか、分かりずらかったけど、ずっと水彩画だと思って考えてて、見ると「何これ?」みたいになって、要点が伝わってなかったと思います。

 ブラインド・トークは初めてで、やってみたら、思ったより楽しかったけど、思った以上に言葉だけから想像して想い描くのが難しくて、見たら自分の想像とは全然違いました。また、やってみたいです。

 ブラインド・トークというものをやったことがなかったので、とても楽しくできました。言葉だけで相手に伝えるので、ボキャブラリーが少ないと伝えることが大変だなと思いました。言葉で伝えるのは、電話と似ているなと思ったので、今回の活動を活かせると良いです。

 今日改めて人に物事を伝える大変さが実感できました。僕が説明した時は相手の人が???みたいになっていたので、もっと語彙を増やしたり、感性を磨かなくてはと思いました。

 ブラインド・トークは、すごく、難しくて、僕が説明しても、なかなか上手く言葉にできなかったり、想像していることと全然違うものがでてきたりしてとても楽しかったです。

 相手に伝えるのも、話を聞いて想像するのも大変でした。自分が伝えるときに、相手にきちんと伝わっているか心配だったけど、思っていたより相手に伝わっていたのでよかったです。

 自分が伝えているときは、相手にちゃんと伝わっているんだろうなと思っていたけど、相手がマスクをはずして絵を見たら、思っていたのと全然違うって言われたので、自分が伝わっていると思っても相手には伝わっていないことが良く分かりました。

 今日はこのような活動をしてみて、相手に伝えることは、とても難しくて理解されてないところも何回もありました。でも、このような活動ははじめてで、とても楽しかったし、ブラインド・トークのコツもわかったのでよかったです。

 今回の体験で1番感じたことは『見る』ということがどんなに重要かです。いくら人から聞いたり、自分が想像しても、なかなかその絵に近づいていなくて、難しかったです。

 初めてブラインド・トークをしてみて、自分が目隠しをしている時は、相手から説明を聞いてたくさん想像できたし、自分が説明する時は、相手にどうやったら上手く伝わるか考えながら説明することができました。これをブラインド・トークだけで終わらず、普通に絵を描くときにもどうやったら相手に伝わるかを考えて取り組みたいです。自分だけが分かる絵じゃなくて、見ている人全員が分かる絵を描きたいです。

 生徒の感想は以上です。

 今回のブラインド・トークで『みる』と『話す』トレーニングができたと思うのですが、実は『聴く』ことも無意識のうちに行っています。よく『聴く』と、『分からないこと』が分かる(に気付ける)ので、もっとよく理解しようとすると、話している相手に、聴いている人が『訊く(質問する)』ことも重要であることも分かってきます。
 またやりたいと思っている生徒が多いので、第2回目を3学期に計画したいと思います。どの作品にするのかが思案のしどころです・・・。
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グラントワのイベントに協力しました!!活弁!!!

2015-12-01 17:46:42 | 対話型鑑賞


島根県益田市にある「グラントワ」は劇場と美術館が一緒になっている県立の複合文化施設です。11月28日、29日はそんな施設ならではのイベントがありました。

「絵から生みだす物語と音楽」
絵を見ながら、お話を作ったり、音楽を作ったりするというプロの方たちと一緒に、そのもと(・・)を作っちゃおう!というワークショップ・・・。<みるみるの会>が初日のお話しづくりに協力しました。普段からやっている対話型鑑賞を、石見美術館の収蔵品をスクリーンで写して行ったのですが、そこに、プロの活弁士・坂本頼光氏、プロのミュージシャン・小林武文氏(パーカッション)、鈴木広志氏(サックス)、大口俊輔氏(ピアノ)も参加されるという豪華版。一般の方(大人5名、小学生7名、中学生1名、みるみる会員5名)と一緒に2つの作品を鑑賞しました。

1作品目「真夏の港 」作者 山田 喜作   ナビゲーター:房野  記録:藤野

描かれたモチーフがたくさんあるので、まずは小さなお子さんから指名して気軽に「なにがあるかな?」と尋ねると、「洋服を着ているのに扇子を持っていて、後ろに松の木がある」「洋風だけど、和風のものもある」「椅子やひさしから、ここはカフェ」「遠くに大きな船が見えるから港町」「服や扇子や日傘から夏だとわかるし、避暑に来ている」「おしゃれしてカフェにいるっていうことは、男の人を待っているんじゃないかな」などなど、始めからとっても鋭い子どもたちの発見が!!そうこうしているうちに大人も負けじと挙手が続き、45分があっという間に過ぎました。それでも「まだまだ言い足りない!」と挙手を続ける子どもたちに「ゴメンね」と謝りつつ、「あとは、みんなの発表をもとに坂本さんにお話を作ってもらいましょう」と区切りをつけたのでした。

いや~本当に楽しかった!みんな、ほんとに初めてなの?というくらいに、しっかり見て、考えて、見つけたことを話してくれました。ありがとう!これをみるみるの藤野さんがホワイトボードに書きとめてくれましたが、子どもたち、結構それを見ながらも自分の考えをまとめている風でした。

2作目「ふたり」作者 広田多津    ナビゲーター:金谷  記録:正田

1作品目とは違い、人物二人の日本画で、人物以外のモチーフは少ないものの、よ~く見るとなかなか味わい深い作品です。事前のミーティングより画像が不鮮明なことが残念でしたが、それでもどんどん話がはずみました。子どもたち、全行程14時~16時30分という時間を、よく集中していたな~と感心しました。楽しい時間って、早く過ぎるんでしょうね、きっと。
後半はこれまで坂本さんたちが創作された話芸と音楽のライブを鑑賞。スクリーンに作品を映しながら、それをもとにした活弁と3名のミュージシャンのセッションがとっても刺激的でした。<みるみる>はアートを対話で味わう活動ですが、これに音楽が加わるとこうなるのか!と感動しました。企画された石見美術館の川西さん、すごいです!

2日目の「絵から生み出す音楽」も、初めての体験で、びっくりするやら、おかしいやら、本当に楽しいひと時でした。これについては、また。

1月24日には活弁と生演奏のギャラリートーク「名画をいろどる話芸と音楽」が展示室の本物の作品の前で行われます。今回、みんなが話してくれた内容が坂本氏の話と音楽家による楽曲にどう生かされるのか、今からワクワクします!
ぜひぜひ、皆さま、この機会をお見逃しなく!

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