「オンラインACOPトライアル」でナビゲーターを務めました。
日時 5月24日(日)14:00~
鑑賞作品 橋本明治「蓮を聴く」1936年 島根県立石見美術館蔵
参加者 10~12名程度(出入り自由だったので)
オンラインACOPを2回で4作品鑑賞していました。
オンラインACOPはZoomを利用して、作品を画面共有し、鑑賞者の顔も画面上に載せます。ナビゲーター(ファシリテーター)は鑑賞者の顔の画像を確認しながら指名し、発言を促します。しかし、参加者の挙手を見逃したりすることもあるので、進行役がチャットで知らせてくれたり、気づきや、残り時間を書き込んでくれたり、などのサポートをしてくれます。この進行役がいてくれることで鑑賞がスムーズに行えます。また、Zoomの扱いに慣れていない参加者にとっては、Zoomの操作に慣れている方がいてくれると心強いです。この場では「ちょなん」さんがその役を毎回務めてくださっているのですが、それもとても心強いです。
1回目、2回目ともに鑑賞者の立場で参加しました。両回の鑑賞後に、オンラインとリアルの違いなどが話題になったので、体験してみる必要があるなと思い立ちました。それと、PC(Zoom)の扱いに不安を感じて躊躇していましたが、エキスパートの「ちょなん」さんがサポートしてくれることが2回の参加で分かり、不安が安心に変わっていったのも背中を押してくれた大きな理由の一つです。画面共有のデータのアップはパワポ画像がよいことや、データをデスクトップに貼りつけておくと呼び出しやすいことなども2回の振り返りで確認できたので、準備もやりやすかったです。また、14:00開始ですが、ナビゲーターや進行役は10~20分前からZoomにアクセスして操作のレクチャー受けたり、画像共有の事前確認ができたりするのも安心につながりました。
作品については少し悩みましたが、やったことのない作品でやってみようと思いました。数多あるなかで、参加者が全国各地(首都圏が多い)なので島根所縁の作家の作品でやりたいと考え、橋本明治の初期の作品にしました。
この作品には、2人の和装の女性が椅子に座り、蓮に向き合っている場面が描かれています。タイトルが分かると「ふ~~~ん。」って終わってしまいそうな作品だったりするのですが、タイトルが分からないと、人はどのように作品をみるのか興味がありました。
皆さんから出された意見は主に次のようなものでした。
・真ん中の女性は顔つきが似ているので、姉妹なのでは?
・同じモデルなのでは?
・こちらを向いている女性の着物の柄が麻の葉模様なので、生命力を感じる。
・髪が短いので、もしかしたら、男性が女装をしているのでは?
・横向きで椅子(デッキチェア)に座っている女性はリラックスしている。足を組み、手を前で組んでいる様子から。
・椅子の背にもたれている女性は、そのポーズから、疲れているように思える。
などと、中央の2人の人物に関する話題が始めに出ました。そのうち、
・作品の左端に蓮が描かれている、花は白く発光しているようにみえる。
・花の白さ、発光しているようにみえる花と、着物の人物たちも白く発光しているようにみえる。
・花と茎の様子と、女性の姿が相対しているようにみえる。
など、蓮の花と女性を関連付けてみる意見も出ました。
蓮と人物を関連付けた発言が続いたときに「なぜ、ここに2人の人物はいるのか?何をしているのか?」という問いを一人の方には投げたのですが、全体に向けて投げかければよかったと後悔しています。
・椅子の背にもたれかかった女性がこちらを向いている。
との発言を受けた時に、こちらを向いていますが、目線は合いますか?と訊き返し、
・合いません。
と、答えられたときに、どこを見てるのでしょう?と訊き返すのではなく、同じポーズを取ってもらうことをしていたら、みているのではなく、蓮の方に耳を向けているのではないかという気づきにつながったかも知れないと思うと、そこも、残念・・・。
また、鑑賞者が蓮と人物との関連性についてばかり考える発言が続いたときに、そこにこだわることから離れ、さらに作品の見方を広げる投げかけができればよかったとそこも悔やまれます。
やはり、人物、蓮、をもっと詳細にみていくことを確認しながら積み上げて行かなければならなかったです。蓮の発言が出た時に、「どんな蓮にみえていますか?」「葉や花はいくつみえていますか?」など、具体的な問いかけをすればよかったのだと、今なら分かるのですが、あの時は作品画面と皆さんの画面の反応とを確認しながら、パラフレーズしたりコネクトしたりするのに必死で余裕がなかったです。オンラインでの鑑賞に慣れていく必要性を痛感しました。
参加者の皆さんからのご意見は以下の通りです。このチャット機能があるのもオンラインの魅力かな、と、感じています。振り返りに記録として残るので、とても助かります。
ちょなん@トーキョー : 蓮と人物を関連付けていろいろとご意見を話してくださるのがとても興味深かったです。もう少し、人物の目線やポーズにフ
ォーカスしてもよかったかな?と思いました。
まっつん@群馬 : 作品名を聞いて、納得したのは左側の人物の表情!じっくりと聞いてます!
