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JAXAのX線分光撮像衛星“XRISM”はクリティカル運用期間を終了、今後は3か月かけて搭載機器の機能確認を行う初期機能確認運用期間へ

2023年09月14日 | 宇宙 space
JAXAからX線分光撮像衛星“XRISM”の“クリティカル運用期間”を終了する発表がありました。

“XRISM”はH-IIAロケット47号機(H-IIA・F47)に搭載され、種子島宇宙センターから2023年9月7日8時42分11秒(日本時間)に離床。
JAXAでは、“XRISM”からの信号を同日午前9時4分からハワイ局で受信し、衛星の太陽補足制御が正常に行われたことを確認していました。

同日午前10時24分には内之浦局での受信により、太陽電池パドルの展開についても完了したことを確認しています。

“XRISM”から受信したテレメトリーから確認されたのは、太陽電池パドルで電力が発生していることや地上と通信できている状態、姿勢制御が正常であること。
搭載されている“軟X線分光装置(Resolve)”の冷却システムが安定動作していることも確認しています。
“XRISM”の運用で使用される地上局。(Credit: JAXA)
“XRISM”の運用で使用される地上局。(Credit: JAXA)
こうした状況からクリティカル運用期間は終了。
クリティカル運用期間とは、ロケットからの衛星分離後に太陽電池パネルの展開や姿勢制御系を定常運用する制御モードへの移行など、衛星が安定して安全な状態を維持でき、かつ軟X線分光装置の冷凍機が安定動作するまでの期間を指している。
これにより、JAXAでは衛星全体及びミッションに活用される搭載機器の機能を確認するための“初期機能確認運用期間”への移行を決定。
“初期機能確認運用期間”は約3か月間をかけて実施する予定です。

7番目のX線天文衛星計画“XRISM”

X線天文衛星“ひとみ(ASTRO-H)”が失われてから、JAXAは徹底した原因究明を実施。
不具合の直接の要因とその背後にある要因を調べ上げ、再発防止のための対策を行ってきました。
2016年2月に打ち上げられたX線天文衛星“ひとみ(ASTRO-H)”は、同年3月に通信不能になり、4月に運用が断念された。
この再発防止策に基づいて計画されたプロジェクトが、X線分光撮像衛星“XRISM(X-Ray Imaging and Spectroscopy Mission)”です。

“XRISM”は、“ひとみ(ASTRO-H)”の成果や研究の進展をもとに、NASAやヨーロッパ宇宙機関の協力のもと2018年に開始された、JAXA宇宙科学研究所の7番目のX線天文衛星計画です。

“XRISM”に搭載されているのは、広い視野を持つX線撮像器と極超低温に冷やされたX線分光器。
これらを使って、星や銀河、そしてその間を吹き渡る高温ガス“プラズマ”に含まれる元素やその速さを観測し、星や銀河、銀河の集団が作る大規模構造の成り立ちを、これまでにない詳しさで明らかにします。

“ひとみ(ASTRO-H)”が目指していた科学成果を早期に回復し、世界に届けることを目指しているそうです。
X線分光撮像衛星“XRISM”(Credit: JAXA)
X線分光撮像衛星“XRISM”(Credit: JAXA)


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