すばる望遠鏡が持つ高い解像力によって、渦巻銀河同士の衝突の現場がとらえられました。
この衝突によって、一方の銀河中心核が明るくなり、光速近くで物質を噴き出すジェットが生じつつある画像が、観測により得られたんですねー
ただ、ジェットは比較的年齢の若い渦巻銀河ではあまり見つからず、高齢で質量の大きな楕円銀河で多く見つかっています。
この理由は、今回観測されたような銀河の衝突で説明できるようです。
若い渦巻銀河同士の合体によって生じたジェット
銀河の中心核で生じるジェットは、太陽が100億年の生涯で生み出す以上のエネルギーを、1秒間で放つという非常に強力な現象です。
これまでにジェットが観測されてきたのは、もっぱら長い時間をかけて成長した楕円銀河。
今回、初めて2つの若い渦巻銀河の合体によって、ジェットが生じたことを示す画像が観測で得られたんですねー
すばる望遠鏡を用いたこの観測は、ドイツ電子シンクロトロンの研究チームが行ったものでした。
すばる望遠鏡が向けられたのは、みずがめ座の方向約43億光年彼方にある“TXS 2116-077”と呼ばれる天体。
過去の観測からは、“TXS 2116-077”は中心核が明るい“セイファート1型銀河”であり、ジェットが発生していることが分かっていました。
でも、すばる望遠鏡による撮影で、初めてこの銀河に別の銀河が衝突していることが判明。
すばる望遠鏡が持つ高い解像力により初めてとらえたのは、ジェットを放出する“TXS 2116-077”が合体の途上にあり、隣の銀河と4万光年まで近づいている様子でした。
この2つの銀河は合体の最終段階にあるそうです。
これまでにも、銀河が衝突・合体する様子は数多く撮影されてきました。
でも、その中に地球の方向へ放たれるジェットが存在する例は初めてのことでした。
通常、ジェットが放つ光は非常に強く、背後の銀河の姿は見えません。
でも、今回は誕生現場である銀河を実際に見ることができたので、このジェットは形成されたばかりで比較的弱いようです。
銀河の衝突がブラックホールにガスを供給している
ほとんどの銀河の中心には、太陽の数百万倍から数十億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールが存在すると考えられています。
そこへ引き寄せられたガスやチリは、ブラックホールの周りに“降着円盤”を形成。
この物質がブラックホールに落ち込んでいくと銀河中心核が膨大なエネルギーを放ち、ときに銀河全体をしのぐほど明るくなります。
また、その過程で一部の物質はブラックホールへ落ち込まず、“降着円盤”に対して垂直な方向に加速され超高速で噴き出すジェットになり、銀河からガスを流出させています。
噴き出すジェットは光速近くまで加速されることから、相対論的ジェットと呼ばれることもあります。
ただ、ジェットは比較的年齢の若い渦巻銀河ではあまり見つからず、高齢で質量の大きな楕円銀河で多く見つかっています。
この理由は、今回観測されたような銀河の衝突で説明できるようです。
銀河のガスを移動させて中心へ到達させることは困難です。
銀河を多少ゆさぶって、ガスを中心へ届ける「何か」が必要になります。
そう、銀河の合体や衝突は、ガスを移動させるもっとも簡単な方法というわけです。
十分なガスが移動すれば、超大質量ブラックホールは非常に明るくなり、ジェットを形成できる可能性が出てきます。
私たちの天の川銀河とお隣さんのアンドロメダ座大銀河も、40億年後には衝突・合体すると予測されています。
数多くの詳細なシミュレーションが行われていて、この出来事が最終的に一つの巨大な楕円銀河の形成につながる可能性が示されています。
まだまだ先のことですが、条件によっては超高速のブラックホールジェットが形成されるかもしれませんね。
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天の川との衝突を控えるアンドロメダ、20憶年前にも巨大銀河を飲み込んでいた
この衝突によって、一方の銀河中心核が明るくなり、光速近くで物質を噴き出すジェットが生じつつある画像が、観測により得られたんですねー
ただ、ジェットは比較的年齢の若い渦巻銀河ではあまり見つからず、高齢で質量の大きな楕円銀河で多く見つかっています。
この理由は、今回観測されたような銀河の衝突で説明できるようです。
若い渦巻銀河同士の合体によって生じたジェット
