チベットに設置された観測装置により、“かに星雲”から高エネルギーのガンマ線が検出されました。
このガンマ線は最大450テラ電子ボルトにも達していて、この数値はこれまでに観測された最高記録の6倍も高いもの。
では、この高エネルギーのガンマ線は、どのような過程で生成されたのでしょうか?
ビッグバンの名残り“宇宙マイクロ波背景放射”が関係しているようです。
超新星残骸“かに星雲”
1054年に“おうし座”の一角に超新星が出現します。
この名残りが超新星残骸として観測されている“かに星雲”です。
“かに星雲”はアマチュア天文家の撮影対象として人気がある天体なんですが、学術的にも非常に精力的に研究が行われていて、電波、X線、ガンマ線と幅広い波長領域で観測されてるんですねー
これまでの観測で“かに星雲”から検出されたガンマ線の最高エネルギーは75テラ電子ボルト。
この数値は可視光線のエネルギーの数兆倍という超高エネルギーでした。
一方で、天体からのガンマ線はエネルギーが高いほど強度が弱く、安定した長時間の観測が必要になります。
なので、これまで他の天体を含めて100テラ電子ボルト以上のガンマ線が観測されたことはありませんでした。
高エネルギーのガンマ線を観測する
今回の研究を進めたのは“チベットASγ実験グループ”という国際研究グループ。
中国チベット自治区の標高4300メートルの高原に設置された“チベット空気シャワー観測装置”を用いて超高エネルギー宇宙線を観測しています。
高エネルギーの宇宙線やガンマ線が地球大気に衝突すると“空気シャワー”という現象が起きます。
この現象では多数の粒子が発生するので、それを観測すれば宇宙線やガンマ線のエネルギーや到来方向を知ることが出来るんですねー
ただ、天体からやってくる高エネルギーのガンマ線の強度は、一様にやってくる宇宙線雑音の数百分の1以下しかありません。
この雑音を減らすため研究グループが着目したのは、“空気シャワー”に含まれるミューオンの数でした。
ガンマ線起源の“空気シャワー”中のミューオン数は、宇宙線起源のものの50分の1程度。
なので、ミューオンの数を計測すればガンマ線と宇宙線雑音雑音とを区別できることになります。
どのようにして高エネルギーのガンマ線が生成されたのか
“チベットASγ実験”による2014年から約2年間のデータを解析した結果、“かに星雲”の方向から10テラ電子ボルトを超えるようなガンマ線が約20回観測されていたことが明らかになります。
最高エネルギーは450テラ電子ボルトにも達していて、これはこれまでの最高記録の6倍も高い観測成功例となりました。
それでは、こうした高エネルギーのガンマ線は、どのような過程で生成されたのでしょうか?
いま考えられているのは、以下の通りです。
まず、超新星爆発後の数百年間に電子が星雲中で超高エネルギー(ペタ電子ボルト=1000テラ電子ボルト)まで加速されます。
この加速された電子が、宇宙全体を一様に満たす宇宙マイクロ波背景放射(ビッグバンの名残り)と衝突。
すると、宇宙マイクロ波背景放射が電子により叩き上げられ、450テラ電子ボルトのガンマ線になる。
この解釈が正しければ、“かに星雲”は私たちが知る天体のうちで“天の川銀河内最強の電子の天然加速器”と考えることが出来ます。
現在、南米のボリビアにも“チベットASγ実験”と類似の観測装置“ALPACA”の建設が計画されています。
今後、同様の観測や研究が進むことで、天の川銀河内の宇宙線のエネルギー限界や発生原理、発生源を特定できるようになるそうですよ。
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このガンマ線は最大450テラ電子ボルトにも達していて、この数値はこれまでに観測された最高記録の6倍も高いもの。
では、この高エネルギーのガンマ線は、どのような過程で生成されたのでしょうか?
ビッグバンの名残り“宇宙マイクロ波背景放射”が関係しているようです。
超新星残骸“かに星雲”
1054年に“おうし座”の一角に超新星が出現します。
この名残りが超新星残骸として観測されている“かに星雲”です。
“かに星雲”はアマチュア天文家の撮影対象として人気がある天体なんですが、学術的にも非常に精力的に研究が行われていて、電波、X線、ガンマ線と幅広い波長領域で観測されてるんですねー
かに星雲 |
この数値は可視光線のエネルギーの数兆倍という超高エネルギーでした。
一方で、天体からのガンマ線はエネルギーが高いほど強度が弱く、安定した長時間の観測が必要になります。
なので、これまで他の天体を含めて100テラ電子ボルト以上のガンマ線が観測されたことはありませんでした。
高エネルギーのガンマ線を観測する
今回の研究を進めたのは“チベットASγ実験グループ”という国際研究グループ。
中国チベット自治区の標高4300メートルの高原に設置された“チベット空気シャワー観測装置”を用いて超高エネルギー宇宙線を観測しています。
高エネルギーの宇宙線やガンマ線が地球大気に衝突すると“空気シャワー”という現象が起きます。
この現象では多数の粒子が発生するので、それを観測すれば宇宙線やガンマ線のエネルギーや到来方向を知ることが出来るんですねー
チベット高原の標高4300メートルに設置されている“空気シャワー観測装置” |
この雑音を減らすため研究グループが着目したのは、“空気シャワー”に含まれるミューオンの数でした。
ガンマ線起源の“空気シャワー”中のミューオン数は、宇宙線起源のものの50分の1程度。
なので、ミューオンの数を計測すればガンマ線と宇宙線雑音雑音とを区別できることになります。
どのようにして高エネルギーのガンマ線が生成されたのか
“チベットASγ実験”による2014年から約2年間のデータを解析した結果、“かに星雲”の方向から10テラ電子ボルトを超えるようなガンマ線が約20回観測されていたことが明らかになります。
最高エネルギーは450テラ電子ボルトにも達していて、これはこれまでの最高記録の6倍も高い観測成功例となりました。
(左)“チベット空気シャワー観測装置”で見た“かに星雲”方向の100テラ電子ボルト以上のガンマ線イメージ。 (右)ハッブル宇宙望遠鏡による“かに星雲”の可視光線画像。 |
いま考えられているのは、以下の通りです。
まず、超新星爆発後の数百年間に電子が星雲中で超高エネルギー(ペタ電子ボルト=1000テラ電子ボルト)まで加速されます。
この加速された電子が、宇宙全体を一様に満たす宇宙マイクロ波背景放射(ビッグバンの名残り)と衝突。
すると、宇宙マイクロ波背景放射が電子により叩き上げられ、450テラ電子ボルトのガンマ線になる。
この解釈が正しければ、“かに星雲”は私たちが知る天体のうちで“天の川銀河内最強の電子の天然加速器”と考えることが出来ます。
現在、南米のボリビアにも“チベットASγ実験”と類似の観測装置“ALPACA”の建設が計画されています。
今後、同様の観測や研究が進むことで、天の川銀河内の宇宙線のエネルギー限界や発生原理、発生源を特定できるようになるそうですよ。
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