ひらの@川崎 : 蓮と人間の関係が気になっていたけど、人物の話題が多かったので、話しそびれました。
かよ@兵庫 : それぞれのお話をしっかり聴いて返して下さることと、「このことについてでもいいですし、他のご意見でもいいので・・・・」という
進め方をされていたので、安心して意見を言えました。ひらのさんの蓮と人物の対比から、見方が深まったように感じました。面白かっ
たです。
ひらの@川崎 : オンライン鑑賞初体験です。ブラインドトーク的な要素がより重要になる気がしました。ここが、とか、こっちが、とか、そういうの
が通じづらいので、明確に言語化する必要がありそうです。
ハル@東京 : 作品のテーマから離れたかも知れませんが、たくさんの見方が伺えたと思います。ありがとうございました 蓮の表現につぼみがあるこ
とにもっと注視できていたら広がったかな?と思いました。
まっつん@群馬 : 作品情報とは別に皆さんのお話が興味深くて、楽しかったです!
みえの@京都 : 面白かったです。最初の話を持ってきて「ここで着物を着て何をしてるか」と問われた時に「確かに・・・」と思い、コネクトが絶妙
だったなと感じました。女性ふたりのディスクリプションで、彼らが何をしているかという問いをもう少し膨らませてもよかったのか
も、とも思いました。
おおた@横浜 : 久々の対話による鑑賞、楽しかったです。みなさんの言葉で色々な見え方がしてきてエキサイティングでした。春日さんのファシリ、
丁寧に意見を聞いていただきとても発言しやすかったです。タイトルを聞いて、私は左側の人物は、待ちくたびれているように見えて
きました。
なつめっち@TOKYO : お疲れさまでした!ありがとうございました。隈なく作品をみた感じがします。誰かの感想から誰かの感想へと展開していく
のは楽しいですね。都度、発言をまとめてくださっていたので、最初の方の発言を思い出すこともできました。「あれ?それっ
て、どうしてそういう話になったんだっけ?」と拠りどころを探すことがままありました。ずっと自宅にこもっているので、こ
の絵を拝見して、お散歩に出かけたくなりました。
まっつん@群馬 : 春日さんの話の運び方が上手だと思いました。「もう一度最初の感覚に戻ってみてください」は良かったです。
ちょなん@トーキョー : やはり長い時間のACOPはいいですね!20分以降くらいで鑑賞が深まっていく感覚を味わえました。 ポインティングが丁寧で
鑑賞を進めやすかったです。 鑑賞者の発話がわかりづらい時に、より言葉を引き出す問いかけをされていたのがよかったで
す。 鑑賞者の疑問の言葉をそのまま使って返すのもいいですね。
ちょなん@トーキョー : 田辺さんからのメッセージ 普段なら流してしまいそうな作品を、じっくり鑑賞できました。朝か夕方に蓮を見てるんだろう
なぁと思いましたが、二人の心境にも思いを馳せることができて面白かったです。
皆さんからの感想にもあるように、この作品、結構、対話が生まれるよい作品だと思いました。この作品で、もっとスキルアップも狙いたいです。
また、6月20日あたりに第2回目のチャレンジをします。少しは、うまく運べるとよいと思います。
その時に、オンライン鑑賞のナビゲーターとしての留意点などもUPできるとよいなと考えています。自分なりに整理して、お伝えしたいと考えています。
ナビや参加者は,互いに全員の顔は見えないのですか?顔だらけの分割画面になると,作品が見えにくくなるのかと心配になります。もしかして,そのためにも進行役が必要になるのですか?発言者の顔がその都度見えるように切り替えるなどの仕事をされるのですか?
いずれにしても,距離を超える可能性,すごいですね。
Zoomチャットでの実践フィードバックを使ってブログでふりかえるのはいいですね!