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2017-18 年越しエストニア・ラトビア旅行記 4日目(2018年1月2日)

2018-03-04 | 旅行記:2017-18 エストニア・ラトビア
Photo:リガ中央駅に入線するValga行きエストニア方面接続列車


3日目(2018年1月1日)からの続き

今日は早くもラトビアの首都リガを離れ、再びエストニアの首都タリンへと戻る。
朝10時半、リガ中央駅からValga行き列車に乗車…来た時と全く同じ行路を逆に辿る帰り路だ。

帰りの列車も事前に乗車券をネット予約しておいたのだが、なぜか行きは無料で持ち込めたスーツケースに手荷物持ち込み料金が要るとラトビア鉄道のおばちゃん車掌に言われ(実際ラトビア鉄道では、手荷物持ち込み料金は乗務員の裁量で徴収されたりされなかったりするのが普通らしい)、
しかもおばちゃん車掌は英語が話せず僕はラトビア語が聞き取れないのでお互いに困り果ててしまい、見兼ねた英語が話せる親切な若い女性が通訳を買って出てくれて、最後はみんな笑顔でなぜか「スパシーバ!」とロシア語で言い合うという和やかな鉄道の旅の始まり…


首都リガから5分も走ると車窓は森の中になる。
森の中の貨物ヤードに並ぶタンク車、えらく派手に積み荷の油をこぼしとるなぁ…


森を抜けると畑と牧草地…
基本的にラトビアは全国的にこんな感じの風景が延々続いている。


時々小さな町に立ち寄り駅に停まる。
ラトビアでは旧ソ連占領時代からそのまま使われているような、古びて無機質な駅舎の駅が多い気がする。


畑の真ん中のプラットホームだけの駅に、踏切を塞いだまま停車中。
…JR北海道の通称“朝礼台”と呼ばれる無人駅と全く同じシチュエーション(笑)


リガを出発した時点ではかなり混み合っていた車内も、国境が近づいてくるとすっかりガラ空きに…
やっぱり鉄道でラトビアとエストニアを直通する乗客需要は殆ど無いんだなぁ。

リガからおよそ3時間半、13:55に国境の町Valgaに到着。


一昨日は5時間も待ち合わせ時間があったが、今日はなんと僅か4分での対面乗り継ぎ!
タリン行きのエストニア鉄道ELRONの列車に乗り換える。


ここまでありがとう、ラトビア鉄道の旧ソ連型気動車。
(…なんかこの次に乗る時は、ラトビア鉄道もエストニア鉄道と同じスイスのシュタッドラー社製車両に置き換えられてる気がする。)


という訳で、ここから先のエストニア国内はシュタッドラー社製最新型高性能気動車!
おお~車内もピカピカで乗り心地も良くて快適そのものだ!やっぱりソ連より西側諸国の方がいいよなぁ実際(笑)


エストニアに冬の早い夕陽が落ちる…

すっかり暗くなった午後5時過ぎ、エストニアの首都タリン空港近くのウレミステ駅に到着した。
ここでタリン市内の路線バスに乗ってホテルへ向かう…筈だったのだが、ウレミステ駅近くのバス停とトラム停留場の前にある「Rキオスク」(公共交通の乗車券類を扱っているキオスク)が閉まっているではないか!
なんてことだ、Rキオスクでスマートカードを買わないとお得にトラムに乗れないぞ!

…路線バスやトラムをはじめとするタリンの市内交通は、全てスマートカードというICカード乗車券で乗ることが出来る。
このスマートカードがなかなかの優れもので、IT先進国のエストニアらしく様々な機能を持っているのだ。例えば、単純に一定金額をチャージして使うだけではなく、1日乗り放題チケットや数日間乗り放題チケットを事前に読み込ませておくと、車内のICリーダーにタッチした時点で自動的に乗り放題期間が始まったりするのである。
(さらに、納税しているタリン市民はマイナンバーをスマートカードに紐付け手続きしておけば何と無料で公共交通を使うことが出来たりするのだが、残念ながらこれは外国人旅行者には関係がない)

という訳でタリンに着いたらまずはRキオスクでスマートカードを購入しなくてはならないのだが、あてにしていたバス停留所前のRキオスクが閉まっているともうお手上げである。
こんな場合はトラムの車内で運転手から直接「1回乗車券」を買うことになるが、「1回乗車券」は2ユーロもするしもったいない…
スマートカードで3日間乗り放題チケットを使うとたったの5ユーロなんだぞ…

念の為にバス停留所近くの酒屋やガソリンスタンドに行って「ユヒスカールト(スマートカードのエストニア語読み)ある?」と聞いてみたが、どこでも売っていないと言われる。
万事休す、やはりRキオスクでしか売っていないか。やむを得ん2ユーロ出してとりあえずホテルまで路線バスに乗るか…
諦めかけた時に、ウレミステ駅の裏の空港ホテルとの間にショッピングモールがあったことを思い出した。ひょっとしたら、ショッピングモールにRキオスクが入っているかも…


ビンゴ!(笑)
思った通りショッピングモールにテナントとして入っていたRキオスクを発見して、無事にスマートカードを手に入れることが出来た。
デポジットの2ユーロと3日間乗り放題チケット代金の5ユーロを支払ってその場で3日間乗り放題チケットをICチップに読み込ませてもらい、これでタリン滞在中はトラムも路線バスも全て乗り放題だ。


意気揚々と路線バスに乗り込み、今夜のホテルに向かう。
1980年のモスクワオリンピック開催に合わせて開業したという老舗のホテル・オランピア(現在はラディソンホテル系列)は、かなりの豪華ホテルでビックリ…


しっかりバスタブもあるので大満足!


