宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

火星へ探査に行くとしたら (その4) 火星探査に必要な宇宙服

2016年01月17日 | 火星の探査
火星上昇機“MAV”を設計する時に考慮すべき重要な課題の1つが、
宇宙飛行士の服装になります。

国際宇宙ステーションだと、
短パンやTシャツという服装で、うろうろしているのを見ますよね。

大きな宇宙船での安定したフライト中は、それで大丈夫です。

でも、上昇機の中では移動する余地はないし、
機体に穴が開くことを想定して、宇宙服を着る必要があるんですねー

では、どんな宇宙服を着るべきなのでしょうか?


火星のチリを付着させないこと

火星表面を探査する際に宇宙飛行士が着る「船外活動スーツ」は、
重くてかさばります。

“MAV”内でそれを着るなら、キャビンを広くしなければいけません。
火星表面で宇宙飛行士が着ることになる宇宙服は、
軌道への移動時には大きすぎるので、船内活動スーツを着用する。

それに、スーツに付着した火星のチリも問題となります。

適切な惑星保護プロトコルの策定もなしに、
それを地球に持ち帰ってはならいないことになっているんですねー
地球に汚染物質を持ち込まないための安全策です。

なので、かさばるスーツは火星に置いて帰り、
将来のミッションで回収するのがいいのかもしれません。

その代わり火星を発つ飛行士は、船内活動スーツを着ることになります。

これは、スペースシャトルのクルーが打ち上げ時や再突入時に着る、
オレンジ色のふわふわの服になります。

船内活動スーツは、船外活動スーツに比べて軽く、
若干フレキシブルにできています。

また、火星の屋外にさらさないように保管しておけば、
チリも付着しません。

火星を発つときに飛行士は、
ドッキングポートを経由して居住環境から探査車に移動します。

“MAV”に戻るときには、きれいな船内活動スーツに探査車の中で着替えてから、
専用設計の加圧トンネルを経由して“MAV”へ。

“MAV”に乗り込むと、いよいよ地球に向けて出発です。   (つづく)
宇宙飛行士は加圧されたローバー内で、
火星のチリが付着していない宇宙服に着替える。
その後、トンネルを通って“MAV”に乗り込む。



こちらの記事もどうぞ
  火星へ探査に行くとしたら (その1) 難しいのは帰り方とその準備…
  火星へ探査に行くとしたら (その2) 人類にとって初めての大規模遠征
  火星へ探査に行くとしたら (その3) 厳しい環境に耐えて、帰りの燃料を作る
  火星へ探査に行くとしたら (その5) 地球への帰還