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モバライダー mobarider

鉄が少ない星は、宇宙初期のブラックホール誕生の痕跡かも

2014年10月01日 | 宇宙 space
最近見つかった極端に鉄の割合が低い星。

この星についての理論計算の結果、
宇宙で最初にできた初代星の、超新星爆発で放出された元素から、
誕生したことが明らかになりました。

そして、その特異な元素組成は、
太陽の数十倍の質量をもつ初代星が超新星爆発を起こして、
ブラックホールになる時に放出する元素組成に、
ひじょうに近いことも分かったんですねー
ジェットを伴う初代星の超新星爆発。
(イメージ図)

宇宙で最初にできた初代星は、
ビッグバンで宇宙が誕生したときには、
水素やヘリウムなどの軽い元素しかなかった環境で、「酸素や炭素など重い元素を初めて合成する」という重要な役割を果たしました。

また、初代星が放つ光や、一生の最期に起こす超新星爆発は、宇宙の再電離や、その後の銀河形成にも、少なからず影響を及ぼしたと考えられています。

こうした初代星の多くは、寿命が短いので、直接性質を調べる手立てが、ほとんどありませんでした。


でも、天の川銀河に含まれる古い星の元素組成を、
初代星の性質を知るための、手がかりとすることは出来るんですねー

これは、古い星々の大気に含まれる物質には、
それより前に初代星の内部で作り出され、
超新星爆発でばらまかれた物質の元素組成が、
反映されていると考えられているからです。
極端に鉄の割合が低い星“SMSS J0313-6708”。

最近、極端に鉄の割合が低い星
“SMSS J0313-6708”が、
オーストラリアの天文台などによる観測で
発見されました。

この星のスペクトルには、
同じタイプの星なら通常見られるはずの、
鉄のスペクトル線がまったく検出されず…

鉄の割合は、大きく見積もっても、
太陽の1000万分の1以下になることが
分かります。




今回の研究では、
この星の鉄とカルシウムの割合が並外れて低い一方で、
炭素の割合が鉄に比べて、ひじょうに高いという特異な組成に着目。

そこで、太陽の25倍および40倍の質量を持つ初代星の、
超新星爆発で放出される元素組成を、理論計算によって求め、
見つかった星の観測結果と比較しています。

その結果、観測された星の元素組成は、
合成された鉄やカルシウムの大部分が、
星の中心部が及ぼす重力によって落ち込み、
ブラックホールになるとしたモデルによって、
ほぼ再現できることが分かったんですねー


初代星の中には、
今日の天の川銀河には見られないような、
太陽の数百倍を超える大質量星もあったとする理論予測があります。

そして実際に、その痕跡を残しているとみられる天体も見つかっています。

一方で初代星が、このような巨大質量星ばかりだったのかは、
議論が分かれています。

今回の研究成果は、
宇宙初期に、今も見られるような星と同じような質量の初代星が、
形成されたことを支持する結果となるようです。


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