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火星へ探査に行くとしたら (その1) 難しいのは帰り方とその準備…

2016年01月11日 | 火星の探査
NASAのエンジニアにとって、
「火星は惑星サイズのハエトリグサ」のようなものだそうです。

約束された科学的発見を餌に、私たちを惹きつけて、
そこに降り立った瞬間、過酷な気候と重力が宇宙飛行士をとらえて離さない…

でも、そんな事はあってはならないことなんですねー

宇宙飛行士を、もうひとつの星に置き去りにするためだけに、
数十億ドルを投じることを世間は許しませんよね。
NASAのエンジニアは、映画“オデッセイ”に描かれているような、
火星の厳しい気候にも耐えうる宇宙船を設計する必要がある。


難しいのは行くことよりも帰ること

これまでNASAが手掛けてきたのは無人の火星探査機で、
もちろん推進剤も片道分しか積んでいませんでした。

でも、有人火星探査計画になると、
重要なハードルは、間違いなく火星からの帰還になります。

そのためにNASAが作ろうとしている、
宇宙船“マーズ・アセント・ビークル(MAV:火星上昇機”)は、
手ごわい課題を抱えることになります。

それは、火星表面から上昇するための推進剤で、
あらかじめ満タンにしておくと重すぎるんですねー

なので地球から打ち上げて、
火星に安全に着陸させることが難しくなります。

代案として、
MAVを宇宙飛行士が到着する数年前に火星に送っておく、
という方法があります。

そして、一足先に火星に着いたMAVの仕事は、
その薄い大気から推進剤を作ること。

その後MAVは、
チリの嵐や過酷な紫外線放射に耐え運用可能な状態を保ち続け、
探査が終了すると離陸し、数日かけて宇宙飛行士を軌道周回機へと運ぶことになります。

最終的に飛行士らは、
軌道上で待つ宇宙船に乗り移り地球への帰還を果たします。

つまりMAVのミッションは、
地球外の惑星表面から宇宙船を打ち上げて軌道に乗せること。
しかも、チャンスは1度しかないんですねー   (つづく


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