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地球外文明からの信号は星の光のように“またたく”ので1回限りの受信でも見分けることが可能! ただし1万光年彼方からの信号に限る…

2023年10月01日 | 地球外生命っているの? 第2の地球は?
私たち人類は、この宇宙で唯一の文明を持つ知的生命体なのでしょうか?
それとも、他にも文明を持つに至った知的生命体は存在するのでしょうか?

この疑問を解決するために行われている取り組みの1つが、宇宙から届く様々な電波を分析して、その中から地球外文明に由来すると思われる信号を見つけ出す“SETI(地球外知的生命体探査)”です。

SETIは、1960年代以降興味深い信号を何度も検出しています。
でも、地球外文明に由来すると特定された信号は、今のところ1つもありませんでした。
地球外文明に由来する信号の捜索に使用された施設の1つ、パークス天文台の64メートル電波望遠鏡。(Credit: S.Amy, CSIRO)
地球外文明に由来する信号の捜索に使用された施設の1つ、パークス天文台の64メートル電波望遠鏡。(Credit: S.Amy, CSIRO)

地球外文明の非意図的に漏れ出た電波

電波で発信された人工的な信号は、自然由来の信号と比べて周波数の幅が狭い(狭帯域)と予測されているので、SETIではそのような特徴を持つ電波を探しています。

でも、人工衛星から電子レンジに至る人類が作り出した様々な発信源からも、地球外文明からの信号と誤認されやすい信号が発せられているんですねー

なので、捉えた信号が地球外文明のものだと推定する一つの根拠として、時間を空けて同じ方向から複数回検出されることが求められています。

でも、これまでにSETIで捉えられた興味深い信号は、全て1回だけの検出に留まっていました。
そして、おそらく将来的に本物の地球外文明の信号を受信したとしても、それは1回限りの検出に留まると予測されています。

地球外文明が、意図的に地球に向けて信号を送信するかどうかを知ることはできません。
なので、地球に届く地球外文明の信号は、非意図的に漏れ出た電波と予想することができます。

このような信号を私たちが捉えるには、電波の送信された方向に偶然地球があるという、正確な位置条件を満たさないといけません。

星々は、それぞれ固有の方向・速度で動いているので、そのような位置条件がたまたま満たされるのは、あったとしても1回限りである確率がとても高いと言えるからです。
1977年に検出され当時地球外文明のものだと疑われた信号。走り書きのメモから“Wow! シグナル”と呼ばれるこの信号は、その後一度も再検出されておらず、現在では地球由来のものだと考えられている。(Credit: Big Ear Radio Observatory & NAAPO (Public Domain))
1977年に検出され当時地球外文明のものだと疑われた信号。走り書きのメモから“Wow! シグナル”と呼ばれるこの信号は、その後一度も再検出されておらず、現在では地球由来のものだと考えられている。(Credit: Big Ear Radio Observatory & NAAPO (Public Domain))

シンチレーションは電波でも起こる

では、1回限りの信号が何に由来するのかを区別することはできるのでしょうか?

この問いに対して、条件次第で可能だとする研究結果が発表されました。
この研究は、カリフォルニア大学バークレー校のBryan Brzyckiさんたちの研究チームが進めています。
この研究でカギになるのは、電波に対する“星間物質”の影響でした。

宇宙は真空の空間ですが、非常に希薄ながらも物質が存在していて、その中には電波に影響する自由電子も含まれています。

長い距離を移動する電波は星間物質の影響を受けることが電波天文学で確認されていて、現在ではその影響度を予測することができます。

そこで、今回の研究では“地球外文明の信号は周波数の幅が狭い”という前提で、星間物質の影響を調査。
すると、星間物質によって電波の屈折と干渉が起こり、1分未満の時間で電波の強度が変化する“シンチレーション(scintillation)”が起こることが分かります。

これは、ちょうど夜空の星が瞬く現象と似ています(シンチレーションのもともとの意味は“星のまたたき”)。

地上から見る星は、大気の揺らぎの影響を受けて光の進む向きが曲げられます。
すると、光の波が重なり合った場所で光を強め合う・弱め合う現象が起こるので、星の明るさが明るくなったり暗くなったりするように見える現象が起こるわけです。

研究チームが予測したのは、これと同じことが電波でも起こるということ。
重要なのは、シンチレーションによって電波源のおおよその距離が推定できる点にあります。

肉眼的な星のまたたきは、遠く離れた恒星では起こりますが、近くにある惑星では起こりません。
これは、惑星がある程度の大きさを持って見える光源なのに対して、恒星は余りにも遠く離れているので、点状の光源として見えるからです。

研究チームが予測した電波信号のシンチレーションも、遠く離れた1点の電波源から届くことで起こる現象です。
なので、この性質は電波望遠鏡などのすぐ近くで発せられた地球由来の電波信号と区別する上で重要なことになります。

また、地球外文明の信号を受信できる機会が1回限りだったとしても、シンチレーションは検出可能なので、この信号が地球外に由来するのかどうかを判断する上でも、やはり重要になります。

ただ、非常に薄く存在する恒星間物質の影響を受けて電波信号にシンチレーションが起こるには、長い距離を伝達する必要があるんですねー

研究チームが考えているのは、検出可能なシンチレーションが起こるのは、信号が1万光年以上の距離を伝搬した場合に限られていること。
つまり、宇宙のスケールでは“ご近所”と言えるほど近くにある地球外文明の検出には、今回の方法は使えないということですね。


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