「つながり」の旅 in Paris ~ 人と人、自然、地域との「つながり」 ~

人・自然・地域との「つながり」をテーマにした旅や暮らし(エコツーリズム、スローライフ等)について日々の想いを綴ります。

ベトナム・アンコールワットへの旅④ アンコール遺跡編

2006年01月03日 | 世界遺産めぐり
いよいよ旅のクライマックス、アンコール遺跡へ。

日差しの観点から、午前中は3Km四方の都城内に遺跡が点在するアンコールトム、午後は西に面したアンコールワットを観光するのが定番コースだ。

鬱蒼とした森林を抜けると、門の上に観世音菩薩の四面像が微笑むアンコールトムの城壁が現れる。中心のバイヨン寺院には、塔や四面像が林立し、壁には精巧なレリーフが彫られる。少し歩くと、森の中から寺院の遺跡が忽然と姿を現し、広大な敷地の壁に象の彫刻が掘られた「象のテラス」に立てば遥かな森を眺められる。

午後はいよいよアンコールワットへ。ここは、寺院ということでアンコール王朝陥落後も仏僧が住んでいたため、アンコールトムより遺跡の保存状態は良い。

眼前に広がる壮麗な寺院建築、壮大なヒンドゥー教の物語を表す壁一面の精巧なレリーフ、遺跡を一層引き立たせる南国の青い空と背後の深い森など、どれをとっても一幅の絵画の題材となるほどの素晴らしさ。あんまり素晴らしいものを見続けてありがたみが分からなくなるほどだが、湖のほとりで改めて静かに寺院を眺めると、やはり吸い込まれるような風景に見入ってしまう。

中央祠堂の斜度70度という階段を登って堂上に立つと、西陽に照らされたクメールの原野を一望。これは美しい日没が見れそうだと心躍らせてプノンバケンの丘へ。

炎天下の中、一日中寺院の階段を上り下りして結構足に疲れが出ているが、最後に美しい夕陽を見るために大急ぎでプノンバケンの丘とその山頂の寺院に上る。それにしても、新宿駅のラッシュにも勝るとも劣らないものすごい人。

丘の上からは、眼下に太古の貯水池である西バライと田園風景を望む。遥か西方の地平線に落ちていく夕陽に息を呑む。立錐の余地なく遺跡の最上部を埋め尽くした各国からの旅行者も、息を潜めて日の入りを見入る。17:49に日が沈むと誰からともなく拍手が。黄昏の空の下、様々な国籍の人々が同じ感動を共有して自然と拍手が沸き起こる状景は悪くない。PEACE!

ベトナム・アンコールワットへの旅 ③ シエムリアプ編

2006年01月03日 | 世界遺産めぐり
ハノイから2時間弱のフライトで、
私にとって30カ国目となるカンボジア・シエムリアプに到着。
夜でも30度と蒸し暑い。

建物一つのシンプルな空港を出て市街地に向かうと、窓の外が真っ暗。
時々ぽつんと見えるランプの明かりに、砂糖ヤシの葉で作られた
高床式の家や粗末な商店が浮かぶ。街灯も家の明かりも殆どなく、
車のライトだけが闇を照らす風景は、ほのかに見える熱帯の樹木の陰と共に、
バングラディシュの風景を思い出させる。
夜が暗いと星もハッキリ見えるので、汗をかきながらオリオン座を眺める。

シエムリアプの街に近づくと、派手なネオンとイルミネーションに
照らされた大型ホテルが並ぶ。内戦が漸く落ち着いた後、
観光で生きること選んだ街らしく、
真新しい外国人旅行者向けのホテルが数十もある。

観光客の半分は日本人と韓国人で占めるそうだが、
遺跡観光を目的に来る彼らは、
埃っぽい熱帯の田舎町を歩く気はないらしく、
殆どこれらのホテル(とツアーで連れて行かれるレストラン)から出ないようだ。

到着後、早速夜の街を歩くと、外国人旅行者向けの商店が並ぶが、
見かけるのは欧米人のバックパッカーばかり。
遺跡では嫌というほどお目にかかる日本人観光客は全く見かけない。

賑やかなオールドマーケット周辺は、
外国人個人旅行者の溜まり場となっており、
バンコクのカオサンロードのように、
欧米風のカフェバーや土産物屋がならび、
店からは大音量のUKロックやユーロビートが流れている。

このような風景を見ると、旅行というものは、
カネと暇がある人間が自分の便利な生活様式を持ち出し、
自分にとって都合よい形でのみ、現地の風物を
愉しむものだというのが如実に感じられる。

自分も便利さとは無縁ではないが、
やはり「現地のものを、現地の人の目線で」体感する旅がしたい。
多くの人にそのような旅の良さをわかって欲しいし、
受け入れる地域の人も、経済的メリット欲しさに観光客に迎合するのではなく、
自分達の生活様式を活かした観光の中で生計をたてられるとよい。

そのような考え方を、旅行者側にも、現地の人にもわかってもらうことも、
自分がやりたいエコツーリズムの一つの目標であるだろう。

$0.55のバイヨンビールを飲みながら、そんなことを南の国の街角で考えた。