Photo:内之浦宇宙空間観測所KSセンターより打上げられ飛翔する観測ロケットSS-520 4号機 ※画像提供:あつ志さん
平成29(2017)年1月15日(日)の朝08時33分00秒
(日本標準時)、
超小型衛星の打上げ実証を目的とした観測ロケット
SS-520 4号機の打上げ実験が内之浦宇宙空間観測所に於いて行われました。
年明け早々、しかも
昨年暮れのイプシロンロケット2号機の打上げから一ヶ月も経たないうちに行われた観測ロケットの打上げ実験、冬期の悪天候による強風を理由に打上げ日が延期された結果、何と日曜日の早朝という打上げ見学には絶好のタイミングでの打上げとなりました。
これは見に行かない訳にはいかない!!(笑)
という訳で、当日は九州外からも急遽駆けつけた宇宙クラスタ諸兄と合流して未明から意気揚々と
ロケットの聖地・内之浦に乗り付けたのでした。
だが、しかし…
※画像提供:あつ志さん
まだ夜明け前に、今回の打上げの公式見学場所となる
宮原ロケット見学場に到着。
既に多くのロケットファンが集結しており、駐車場もどんどん埋まっていきます。
※画像提供:あつ志さん
気温が氷点下に近い極寒の中、海風まで吹き抜ける宮原ロケット見学場で静かにその時を待つロケットファン達。
今朝はよく晴れ渡り、絶好の打上げ日和となりました!
(そのせいで放射冷却もキツく、寒さも倍増ですが…)
そして8時33分、“内之浦名物”の肉声のカウントダウンに送られて、
観測ロケットSS-520 4号機リフトオフ!
※画像提供:あつ志さん
宇宙まで突き抜けるような真冬の青空に向かって、ちょうど差し始めた朝陽に照らされきらきらと輝きながら真っ赤な噴射炎を噴き出し、SS-520 4号機のロケットロードが天空へと真っ直ぐ伸びていきます。
とても美しい、素晴らしい打上げの光景でした!
…この時点では、誰もが打上げの成功を確信していました。
僕も「そう言えば、ペイロード(超小型衛星)の分離ってリフトオフの何分後だっけ?衛星が軌道に乗ったら当然名前が付くよね!今回はなんて名前になるのかな」などと呑気に話していたのです。
そう、この時はまだ…
この後、内之浦から引き揚げて鹿屋市辺りで昼食にしようかと話していた移動の車中で、携帯端末で打上げ後の情報収集をしていたK君が突如、悲痛な表情で一言…
「あの…なんて言えばいいのか…。非常に悪いお知らせがあります。」
SS-520 4号機実験結果について(平成29年1月15日 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構プレスリリース)
観測ロケットSS-520 4号機は、第1段ロケットモータの燃焼と飛翔は正常だったものの飛行中にロケットからのデータ受信が途絶してしまい、第2段ロケットモータの点火指示が中止されそのまま打上げ実験は中止。
SS-520 4号機は第1段ロケットモータの燃焼終了後、ペイロードと共に海上に落下しました。
実験の目標である超小型衛星の軌道投入は果たせず、結果として打上げ実験は失敗しました…。
…僕が平成18(2006)年にM-Vロケットの6号機による赤外線天文衛星 「あかり」打上げ、及び7号機による太陽観測衛星「ひので」打上げでロケットの打上げ見学(というかロケットの“追っかけ”)を始めて以来、初めて経験する「自分が打上げを見たロケットの打上げ失敗」です。
これが初めて知る失敗の味、深くて重くて苦いな…
でも、不思議と悲しさは感じませんでした。もちろん悔しさはありますが、それもどこか前向きだったと思います。
そう、これは「打上げ実験」なのです。
最初から失敗しないと分かっていたら実験をやる必要はありません。あくまで、上手くいくかどうか分からないのでやってみる野心的で冒険的で、そして緊張感に胸躍る素晴らしい行為なのです。
それが、「打上げ実験」なのです!!
「今回は、上手くいかなかったという事を知ることができた。それもまた成果の一つだ。
さぁ、今回の失敗の原因を徹底的に突き止めよう。そして…次は必ず成功させる!!」
きっと、今回の打上げ実験に関わったすべての人たち、すべてのロケットボーイとロケットガールたちが、今は同じ気持ちで前を向いて奮闘を再開していると思います。
僕も、僕たちロケットファン・宇宙ファンも、全力で応援し続けます!!
必ず原因を突き止めて、そしてまた再び内之浦のKS台地に帰ってこい!
必ず、また翔べ!超小型衛星を打上げる観測ロケットSS-520!!
僕はいつまでも待っているからな…!!