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第47回 日本肝臓学会総会 報告 2

2011年06月05日 | 学会研究会報告新聞記事など

B型肝炎の無症候性キャリアのかたのs抗原の消失について検討している発表がいくつかありました。消えた人をさかのぼると10年くらい前にs抗原の数値が1000となり5年くらい前には100となっているそうです。消えてない人に当てはまるわけではないですが、経過として説明するにはいい話かなあと思ってメモしていました。

B型のキャリアの人の肝癌の発生は、どんなに落ち着いていてもあり得るとしか今は言えないって感じの発表でしたが、血小板などの値がいい人はほとんど心配しなくてもいいレベルになってきているような気がします。検診を最低年二回は受ける事が今は勧められていますがこうだったら大丈夫ってのが言えるようになるにはもう少しってところまで来てるのかなという気がします。55才くらいでs抗原が消え始めてきている人がいるとしかし、DNAは今の測定技術だとまだ残っているということで、s抗原の消失が治癒とは言えないのは確かです。s抗体がでてくる人たちの報告が今度は出てくると思うので期待して行きたいと思います。

C型肝炎では、ベータの先行投与が効果的という発表が多かったかな。
IL28がらみのものは、同じような傾向なのでそうだなあって感じでした。

あと、亜鉛の投与(プロマックなど)が味覚や肝臓の働きをよくする可能性があるという報告があったのはうれしい感じでした。

NASHについては
脂肪化が起こる遺伝子が日本人の七割にあることがわかり、非常に今後の肝臓病にとっては大事になるという展開が起こっているそうです。
検診で100にんみたら2人はNASHになる可能性をもっていると。今回の学会ではNBNCの肝がんの症例がたくさん集められていて、脂肪肝を本格的に診ていく時代になっていくようでした。健診や糖尿病を見ている医師に脂肪肝を見つけてもらって連携をして肝がんや肝硬変になるのをいかに予防していくかということが大事だと話していました。いろんなことが肝臓には起こるんだなあとつくづく思います。

B型肝炎は世界で22億人が感染し3億人がキャリアである状態
HBc抗体で高力価低力価という分け方はあまり意味が無くなってきていて、キャリアでも肝炎を発症していない場合はc抗体は低力価になることがわかってきていると。s抗原は感度がよくなってきているので、c抗体で判断する意味はほとんど無くなってっきているといっていました。うーん、s抗原陰性でc抗体低力価は、既感染と言い切れない世の中になってきたかなあ。。。
再活性化の話もたくさんありました。

C型肝炎は世界で1億7千万人いるとちょっとあやふやなメモ。今後の治療の話もしていました。

肝がんについてはソラフェニブの次の薬も出てくることになるだろうと、

肝再生については、肝細胞増殖因子と肝幹細胞移植自己骨髄移植やiPS細胞の話も出てきていて、今後に期待したいという感じでした。