Photo:ルフトハンザドイツ航空の最新型ジャンボジェット ボーイングB747-8インターコンチネンタル
この年末年始はバルト三国のエストニアとラトビアに行ってきました。
バルト三国で特に何かしようという理由も無く、仕事の疲れを癒やしにのんびりしに行こうという気楽で気ままな旅…
の筈だったのに、何故かあれこれトラブルに見舞われてしまい、なかなか波乱万丈な旅になってしまった(笑)
今回も是非、気長に旅行記にお付き合い下さいませ。
旅の始まりは熊本空港の国内線から。
東京羽田行きNH644便、ボーイングB767(多分。中型機はあまり見分けがつかない(笑))。
羽田空港に着いたら、いつものようにANAの国際線乗り継ぎ専用バスで国際線ターミナルへ移動…
だがしかし。
国際線ターミナルに着いて無事にパスポートチェックと出国も済ませて、羽田から搭乗予定のルフトハンザドイツ航空フランクフルト行きLH717便の搭乗ゲートに行ってみると「遅延」のお知らせが。
今回はフランクフルト空港で70分の乗り継ぎ時間でエストニアのタリン行き便に乗り継ぐ事になっている。
1時間少々しか無い乗り継ぎ時間が遅延で削られるのはちょっと心配…
という訳で、ルフトハンザのカウンターに居る地上職員に事情を説明して
「乗り継ぎは大丈夫でしょうか?場合によっちゃ、乗り継ぎを諦めてホテルを用意してもらった方がいいんじゃ…」と聞いてみると、電話で何処かに問い合わせて色々と調べてから
「遅延の結果フランクフルト到着が25分遅れる見込みなんですが、フランクフルトでの最短乗り継ぎ時間がちょうど45分なのでギリギリ間に合います。このまま行って下さい!」とのこと。
ホントに大丈夫かいな…
やがて、遅れていた機材が到着。
ルフトハンザドイツ航空が誇る“最新型”の(そして恐らく“最終型”となる)ジャンボジェット機、ボーイングB747-8インターコンチネンタル。
超大型で運用効率が悪くなったジャンボは効率の良い中型の新型機に追われてどんどん姿を消しているのだが、このインターコンチネンタルはハイテク機B787と同じ高性能エンジンを搭載して生まれ変わった新しいB747だ。
もっとも、それでもB777やB787ドリームライナーに比べると燃費が見劣りするので全く売れておらず、世界中でもルフトハンザと大韓航空にしか採用されていないらしいのだが。
羽田空港国際線ターミナルの搭乗ゲートに駐機して折り返し出発準備を整えるルフトハンザのジャンボジェット。
さぁ、急いで準備してさっさと飛んでくれよ…
だが結局、機内への案内も遅れた上にボーディングブリッジが外れた後も滑走路への誘導と離陸待ちで更に待たされて、フランクフルト行きLH717便が羽田空港を離陸した時点で遅れは40分以上に拡大してしまっていた。
「おいおい…これは本格的にヤバイでしょ」
早速、水平飛行に移ってからCAさんに再度事情を説明すると、またしても電話で何やら色々と問い合わせてから
「フランクフルトへの到着は遅れますが、機長に事情を説明したところ『頑張ってみる』とのことで、大急ぎで飛んでくれるそうです。機長はかなりヤル気を出していますので、このまま予定通り乗り継ぎに備えておいて下さい!」とのこと。
「おお、それは頼もしい!(…っていうか、そこまで言われたらもう何も言い返せないよw)
このジャンボは双発のB777やB787の倍の4発もジェットエンジンを積んでるからスピードは出るでしょうね。機長に『エンジン全開でシベリア上空をマッハでぶっ飛ばしてくれ!』と伝えて下さい!」
半ばヤケクソ気味にそう言うと、もう後は何も出来ることはないので開き直って過ごすしか無い。とりあえず本当に頑張ってくれよ、機長とジャンボの4発エンジン…
とりあえず、タイトな乗り継ぎに備えて座席で休息する。
今回の航空券予約はルフトハンザの公式サイトで行ったのだが、以前は無料で早い者勝ちだった事前の座席指定が有料になっており、チェックインまで放置しておいたら勝手に機体後方の窓側席を割り振られてしまった。
だが、機体後方は壁が尻すぼみに狭くなっている関係で座席がゆったり配置されていて窓側なのに壁との間に余裕がある、隠れた「当たり座席」だった。
1回目の機内食。
和食と洋食が選べたが、洋食を選ぶと牛肉のグラーシュだった。
当然、羽田空港のケータリング会社で調理されたものだと思うのだが、紫キャベツのザウワークラウトも入っていて本格的。
ちなみに和食はカツ丼。
到着前の2回目の機内食は和食をチョイス。
ポーク唐揚げの味噌煮込みソースご飯という、やや謎な献立。
う~む、洋食のパスタの方が良かったかも。
さて機内食も食べ終わって、後はフランクフルト空港に降りるだけだが…
CAさんに現在の状況を聞くと「到着は35分遅れの19:45になります。お客様が乗り継がれるタリン行きは19:50に搭乗開始ですね…」
「あちゃ~。そりゃもう絶対に今日中の乗り継ぎは不可能ですね。ホテルの手配は地上係員に言えばいいですか?」
ところがここで、思いがけないというか耳を疑うようなことを告げられたのだ。
「いえ、急げば間に合います。お客様、空港に着いたら走って下さい!」
な、なんだってーーー!?