豪華ホテルに気を良くして、近くのスーパーマーケットで夕飯と甘いものを沢山買い込んできた。
(ちなみにこの時買い物したスーパーマーケットの隣りにあるスイスホテル・タリンには数日後に東欧とバルト三国を歴訪した日本の安倍総理大臣が宿泊したとのこと…まぁ安倍さんはスーパーに買い物なんかしに来れないだろうけど)


ホテル・オランピアの部屋からはタリンの夜景も見える。
タリンはリガと違って、新しい高層ビルが多いな…

おやすみなさい。明日はスマートカードでトラムに乗って、街歩きに行くぞ…

5日目(2018年1月3日)に続く

2017-18 年越しエストニア・ラトビア旅行記 3日目(2018年1月1日)

2018-03-04 | 旅行記:2017-18 エストニア・ラトビア
Photo:リガ中央駅で発車時刻を待つロシア方面行き国際寝台列車


2日目(2017年12月31日)からの続き

明けましておめでとうございます。
2018年になりました!

…とはいえ、リガ市街は昨夜遅くに雨が降り出したようで、初日の出も見られない元旦となってしまった。


それでもせっかくなので、正月元日の散歩に出かける事にする。
石造りの建物も石畳も雨に打たれてしっとりとした、そして底冷えのする世界遺産リガの旧市街へ…


旧市街で見かけた壁画アート。鳥人間?リリエンタール?


こちらは聖ペテロ教会の裏にあるブレーメンの音楽隊像
…なぜリガにブレーメンの音楽隊?と思ったら、リガ市は同じハンザ同盟都市であるドイツのブレーメン市と姉妹都市関係にあるそうで、その記念にブレーメンから贈られたものらしい。
ちなみにリガ市は日本の神戸市とも姉妹都市とのこと。


旧市街の広場ではクリスマスマーケットを開催中。


ホットワインや軽食、そしてチープな土産物を売る屋台が並び、完全に観光客向けの雰囲気。


旧市街からダウガヴァ川沿いに抜けると、昨夜の年越し花火大会の舞台設営を撤去する作業の真っ最中だった。
ヨーロッパでは新年の三が日という習慣は無く、大晦日の夜が終わるとお正月の全てのイベントが終了してしまう。
まさに祭りの後の涙雨の朝、という風情…


リガ市内を流れる大河ダウガヴァ川。
鉛色の空の下、濁った冷たそうな水がとうとうと流れる。見ているだけで凍えそうになる風景…


ダウガヴァ川沿いの遊歩道をしばらく歩いていくと、かまぼこ型の建造物が建ち並んでいる場所に行き当たる。
これはリガの中央市場で、毎日10万人もの市民が買い物に訪れるという本来ならとても賑やかな場所らしいなのだが、正月休みで閑散としていた。


リガ中央市場の特徴的なドーム型の建屋は、元はツェッペリン飛行船の格納庫として建てられたものをそのまま再利用している為とのこと。
とはいえ「ヒンデンブルグ号」のような巨大な飛行船が入るとは思えない大きさなので、日本の「スヌーピーJ号」のような小型の飛行船用だったと思われる。
飛行船格納庫から市民の台所へと姿を変えつつリガの歴史を見守り続けてきた中央市場のドームは、現役の市場ながら旧市街の一部として世界遺産にも登録されている。


中央市場のすぐ近くに、昨日エストニアから列車を乗り継いで到着したリガ中央駅がある。
駅裏手にあるスターリン様式の共産主義ビルを背景にして、旧ソ連時代にリガにあった鉄道工場で製造された車両が走り抜ける“ソ連の置き土産”のような光景が…


リガ中央駅は今でもラトビア国内各都市とを結ぶ列車が多数発着する、かなり賑やかな駅である。
駅舎もきれいにリニューアルされてショッピングモールやフードコートも併設されており、すっかり近代的なヨーロッパの都市駅になっている。


リガ中央駅のプラットホームにずらりと並ぶリガ鉄道の列車たち。


エレクトリーチカと呼ばれる、旧ソ連の鉄道の象徴だった近郊型電車が今でもリガ鉄道の主力だ。

中央駅で列車を眺めた後は、駅前から広がる旧市街へと戻る。


冬の公園と運河。


旧市街と新市街の境い目に建つ威風堂々としたラトビア国立歌劇場
…今夜はここでオペレッタ「こうもり」でも観たかったのだが、あいにく年末年始は公演が休みだった。残念!


