「宗家の三姉妹」以来、約10年ぶりでしょうか 岩波ホールで観るのは。
チケット買って 待っててくれた友人に感謝感謝。思いっきり寝坊して駆け込みだったんですが
間に合って本当に良かったいろいろと考えさせられる いい映画でした。
ゴラン高原のマジュダルシャムス村。若い娘がシリア側に嫁いていく一日を描いた物語です。
元々はシリア領であったこの村は、1967年の第三次中東戦争でイスラエルに占領される
こととなったため 新たに引かれた“境界線”の向こう側にいる肉親との行き来さえも
出来なくなってしまいました。分断された彼らが高台に上り、拡声器を握って、向こう側
にいる肉親と近況や無事を確認し合う場面には涙がこみ上げてきてしまいました。
国境以外にも宗教や男性・女性など 様々な“境界線”が劇中に出てきます。
イスラムの少数派とされるドゥルーズ派の一家の長男ハテムはロシア人女性と結婚した
ために勘当され、妹の結婚を祝うために妻と息子を連れて8年振りに故郷に戻ってきます。
父親にすれば 今日という日を逃せば 長男は永遠に妹と会えなくなってしまうので、
何とか大目に見てもらいたいが長老たちは掟を破ったハテムの帰郷を決して許そうとせず、
信仰に背いて彼を迎えれば縁を切ると父親に迫ります。
この地域の多くの親シリアの住人たちは“無国籍者”となってしまっているので、花嫁は
“境界線”を越えたらシリア国籍が確定し、イスラエルへの入国は不可能になる。
一度境界を越えてしまうと、もう二度と愛する家族のもとへは帰れないのです。
イスラエル側の通行手続きの変更により境界線で花嫁のパスポートに「イスラエルからの
出国印」が押されたことによりトラブル発生。イスラエルからすれば“境界線”を越えて
シリア側に行くことは「イスラエルからの出国」になるし、シリアからすれば“境界線”
を越えることはあくまで国内の移動にしかすぎないし。ゴラン高原の支配権を巡って
イスラエルとシリア双方が主張して譲らないのは分かりますが、結果としてどちらの国にも
属さない“無国籍者”になってしまったそこに住む人々の幸せをどっちの国も考えて
いないんですよね。国連事務所に従事する国際赤十字のスタッフも間に挟まれて境界線
を行ったり来たり。国際赤十字のスタッフの『国家の威信だとか政治とかもううんざり』
な様子も印象的でした。
一向に進まない手続きに
結婚式がキャンセル延期に
なるかと思いきや決意と
希望を胸に軽やかに難題
を解き解いた花嫁の姿に
また涙してしまいました。
非武装中立地点で後ろを
振り返るシーンがもうでした。
世間体を気にしてばかりの夫に嫌気を
さしている花嫁の姉が自分の娘に
「あなたは未来を掴むのよ」と励ます
シーンがあるのですが、恐らく同じようにことあるごとに花嫁である妹にも希望を託す言葉を掛け
て、しきたりに縛られない新しい風を送っていたんだろうなと思うのです。
しっかり者のお姉さんが軸になって話が展開していっている感じでした。
公式サイト
チケット買って 待っててくれた友人に感謝感謝。思いっきり寝坊して駆け込みだったんですが
間に合って本当に良かったいろいろと考えさせられる いい映画でした。
ゴラン高原のマジュダルシャムス村。若い娘がシリア側に嫁いていく一日を描いた物語です。
元々はシリア領であったこの村は、1967年の第三次中東戦争でイスラエルに占領される
こととなったため 新たに引かれた“境界線”の向こう側にいる肉親との行き来さえも
出来なくなってしまいました。分断された彼らが高台に上り、拡声器を握って、向こう側
にいる肉親と近況や無事を確認し合う場面には涙がこみ上げてきてしまいました。
国境以外にも宗教や男性・女性など 様々な“境界線”が劇中に出てきます。
イスラムの少数派とされるドゥルーズ派の一家の長男ハテムはロシア人女性と結婚した
ために勘当され、妹の結婚を祝うために妻と息子を連れて8年振りに故郷に戻ってきます。
父親にすれば 今日という日を逃せば 長男は永遠に妹と会えなくなってしまうので、
何とか大目に見てもらいたいが長老たちは掟を破ったハテムの帰郷を決して許そうとせず、
信仰に背いて彼を迎えれば縁を切ると父親に迫ります。
この地域の多くの親シリアの住人たちは“無国籍者”となってしまっているので、花嫁は
“境界線”を越えたらシリア国籍が確定し、イスラエルへの入国は不可能になる。
一度境界を越えてしまうと、もう二度と愛する家族のもとへは帰れないのです。
イスラエル側の通行手続きの変更により境界線で花嫁のパスポートに「イスラエルからの
出国印」が押されたことによりトラブル発生。イスラエルからすれば“境界線”を越えて
シリア側に行くことは「イスラエルからの出国」になるし、シリアからすれば“境界線”
を越えることはあくまで国内の移動にしかすぎないし。ゴラン高原の支配権を巡って
イスラエルとシリア双方が主張して譲らないのは分かりますが、結果としてどちらの国にも
属さない“無国籍者”になってしまったそこに住む人々の幸せをどっちの国も考えて
いないんですよね。国連事務所に従事する国際赤十字のスタッフも間に挟まれて境界線
を行ったり来たり。国際赤十字のスタッフの『国家の威信だとか政治とかもううんざり』
な様子も印象的でした。
一向に進まない手続きに
結婚式がキャンセル延期に
なるかと思いきや決意と
希望を胸に軽やかに難題
を解き解いた花嫁の姿に
また涙してしまいました。
非武装中立地点で後ろを
振り返るシーンがもうでした。
世間体を気にしてばかりの夫に嫌気を
さしている花嫁の姉が自分の娘に
「あなたは未来を掴むのよ」と励ます
シーンがあるのですが、恐らく同じようにことあるごとに花嫁である妹にも希望を託す言葉を掛け
て、しきたりに縛られない新しい風を送っていたんだろうなと思うのです。
しっかり者のお姉さんが軸になって話が展開していっている感じでした。
公式サイト