銀河の中心核で生じるジェットは、太陽が100億年の生涯で生み出す以上のエネルギーを、1秒間で放つという非常に強力な現象です。
これまでにジェットが観測されてきたのは、もっぱら長い時間をかけて成長した楕円銀河。
今回、初めて2つの若い渦巻銀河の合体によって、ジェットが生じたことを示す画像が観測で得られたんですねー
すばる望遠鏡を用いたこの観測は、ドイツ電子シンクロトロンの研究チームが行ったものでした。
すばる望遠鏡が向けられたのは、みずがめ座の方向約43億光年彼方にある“TXS 2116-077”と呼ばれる天体。
過去の観測からは、“TXS 2116-077”は中心核が明るい“セイファート1型銀河”であり、ジェットが発生していることが分かっていました。
セイファート銀河は活動銀河の一種。銀河の形態は渦巻銀河または不規則銀河で極端に明るい中心核を持つ。中心核の活動性は中心に存在する大質量ブラックホールによるものと考えられている。
でも、すばる望遠鏡による撮影で、初めてこの銀河に別の銀河が衝突していることが判明。
すばる望遠鏡が持つ高い解像力により初めてとらえたのは、ジェットを放出する“TXS 2116-077”が合体の途上にあり、隣の銀河と4万光年まで近づいている様子でした。
この2つの銀河は合体の最終段階にあるそうです。
合体途上にある銀河“TXS 2116-077”(右)と同程度の質量を持つ銀河(左)の近赤外線画像。両銀河はともに活動銀河核を持ち、銀河同士の衝突で発生した相対論的ジェットが“TXS 2116-077”の中心から噴出している。(Credit: Vaidehi Paliya) |
でも、その中に地球の方向へ放たれるジェットが存在する例は初めてのことでした。
通常、ジェットが放つ光は非常に強く、背後の銀河の姿は見えません。
でも、今回は誕生現場である銀河を実際に見ることができたので、このジェットは形成されたばかりで比較的弱いようです。
銀河の衝突がブラックホールにガスを供給している
ほとんどの銀河の中心には、太陽の数百万倍から数十億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールが存在すると考えられています。
私たちのいる天の川銀河の中心にも、太陽の400万倍の質量を持つ超大質量ブラックホール“いて座A*”が存在している。
そこへ引き寄せられたガスやチリは、ブラックホールの周りに“降着円盤”を形成。
この物質がブラックホールに落ち込んでいくと銀河中心核が膨大なエネルギーを放ち、ときに銀河全体をしのぐほど明るくなります。
星、星間チリ、星間ガスといった通常の銀河の構成要素とは別の部分からエネルギーの大半が放出されている特殊な銀河を活動銀河という。このエネルギーの大半を、銀河の中心1%程度のコンパクトな領域から放出していて、この部分を活動銀河核と呼ぶ。
また、その過程で一部の物質はブラックホールへ落ち込まず、“降着円盤”に対して垂直な方向に加速され超高速で噴き出すジェットになり、銀河からガスを流出させています。
ブラックホールによって集められたガスやチリは、降着円盤を形成しブラックホールに落ち込んでいく。一方、降着円盤内のガスの摩擦熱によって電離してプラズマ状態になると、電離したガスは回転することで強力な磁場が作られ、降着円盤からは荷電粒子のジェットとして噴射する。
噴き出すジェットは光速近くまで加速されることから、相対論的ジェットと呼ばれることもあります。
ただ、ジェットは比較的年齢の若い渦巻銀河ではあまり見つからず、高齢で質量の大きな楕円銀河で多く見つかっています。
この理由は、今回観測されたような銀河の衝突で説明できるようです。
銀河のガスを移動させて中心へ到達させることは困難です。
銀河を多少ゆさぶって、ガスを中心へ届ける「何か」が必要になります。
そう、銀河の合体や衝突は、ガスを移動させるもっとも簡単な方法というわけです。
十分なガスが移動すれば、超大質量ブラックホールは非常に明るくなり、ジェットを形成できる可能性が出てきます。
私たちの天の川銀河とお隣さんのアンドロメダ座大銀河も、40億年後には衝突・合体すると予測されています。
数多くの詳細なシミュレーションが行われていて、この出来事が最終的に一つの巨大な楕円銀河の形成につながる可能性が示されています。
まだまだ先のことですが、条件によっては超高速のブラックホールジェットが形成されるかもしれませんね。
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