国立歌劇場の近くにそびえる自由の記念碑
ラトビア独立戦争で死んだ兵士たちに捧げる為に1935年に建てられたもので、ソビエト占領時代も取り壊しの危機から守り抜かれたラトビアの国家としてのシンボル的な存在である。
常に儀仗兵によって護られ(この日は低温と悪天候のせいでか儀仗兵の姿は見当たらなかったが…)、ラトビアを訪れた外国要人は必ず献花式典を行うという(実際、この数日後に東欧とバルト三国を歴訪した日本の安倍総理大臣も自由の記念碑に献花したことが日本のニュースでも報じられていた。)。


次に旧市街を突っ切って、再びダウガヴァ川沿いへ…


ダウガヴァ川にはリガ港があり、バルト海を航行する大型船が発着している。
ちょうどロシアのサンクトペテルブルグに向かう大型フェリーが接岸していた。

港で船を眺めたら、再びリガ中央駅へ。
リガからは船だけではなく鉄道でもロシアへ向かうことが出来る。
ちょうどそろそろ、ロシア行きの国際列車が出発する時間なので見に行こう。


リガ中央駅のプラットホームに据え付けられた、この長い編成の列車がラトビアとロシアを結ぶ国際列車。
現在、リガ中央駅にはこのロシア方面行きとベラルーシの首都ミンスクへと向かう2つの国際列車が発着している。


ロシア方面行きのこの列車はリガ中央駅16:50発、モスクワ行き編成とサンクトペテルブルグ行き編成の併結列車。
それぞれモスクワには明日の朝10:17、サンクトペテルブルグには9:30に到着する。


モスクワ行き編成とサンクトペテルブルグ行き編成のそれぞれが、ラトビア鉄道とロシア鉄道の客車の混結になっている。


ラトビア鉄道の黄色い客車はクシェット(簡易寝台車)。


ロシア鉄道の客車は個室寝台車の模様。


リガ-サンクトペテルブルグとそれぞれラトビア語とロシア語で書かれたサボ。


ロシア鉄道の寝台車には、サボに可愛い電飾が施されているものもあった。

でもこの直後にロシア鉄道の寝台車のデッキに立つ車掌から「NO Photo!!…Money,money!!」と公然と賄賂をせびられて唖然…!
いまだにこの手合の不良鉄道員がいるなんて驚きとしか言いようがなく、そして残念。


もちろんゴロツキ車掌に袖の下を渡したりはせずに、無視してさっさと編成の先頭へ機関車を見に行く。
ラトビア鉄道の客車にはラトビアエクスプレスのロゴが書かれているが、これは列車名ではなく運行会社名らしい。

ラトビア鉄道の車両には食堂車もあってサンクトペテルブルグ行き編成に連結されていたので、日本のブルートレイン風に言うとどうやらこの列車は「食堂車連結基本編成サンクトペテルブルグ行き・付属編成モスクワ行き」になるようだ。


ロシア行き国際寝台列車の先頭に立つのは、ラトビア鉄道の貨物用ディーゼル機関車。




ロシア行き国際寝台列車が発車した後、ラトビア鉄道のローカル列車が入線してきた。
昨日乗ったものと同じ気動車列車だ。

すっかり暗くなったリガの街を、また旧市街へと向かう。


中央駅前で見かけたトラム。


リガのトラムは旧式のタトラカ―だけでなく最新鋭の超低床車も走っている。


雨上がりの夜の、凍てつくような寒さの旧市街。
濡れた石畳が街灯りに輝いて美しいが、とにかく寒い…


寒さの中を大聖堂へと急ぐ…


今夜は旧市街のリガ大聖堂で名物のパイプオルガンコンサートが開催されるので聴きに来た。
昼間に旧市街を散策中にこのポスターが貼り出されているのを見つけたので、これは是非行かねばと思っていたのだ(笑)


リガ大聖堂のエントランスに展示されていたこの機械は時計塔の駆動装置。


今夜の主役、リガ大聖堂のパイプオルガン。
1880年代につくられたもので、およそ7000本のパイプを持つ世界で4番目に大きなパイプオルガンと言われているとのこと。

さて今夜のパイプオルガンコンサートは…
バッハやホルストといった宗教曲やクラシックの定番曲からジャズ、現代音楽まで幅広いレパートリーを集めた、大変楽しいコンサートだった!
特にサクソフォーンとパイプオルガンのセッション(初めて聴く組み合わせだ)は聴き応え十分。
…でも、大聖堂内のあまりの寒さに途中で耐えきれなくなって席を立つ人が多かったのは残念。
寒さに震えながらでも聴く価値のある素晴らしいコンサートだった。


パイプオルガンコンサートを終えて、リガ大聖堂の外へ…


リガ旧市街の夜空にそびえ立つリガ大聖堂の時計塔。


ホテルへの帰り路、再びクリスマスマーケットへ…


夜には幾分雰囲気が変わるクリスマスマーケットを眺めているうちに身体が芯まで冷え切った。
温かい風呂とベッドが恋しい…

おやすみなさい。明日にはもうリガともお別れ、寒くても名残惜しい夜だ…

4日目(2018年1月2日)に続く