←その6:ミラノ散歩。幻想の夜のガッレリアからの続き
夜8時からの開演を控えたスカラ座 。
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今夜の夢の舞台を待ちきれない観客たちが、スカラ座の玄関前に行列をなしています。
開場前の観客の行列は世界中の歌劇場で見かける風景ですが、どういう訳だかここスカラ座では開演時間が迫ってもなかなか玄関ホールの扉が開かれず、行列も整然としておらず混乱気味…
ようやく開演20分程前になって玄関が開け放たれましたが、行列が乱れているのでなかなか劇場内に入ることが出来ない有り様。
「やれやれ…世界のオペラ好きとクラシック音楽ファンが憧れる名だたるスカラ座なのに、こういうところはしっかりイタリアの流儀なんだな!」
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美しい劇場内のインテリアをじっくり見て回るのは観劇前の楽しみの一つなのですが、今夜は時間が無いので急いで指定された席へ…
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さて今夜の演目は…Lo schiaccianoci、英語表記だとThe Nutcracker。
そう!おそらく世界一有名なバレエの名作、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」 です!
オペラの殿堂スカラ座ですが、この冬の年末年始シーズンはバレエの「くるみ割り人形」を演るというプログラムが組まれているのです。
僕はまだ「くるみ割り人形」を生の舞台で観たことがなく、これが初見です。でも、チャイコフスキーのバレエ音楽としてはもう耳にすっかり馴染んでいます。
慣れ親しんだ名曲たちにバレエのパフォーマンスが加わる夢の初舞台を世界のオペラの殿堂スカラ座で体験できる…何という幸せなことでしょう!
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そしてここが、今夜の指定席。贅沢にもボックス席です!
僕は大抵、歌劇場では安いクラスの上層階の開放型バルコニー席を予約するのですが、スカラ座には開放席は最上階の天井桟敷しか設定が無くほとんど全ての席が個室のボックス席になっているのですね。
ちなみにこの席、事前にスカラ座の公式サイトでネット予約したのですが、Eチケットではなく切符そのものが普通郵便で日本まで郵送されてきたのには驚いたなぁ…(笑)
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そして、いよいよ始まる今夜の舞台…
ミラノのスカラ座が、クリスマスイブの夜の夢の世界へと変わります…!!
…感激でした、何というファンタスティックでダイナミックで、そして甘く切ないクリスマスの夜の夢!
子供の頃、初めて「花のワルツ」を聴いて胸がときめいた、あの頃の気持ちが蘇ってくるような気分になったのです。
そして、僕が秘かに憧れている謎の人物ドロッセルマイヤー氏の怪しい魅力!(笑)
それらを鮮やかに演じきったスカラ座バレエ団と最高の演奏を聴かせてくれたスカラ座管弦楽団に拍手!!
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一夜の夢をありがとう。世界のオペラとバレエの殿堂、スカラ座歌劇場。
スカラ座でのチャイコフスキーの音楽世界「くるみ割り人形」を楽しんだら、明日には一旦ミラノを離れて小旅行。
今度はシェイクスピアの文学世界「ロミオとジュリエット」の町を訪ねます。
→その8:朝のミラノ中央駅に続く