最初は何かの冗談かと思ったのだが、大真面目に
「到着後はすぐに降りられるように着陸直前に機体前方のプレミアムエコノミー席にご案内しますので、荷物をまとめて準備しておいて下さい」と極めて冷静に言われてしまった。
「え~っと…降りたら地上係員の方が一緒に走って誘導してくれるんですよね?」
「いえ、ここドイツではそこまで手厚いケアは期待出来ません。ご自身で頑張って走って乗り継ぎ便の搭乗ゲートを目指して下さい!」
お、おぅ…そこまで言われたら…ホントに頑張るしか無いじゃないの!!よし分かった、走ろうじゃないか!!
結局、プレミアムエコノミーよりも更に出口に近いビジネスクラスの空席に案内され、思わぬ形で生まれて初めてのビジネスクラスのフラットシート体験を味わう余裕もなくLH717便はフランクフルト国際空港に到着。
ヤル気を出してくれていたらしい機長と最新型ジャンボジェットの4発エンジンがどれだけ頑張ってくれたのかはよく分からなかったが、今はそんなことを考えている場合ではない。
ドアが開くと同時にジャンボ機から飛び降りて、走れ・走れ・走れーーー!!
…で、結論から言うと間に合っちゃいました(笑)
自分でも信じられないんだが。
ジャンボ機から一番最初に飛び降りて、乗り継ぐタリン行きルフトハンザドイツ航空LH884便の搭乗ゲートを目指して一目散にフランクフルト国際空港のターミナルビル内を駆け抜ける!
「まさか健康維持とダイエットのリバウンド防止の為にいつも仕事が終わった後で職場併設のジムのランニングマシンで走ってたのが、こんなところで役に立つとは思わなかったぜ…」
まだ誰もいない保安検査場と入国審査のパスポートチェックをくぐり抜け、腹立たしくなうようなきらびやかな免税店コーナーを走り去り、タリン行きLH884便の搭乗ゲートに辿り着いたのは…
ジャンボ機から降りてちょうど10分後の19:55!
まさにたった今、優先搭乗案内が済んで全ての乗客の機内への搭乗案内が始まったばかりのタイミングだった。
「やった…やったーーー!!本当に間に合ったぞヒャッハー!!」
搭乗ゲートに並ぶ乗客の冷ややかな視線も気にせずに、叫びましたね思わず(笑)
…それにしても、「フランクフルト国際空港での国際線シェンゲン協定圏内での乗り継ぎ時間:10分間」というのは本当にギネスブックの世界記録を更新しちゃったのではなかろうか?
まぁ、今回は一人で空港内を走ったので、誰も確認者がいないからギネス記録更新は難しいかも。あ~しまった本当に誰か一緒に走ってくれたらよかったのに残念!
(いや、そもそもギネスブックに「国際空港での乗り継ぎ成功最短時間記録」なんていう項目があるのかどうか知らないけどさw)
さてタリン行き便への乗り継ぎは成功したが、安心するにはまだ早い。「人間は間に合っても、荷物が間に合わない」可能性が大きいからだ。
熊本空港でタリンまで直通で預けたリモワのスーツケース、さすがにあれも10分でジャンボ機から降ろしてここまで運んでくるのは難しいだろうなぁ…
ああ、多分タリン空港でも荷物は出てこなくてロストバゲージ扱いだろうな。さしあたってタリンに着いたら明日にでも身の回りに必要なものを調達しに行かないと…等と考えていたら急にまた気分が沈んできてしまった。
せっかく苦労してタリンに着いても、着の身着のままか…
だがしかし。ここで二回目の奇跡が起こる。
何と、沖止めのタリン行きLH884便の機体までバスで移動して駐機スポットでタラップに並んでいると、目の前にやって来た荷物運搬車から降りた作業員の手に見慣れた黒いリモワのスーツケースが…!
「おお、あれはまさしく僕のリモワ!!凄い…凄いぞフランクフルト国際空港の地上職員の皆さん!本当に荷物まで10分間で乗り継がせた!!」
…日付が変わって大晦日の午前零時半、僕はタリン空港のターミナルビル近くにあるウレミステ空港ホテルで一息ついていた。
「着いた…やっと着いた!苦難を乗り越えて奇跡的な幸運を2つも起こして、無事にタリンに着いたぞ!」
それにしても、初日から疲れ果ててしまった。
さぁ、とりあえず風呂に入ってから今夜はぐっすり眠ろう。これから旅の日々が始まるぞ…おやすみなさい。
→2日目(2017年12月31日)に続く